蟹工船・党生活者 (角川文庫)

  • 角川書店 (2008年8月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (306ページ) / ISBN・EAN: 9784041068021

作品紹介・あらすじ

ソ連領海を侵して蟹を捕り、船内で缶詰作業も行う蟹工船では、貧困層出身の人々が過酷な労働に従事している。非人間的な扱いに耐えかね、労働者たちは立ち上がったが……解説が詳しく読みやすい新装改版!

感想・レビュー・書評

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  • プロレタリア文学。読みやすい。航海法も工場法も適用されない。愛国心を利用した大きな地獄がここにある。立ち上がれ!

  • 蟹工船のラストが印象に残る。
    途中はさておき、個人的にラストが印象に残ったのは「海の向こうで戦争が始まる」以来かもしれません。単なる記憶喪失かもしれませんがw

    党生活者。小林多喜二のその後を考えると、酷い時代だと実感する。今はより陰湿になっているだけで衆愚が酷い時代であることは変わらないかもしれませんけど。

    払ってもいい金額:1000円

  • プロレタリア文学とかそういうの抜きにしても物語として面白かった。
    さすがたっきー!
    新装版だからか?読みやすかったし。
    しかし、啓蒙として考えた場合はどうなんでしょうかね。
    「党生活者」なんて、「俺は搾取され続ける大衆のために己を犠牲にしても戦わねばならぬ」という壮大な思想に酔ってる感も漂っててちょいと鼻白む部分もあったりする。
    自分の生活費のために、女をカフェで働かせてしかも「あいつは自覚が足りない」とか。今見たら、とっても酷いw
    ブルジョワの搾取っぷりも鬼畜だったんでしょうけど。

  • 【蟹工船】
    当時26歳の多喜二くんが世に出した作品。教科書とかで目にする火鉢の前で座ってる白黒写真は28歳のときか、老けてんな笑
    齢30歳で拷問による虐殺死ってか、とんでもない時代やなー

    どの登場人物が誰と喋っている会話?これは誰の心理描写?よーく読み解かないと、一体何について書かれているのか戸惑う文章もある。
    たぶん、書き手の思いを読み手へ「浸透させる」ように書いていない。これは多喜二くんの執筆力がそうさせているのか、もしくはそんなとこに意識を置いて書いてないんやろな。

    多喜二くんは蟹工船での労働について取材・調査しただけやけど、実際に従事していたかの様な当事者リアリティが伝わってくる。
    特に、どの場面でも終始「充満した臭い」が伝わってくる。糞壺。なんせ糞壺よ。
    生き地獄、人間が作れてしまうその地獄。労働という拷問・屈従・搾取。
    肉体的にも精神的にも追い込む地獄の環境を仕立て上げちゃう人間ってすごい。でも生産達成祝賀会とか活動写真派遣とかの慰労行事がちゃんとあるのが極端すぎておもろい笑
    蟹工船について色々な疑問と興味が湧く。
    こんな衛生環境の悪い工船の中での生の缶詰め作業って大丈夫なん?とか、
    賃金はひと夏の漁期が終わって下船するとき現金で?とか、
    漁夫以外の、10代の少年たちの業務って?そして彼らの寝食はどんな感じ?とかもっと深掘りしていくんかなと思ってたけど。
    多喜二くん曰く、「この作品は特殊なひとつの労働形態をテーマにしているのであって、蟹工船とはどんなものかを一生懸命に書いたものではない」とのこと。なるほどね、だから読み終わった後に物足りなさが残る印象。え、急に終わったやん、って思った。
    「給仕(ボーイ)は仕事柄、漁夫や船員などがとても窺い知ることの出来ない、船長や監督・工場代表などのムキ出しの生活をよく知っていた。と同時に漁夫達の惨めな生活もハッキリ対比されて知っているーーそれは見ていられなかった。何も知らないうちがいい。この先、当然どういうことが起こるか」
    なんか、もっとわくわくする展開がこの先にあると思ってたけど。
    共産党とか、プロレタリア文学自体に興味はないけど、以前に「苦役列車」を読んだからという理由と、昔の「KING」という雑誌で蟹工船がクローズアップされていたのでいつか読もうかなと思っていた。
    だから「刺激的な読み物」として楽しむだけ。そら戦前戦後の話しやから、そんなえげつない時代もあったろうにと感じるだけであって、書かれている内容がノンフィクションだろうが虚実ない交ぜだろうが、読み物としてゾクゾクする興味深さがあればよい。

    【党生活者】←この赤化の話いらんかったから蟹工船をもっと長く書いてほしかったわ。
    というかね、笠原さんに世話になっている(世話をさせている)のに、その態度は無いな。炊事洗濯をしてもらって、シンプルに言えば「ヒモ」のくせにな。
    個人生活しか知らない笠原、だと?個人の生活が何より大切な営みやろがい。
    「自分の使命を全うする為に、おれは自分の生涯を犠牲にしているのになぜ分かってくれないんだ」ってスタンス、そらアカンやろ。
    言い換えれば、自分の使命の為に誰かに不自由を強いてるってことやろ?それってアンタがいちばん嫌ってる資本家が労働者を搾取している構図と同じやで。よく言われる「手段の目的化」やな。残念。
    しかしながら、労働運動の歴史を知る上では重要。

