- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041048276
感想・レビュー・書評
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初読みの作家さんの、週末をテーマにした短編集。主人公は20代後半〜30代の女性がメイン。どれも一見「普通」の週末だが、その普通さが良い。普通さをリアルに文章で表現できるのだからすごいなと思う。住宅街に立ち並ぶ家々の描写や食べ物の描写などもうまいと思った。舞台は東京か関西で、具体的な地名駅名も出て来る。例えば、結婚式2次会のあった池袋から友人の友人の誕生会のお好み焼き屋のある下北沢に電車で移動したり、友人らと姫路城を見にいくためドライブに出かけ道の駅に立ち寄ったり。主人公は、登山グッズのショップで働いてる人だったり、国立大学の受験生だったり、一人暮らしの家で風邪をひいて一人で年越しする働く女性だったり様々。色々な人が過ごす「普通」の週末の話は、それぞれの日常が尊いものなんだなぁという、前向きな気持ちにしてくれた。
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短編集。特別な予定があったり、いつも通り働いていたり、様々な週末を過ごす8篇。
さりげない描写が、はっきりとしない自分の感覚や記憶のようなものを刺激してくる。
「ハッピーでニュー」
正月の人通りの少ない商店街の描写で、冷たい空気に鼻がすん、となる感じを思い出した。
「蛙王子とハリウッド」
ほぼ初対面の相手との距離感、興味。この興味がリアルだと思う。
もう会うこともないであろう相手との交流は日常と地続きなのに、日常に戻る途中ですでに遠い気がした。
「地上のパーティー」
世の中には色々な人がいて、それぞれ違っている者たちが同じ空間で過ごしていても特に何も思わないけれど、こうやって見るとカオスだ。
改めて意識すると面白いな。 -
『ハルツームにわたしはいない』が一番よかった。一番柴崎友香らしい。いつものテーマでいつもの書き口ではあるのだが、短編になったぶん旨味がギュッと凝縮してはっきりしたような印象。
私がいつ、どこで生まれ、いま、ここで生きているのは何故なのか。その素朴な疑問を実生活の中で問いかけ続ける。無理に形而上学や哲学の範囲に持っていかず、あくまで実生活の中で問いかける姿勢にとても親近感を感じる。何事も等身大なのが柴崎作品のいいところ。 -
週末にゆっくり読みたくなる本。
何気ない日常を切り取ったストーリーだけど、どの作品もなんだかほっこりする。
通勤中に読んでしまったので、また忘れた頃に週末にゆっくりと読み直したい。 -
解説で瀧井朝代が言うように、確かにどの作品にも「生の一回性」を意識する瞬間がある。
だからこそいまここにいる自分、自分がいないどこかやいつかに思いを馳せる。
場所。時間。記憶。取り返せない過去。他人になれない自分。
それらを「無理なく思う」のが柴崎友香の作風なのだろう。
大雑把に言えば作中で行われているのは、歩く。話す。それだけ。
それだけで思考が広がり、「深まりそう」になる。
深く考え込む一歩手前でまた、歩く。話す。豊かだ。
■ハッピーでニュー
■蛙王子とハリウッド
■つばめの日
■なみゅぎまの日
■海沿いの道
■地上のパーティー
■ここからは遠い場所
■ハルツームにわたしはいない
■あとがき。文庫版あとがき。解説は瀧井朝世。 -
そういえば、友達の友達とか、その場で会ったよく知らない人と出会う話が多い。もう二度と会わないかもしれない人の話を聞くのは楽しい
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2017 6/26
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柴崎さんの本は「ビリジアン」に続いて二作品目。
なんかいい。
なにがいいのかよくわからないけどなんかいい。
どこにでもいそうなひとたちのなんとはいうことのない日常。でもその日常のひとつひとつが大切に描かれていて読んでいるうちにとても愛おしく思えてくる、そんな感じ。
どの作品も好きだけど、いちばん好きなのは「ここからは遠い場所」かな。なんというか主人公の境遇に共感するのと、ちょっとしたミステリー要素があるのもおもしろい。主人公の名前に関してアレ?って思ったのもポイントだった。
あと印象深かったのは「地上のパーティ」。唯一主人公が男性なんだよね。
電車の中で読んでて柴崎さんの他の作品が気になってきて途中下車して書店に寄って数冊購入。これは完全にハマっちゃったね(^^;) -
いいですね。
土曜日の朝にコーヒーを啜りながら読んだらとても気持ちよかったです。