過ぎ去りし王国の城 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.45
  • (51)
  • (213)
  • (269)
  • (43)
  • (5)
本棚登録 : 2692
感想 : 207
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041064344

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 伏線の回収やラストのあっと思わせる感じがあまり感じられなかった。物語の真相も、ある程度予想できてあまり目新しい感じはしない。SFとはいえトリックに無理がある感じも否めない。物語のほとんどが絵との接触と城の世界の探索のくだりで占められているので、謎解き部分があっさりと終わってしまったのも少し消化不良だった。

  • 面白くなかった。
    スッキリしなかった。
    それほど思い入れのない絵の中の少女は、ましな人生を手に入れたのに、主人公の女の子は今まで通り。
    いじめっ子は、特にお咎め無しで終わったのが何だか悲しかった。何かあってもワザとらしくて変な話になったのだろうが、スッキリしなかったのは確かなので仕方がない。
    絵の中に入り込む仕組みがよくわからないから、物語に入り込めなかった。
    ちょっと残念

  • 再読。絵の中に入っていくというファンタジー。いくら現実が死にたくなるほどで辛くて、異世界に逃げる手段があったとしても、結局は現実世界で何とかあがきながら生き延びていくしかないのだ。とゲーム好きの宮部さんに語られると、妙に説得力があるな。

  • 親の手伝いて行った先でデッサン画を見つけた真。
    美術部で同級生の珠美。
    フリーライターのパクさん。
    伊音ちゃん。

    自己防衛本能。
    辛くて嫌なことがあった時に こうしたフィクションの世界へ逃げることはあると思う。
    フィクションの世界と本物の世界をつなぐ ちょっぴり切なくて、ちょっぴり嬉しくなる素敵なお話でした。
    今までに読んだことがない宮部みゆきの世界観がここにあった!!

  •  今までの世界を変えるかもしれないボタンがあるとします。そのボタンを押せば、今までの人生はリセットされるかもしれないし、何も変わらないかもしれない。変わったとしても、それがいいふうに変わるかどうかも分からない。今よりお金持ちだったり、昔からの夢を叶えているかもしれないし、その逆もあり得る。

     そのボタンの存在を自分だけが知っているなら、自分の一人の決断ですみます。しかし、そのボタンを他人も知っていたらどうなるか。そして、そのボタンを他人が押そうとしていたら……

     何気ないきっかけから、精緻にデッサンされた古城の絵を手元に置くことになった小垣真。そして、真はその絵の世界に入り込むことができることを発見します。同学年の美術部の少女、城田珠美の力も借り、絵の中に入りこむことに成功した二人は、同じく絵の世界を探索していた大人(パクさん)とも出会います。

     そして、絵の主題である古城に一人の幼い女の子の姿があります。三人はその女の子の正体を調べていくうちに、少女が親からの虐待から身を守るために、自ら絵に閉じ籠もったことを知ります。

     そして、この少女を絵の世界から救い出すかどうかが、世界が変わる転換点となるのです。

     序盤、真と珠美の意見は対立します。女の子を見つけた当初の主人公は、その子を救うよう主張するのですが、絵に入りこむと、相当の体力を消費するため(ひどい場合は内蔵がダメージを受けることも)珠美は慎重論を主張します。そんな珠美に業を煮やした真は、珠美を冷たいとなじり、さらに珠美の心の深いところを切り込むのです。

     しかし終盤になって、二人の意見は逆転します。現状に満足している真は、絵の世界から少女を連れ出すことに反対し、逆に家族関係の不和や、クラスで無視される珠美は少女を外に連れ出そうとするのです。

     それぞれの翻意を利己的と捉えるのは簡単ですが、自分に置き換えると、真の心情は痛いほど分かります。そして真が、珠美や同じく人生に後悔を抱え、珠美と意見を同じくするパクさんに対し、恐怖に近い感情を持ってしまうのも分かってしまいます。

     だからこそ、珠美が真にこの話をした真意が明らかになる瞬間、抱いた感情は言葉では言い表せません。読者である僕の浅はかな理解を超えて、正義を正しく実行した彼女の姿は、とても輝いていたと思います。

     どうしようもない現状も、人生を変えるのも簡単ではありません。それでも一つの行動、一人の存在、一つの気持ちが未来を変える可能性を持ち得る。そんなことを感じた読書でした。

  • 中学3年生の真が偶然見つけた「古城のデッサン」そのデッサンの世界に入ってしまい、そこから奥深いストーリーが進んで行く。
    奥深いストーリーと書いたのは単なる冒険物語に終わらず、それぞれ登場人物の家庭環境が現代に見え隠れする様々な社会問題点をベースとしている事が、このファンタジーに深みを増していったと思う。

  • ミステリーでもあり、RPGのような冒険小説でもあり、懐かしい痛みを感じる青春小説でもあった。私は物語中のような選択を迫られたらどうするだろう?と第四章を読みながら考えていた。

  • 自分のことを「壁」だと言い、中学校では空気のような存在の慎。ある日、銀行で変わった絵と出会う。訳あって家に持ち帰ると、なんとその絵はアバターを描き込むことで絵の世界に入り込むことが出来る不思議な絵だった…。移動時間に読む用に書店で慌てて選んだ。パッと見て「絵に入り込む」「冒険小説」というワードに惹かれて購入。少年が絵の中での冒険を通して大きく成長する王道ファンタジー小説かと思いきや、ミステリ要素強め。絵の中を探索するシーンはワクワクするが、絵に入り込んだ後の副作用や、同輩であり協力者の珠美、後に仲間に加わるパクさんの過去、城に囚われている謎の少女と10年前に現実世界で起きた失踪事件など、暗い部分も多い。そして終盤で物語は意外にもSFチックに。自分のした選択に後悔してる人、過去から踏み出せずにいる人に薦めたい。

  • リーディングカンパニーで朗読を聞いてから文庫化を待っていた。
    それぞれの持つ自分ではどうしようもない事情が、自分の昔の悩みだったり環境だったりと重なって切ない。
    「入り込むこと」は本を夢中になって読む人にはわかりやすい感覚だが、文章にするとこう表現されるのかと感服した。

  • 前半はドキドキわくわくしながら読んでいたが後半ちょっと無理やりまとめた感じで物足りなかった。

全207件中 41 - 50件を表示

著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

宮部みゆきの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
伊坂 幸太郎
辻村 深月
米澤 穂信
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×