山の霊異記 黒い遭難碑 (角川文庫)

  • KADOKAWA
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041057322

作品紹介・あらすじ

木陰に立ち並ぶ数十体の地蔵の、ある法則に気づいた瞬間に戦慄する「顔なし地蔵」。風雨と霧に閉ざされたヒュッテの乾燥室にうずくまる青い雨具の男の正体が切ない「乾燥室」、奇妙なほど行く先々の山で遭遇する女性の言動が謎と不安を誘う「ポニーテールの女」他。避難小屋、山奥のトンネル、テント――心身ともに強靭な山男たちを震撼させる、恐ろしくも不可解なできごとを山の霊気とともにつづる。文庫オリジナル作品2篇を収録。

感想・レビュー・書評

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  • この時期になると、どうしても読みたくなるんですよね。怪談とか、怖い話。
    しかも西洋ぽいのではなくて全力の日本ぽいやつ。
    山の霊異記は、都市伝説的な怪談ではなく、あってもおかしくない実話が詰まってる気がする。
    なんていっても山の中ですから。
    山は神聖なもので、霊的なものなのは遥か昔からだし、そこで亡くなった人が普通に成仏するとも思えない。
    特に怖かったのは青いテントの話、、いやこれ実際自分が出会ったらショック死すると思うんだが。
    登山者の皆さんは何故怖いものがいる状態でテントの中で起きてられるんだろう。。気絶したい。
    夏を冷んやり過ごすためのオカルト小説ではないですが、山への畏怖を感じつつ、ありそうな怖い話として面白く読めます。

  • 一話目がホント怖かった…
    山やる人に似たような話を偶然聞いたので怖さ倍増しました。

  • 著者の怪談を動画サイトで聴き、その語りの心地よさに惹かれて興味を持った。

    この手の本を読んだのは初めてだが、程よい怖さを味わえた。一部動画で聴いたことのある話もあったが、文字で追うとまた違う感じがする。文章自体は簡潔で読みやすいが、自然の美しさなど、山登りの醍醐味を感じさせる描写もあり、ただ怖いだけの話になっていない点がよいと思う。ただ、自分に登山の経験がないためか、イメージしにくい描写もあった。

    怪談を聴いた時、「いい人そうだな」と思ったが、本を読んでもその印象は変わらなかった。飾るところのない、素朴な”山ヤ”なんだろうなと。

  •  山の霊異記三巻、このシリーズは主に人がかかわる山の怪異集だ。
     戦前からの登山ブームは遭難者も多く出していたはずだ。
     山の事故は一瞬の気の緩みで命をなくす。
     もし、その一瞬で死んだ霊が、まだ自分が死んだことにも気が付かずに山を登り続けているとしたら。

     山は異界だ。間違いなく。

     今までに経験したのは、猪苗代の廃ロッジから伝わる異常な視線、南アルプスの沢筋でテント泊したときの深夜に響く鐘の音、と明らかな怪異には山で経験したこともある。
     まだ、幸い死者には会ったことがない。

  • 2018061

    山の怪談話ですが山好きならば、描写を読んだだけで楽しくなってきてしまう。怖いけれどホロリとするお話もあり。

    乾燥室、霧幻魍魎なんかはグロテスクで本当に怖かったし、青いテント、三途のトロなんかはテントやツェルトの中からひとり異様な外の世界に恐怖する。

    ポニーテールの女は面白い話だと思うし、櫛はホロッとする話。

    舞台が丹沢や白馬、アルプスなど山好きとしては嬉しく思う一冊。怖いけど。

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著者プロフィール

1958年、東京都生まれ。ウェブサイト「北アルプスの風」を主宰。山登りと酒と煙草を愛する。99年、くも膜下出血を発症するも奇跡的に回復する。その後、サイト内にて怪談作品を発表。2004年、『幽』第二号から連載の「山の霊異記」でデビューする。08年に怪談集『山の霊異記 赤いヤッケの男』を刊行。怪談語りにも長けており、さまざまなメディア(怪談TV番組、『R25』、『ほんとにあった怖い話』など)で山の怪談の第一人者として取り上げられるなど活動の場を広げている。

「2020年 『山の霊異記 ケルンは語らず』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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