- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041066591
作品紹介・あらすじ
連続放火事件に隠された真実を追究する「樹を見る」、東京地検特捜部を舞台にした「拳を握る」ほか、検事・佐方貞人が活躍する、法廷ミステリー第2弾。第15回大藪春彦賞受賞。
感想・レビュー・書評
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★5 自分に厳しく他人に優しくっ 当たり前でも難しいことをやり切る主人公が鬼カッコイイ! #検事の本懐
前作より遡る検事時代の主人公、佐方貞人。連続放火魔事件や主人公の友人や家族にまつわる事件など、涙なしでは読めない短編5編が収録されたミステリー、佐方貞人シリーズの第2弾。
毎回のことですが、柚月先生が描く男性はカッコイイ!まさに男が憧れる男です!
筋を通すことを重んじ、弱きを助け、頭脳も明晰、そしてなんといっても心が強い。何一つ、できてないわー。自分ができるのは、猫に優しくするくらいかしら。
今回は主人公が検事として5つの事件に関わっていきます。
短編にもかかわらず背景となる登場人物もしっかりキャラ付けができてるし、抱えている人生の濃厚度がえぐい。しかもストーリーの濃淡のつけ具合が絶妙でバランスもバッチシです。さらに5編どれもバラエティに富んでるし、終章に向かってどんどん盛り上がってくるし、マジで文句つけようがないんすよねぇ
どれも短編も面白いんですが特に、「拳を握る」「本懐を知る」の2編は強烈。普通に泣きましたよ… 他の作品も綺麗でいい話ばっかりで、かみしめながら読ませていただきました。
いつも柚月先生の物語を読むと「どんなつらいことや困難なことがあっても屈するな」ということを教えられます。
当たり前のことを当たり前にやるだけの人生がどれだけ困難でも、少なくとも胸を張って、まっすぐ歩くようにしたいですね。
ど真ん中ガチンコのリーガルミステリー、胸に突き刺さる傑作でした。おすすめです!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なぜだか、2年ほど積読本となっていた本作。
シリーズ一作目は、『最後の証人』めちゃくちゃ面白かった記憶あり。※この時は弁護士
主人公の検事の、若かりし頃の話が家族も踏まえて短編5話の構成。短編といえど、どこかで繋がりがあるので、面白い!
こんなに迫力と内容の濃さ満足度ある短編集は珍しい。さすが柚月さんです!
正義感、芯をつらぬく、ズルっ子許さない感じの描き方が、スカッとします。
主人公の高校生の頃の恋愛観も少し入ってたり、
幼少期の話が入ってたり、
だから、今こんな性格の人になってるのかー!と繋がった感じが面白かった。
そしてシリーズ3作目も2年ほど積読本として既にあり。これ読むか、ほか読むか、どしよーかな。
やっぱりなんだかんだで法廷ミステリーが好きな自分がおります(*'▽'*) -
五話の短編集、どれも最高です。
特に【本懐を知る】!
結末がみえ易いのに
不覚にも電車の中で
熱いものが込み上げてしまい、
涙を誤魔化すのに必死でした。
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シリーズ第2弾。
時系列でいうと、検事時代の話なんで、「最後の証人」より前になる。
佐方さんは、孤高というか、一匹狼やな。
ひたすら真実を追求する。上がどう言おうと。
こういうタイプは、なかなか出世とかに縁がないけど、こういう生き方に憧れる。
自身の反省も込めて。
これからの時代は、こういう人が優遇されんかな。
「参考人というような名称ではなく、ちゃんと名前がある」というようなセリフがあるんやけど、その通りやと思う。その人をキチンと見て判断する。
それが、最終的に解決の早道かもしれん。
そういうのも、父親の背中を見て育ったからかもしれん。
私の背中は、どうやろ?
ただの猫背だけでない事を信じとく^^; -
短編集なのでどうしてもカタルシス的なものは薄いのだけど、佐方貞人やその周りの人間性が良すぎて心が洗われる 上川隆也がドラマで演じているらしいがぜんぜん違う 個人的には浦沢直樹の漫画、マスターキートンの主人公、平賀キートン太一のイメージで読ませてもらってます
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米崎地検検事・佐方貞人が活躍する法廷ミステリー第2弾。
短編5編が収められていますが、それぞれの話に一応関連性はあります。
上位下達の検察組織の中でも、周りに流されずに自分を貫き通す佐方。
事件では無く人を見る、という思いは父親の陽世譲りだったのですね。
物語の描き方がとても丁寧で、読者に勘違いやミスリードをさせることなく綺麗に話が進んでいきます。
個人的にはもう少し佐方の心の内が見えるといいなと思いますが、少し難しそうですね。 -
佐方貞人シリーズ第2弾
広島弁
検事時代の短編集
本懐
筋のいい作家
久々に時間を忘れて読みました
そしてちょっと泣けました
加賀恭一郎シリーズと同じくらい佐方貞人シリーズも好きです -
参りました。佐方貞人シリーズの第二弾は凄かった。前作、最後の証人が秀作。で、あるならば弁護士としての更なる活躍、無骨なまでの正義を期待し、最後の証人を超える作品を望んでいたのに、まさかの検事時代の話。確かにここに言及することが佐方貞人の本質の核心になることは間違いない。だけど、二作目でいきなりとは。。肩透かしをくらった気持ちで読み進めるもその落ちた気持ちは一気に加速度を持ってかけあがりました。弁護士と検事というある意味、対極にあるにもかかわらず根幹の正義はゆるぎない。読み進めると随所に最後の証人での佐方貞人が思い浮かびます。更に、最後の話では父親の謎も解き明かされ、佐方貞人の正義にダメ押し。確かにこれで、佐方貞人のキャラは完成したのかもしれない。だけど、肝心の検事を辞める話はなかったわけで、ここはどう捉えるべきなのか、ちょっと悩みます笑 どちらにしろ、弁護士、検事のふたつの大きな流れが確立されたところでこの先の展開が難しくなったようにも思います。秀作。
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図書館本
短編で構成されているのでサクッと読みやすい。
検事の仕事に真向から向き合う佐方。ボサボサ髪の冴えないヤツだが、森の中から真実に辿り着く一本の木をみつける目を持つ。職務に対し忠実。
あるあるキャラだけど、間違いなく面白い。
モヤモヤする話や、彼の生い立ちの話もあったりで、バランスよし。 -
「検事の本懐」柚月裕子 著
1.本懐
辞書をひけば「もとから抱いている願い」とあります。
タイトルのとおり、主人公は30代前半の若き検事です。
彼の検事としての本懐は、「罪を犯したものは、法律に基づき処罰されること」です。
2.若き検事の務め
検事が裁く罪状は多いです。
それゆえ、一案件に対する比重の掛け方は大切です。
彼は、そのような労務環境なれど、罪状の動機、なぜの本質に迫ることを忘れません。
それは、罪を犯した人間に対して向き合うことを意味します。
当然に時間もかかるため、組織の上層部からの協力ならびに理解は厚いとはいえません。
しかし、彼は、本懐のとおりに執務をこなします。
3.柚月作品の魅力
2021年に出会えた作家さんのひとりです。
明日のきみへ、盤上の向日葵、パレートの誤算、慈雨と読みつづけてきました。
魅かれる理由は、主要登場人物の人生が丁寧に描かれていることです。
それゆえ、作品に対する理解が深めやすいことです。
柚月さんの作品、手に取る機会が増えそうです。