  • 蟹工船
    オホーツク海での蟹工船が描かれている。資本主義によって働かない偉い人たちと働くけど酷い扱いを受ける人という構造が目に見えるようになっていく。全国から集められた漁夫たちは過酷な労働環境で働かされ、死んでもなお雑に扱われることに対して不満を抱きついにストライキを起こす。しかし、味方だと思っていた帝国海軍によって鎮圧されてしまうが労働者の反骨は止まらないところで終わった。
    今も知らないところで低賃金で過酷な労働を強いられている人がいるのだろう。共産主義に賛成するわけではないが行き過ぎた資本主義は人を破滅させてしまうのだろう。

    党生活者
    軍事工場の臨時工として潜入した佐々木は帝国主義による戦争に反対するため活動する。途中同志が警察に捕まったことで笠原のところに身を隠すことになり裏から須山や伊藤といった同志と連携しながら共産主義活動を続ける。臨時工の大量馘首に対してビラを撒きストライキで対抗しようとするが工場側に先手を打たれてしまい多くが首となるところで終わった。これは前編となっており、作者の小林多喜二が特高の拷問によって死んだことで後編は描かれはことはなかった。
    佐々木が個人としての生活を放棄して党のため、人のために警察に見つからないよう行動する様は臨場感があった。しかし、一緒にいた笠原に対しての扱いは酷かった。活動のためのお金をもらうだけの佐々木が笠原にその正当性、重大性を説いてるけど笠原からしたら知ったことではないよな

  • 奇しくも、読了日が作者の命日だった。
    マジで特高には(その性根は今も健在であるので余計に)ムカつく。

    一体、共産党が何をしたというのだろう!?。

    確かに当時の共産党の中に急進的で過激な思想はあったかもしれないが、権力側の犬と化した人間に、そんな彼らを無制限に拷問できる権利はない。

  • 遠くから聴こえる声がある。暗闇を手探りで歩いている。しかし、向こうの声は決して当てにはならない。隣にいる見ず知らずの男たちの息遣いが便りだ。時代背景を無視せずにはいられない。作者が伝えたかったのは、“闘争”ではなく“人権”ではなかったか...命の鼓動が聞こえた

  •  巷で流行っているというので、初めて読んでみました。

     以前、3K=「きつい」「汚い」「危険」という言い方が流行りましたが、言うまでもなく、この本で書かれていることは、それどころの話ではありません。でも、ある特殊な状況に置かれると、人間はこういうところからも逃げられないのかなと思いました。

     それほど説得力があるというか、リアリティのある描写に驚きながらも、吸い込まれていきます。

     当時この作品を読んだ人たちは、今の私が感じたもの以上の、もっと別次元のことを読み取ったのだと思いました。

  • 一言でいうと、読んでいて辛い。先に進むのが辛いです。文章自体はさすが小林多喜二。テンポよく、会話文中心でリズミカルに書かれています。

    ただし、これが実話に基づいているというから驚き。
    こんな時代がつい数十年前の日本にもあったのか。卑劣で劣悪、苛酷な労働環境。
    生きているはずなのに死んでいるかのような見た目を繊細な描写で描いています。毎日の気が狂いそうな労働に、辛うじて命を繋いでいて、その中から決して抜け出せない労働者たち。

    記憶に残ったのは、ロシア人の言葉です。「一生懸命働くのは労働者(プロレタリア)。金を取るのは指示だけして働かない上の者。この構造がおかしい」と指摘され、初めて立ち上がり、労働組合のように結成していきます。

    労働者たちが目の前の悪を敵と思い、立ち向かっていくのは船長です。しかし、上には上がいて、それは決して自分たちの味方ではないということに気づかされるところまで描かれています。まさしく今に通ずるものがありますね。

    今はこの頃と比べてたしかに労働環境が随分よくなりました。ただ、今があるのはこの時代の労働者たちがいたからです。声を上げる大切さを教えてくれます。

    こういう文学こそ日本の歴史の一ページとして読み継がれていくべきものではないでしょうか。

  •  カニ缶製造舟の過酷な労働実態について。読んでいて大変辛いが、一度読むにはいい。こういう時代もあったんだよなと思うのは無駄じゃない。
     ただし、読むのは辛い(二回目)。精神力をガジガジと削られる。

  • 『蟹工船』
    プロレタリア文学。とても読みやすい。
    労働環境は劣悪であったが団結していくことで立ち向かっていく姿は今にも通じるものがある。

  • 「遙か昔のプロレタリア文学」って印象しかなかったけど、思った以上に現代に通じている部分があって怖い。社畜文学。

  • 蟹工船だけ読了。
    なんだかんだ言って読んでなかった作品。
    労働者に対する保護が浸透してなく、劣悪な労働環境
    が蟹工船で働く人間を苦しめる。
    このような時代に生きた労働者達の上に、今の日本の
    労働基準法や労働組合法がある、ということを考えると
    感慨深いものがある。

  • 2013/08/21読了。札幌に行ったときに、なにか北海道らしいものをと思って購入。そのとき読んでいた『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』の影響もあり。
    『蟹工船』『党生活者』の2編収録。
    『蟹工船』は、最近若者によく読まれているということで興味をもっていましたが、恥ずかしながら歴史に疎いもので、巻末の解説を読んでからやっと、この小説が書かれた背景を知り、なぜ最近また注目されているのか腹落ちしました。近現代史はもっとちゃんと知っておかないとな…。
    『蟹工船』の映画も見てみよう。

  • プロレタリア文学の代表的作品。多少ご都合主義的なところや、現在だと理解しづらい点もあるが、苦悩の果てに希望を見出す点、団結して搾取に対して反旗を翻す点が今から見ても興味深い。

  • 今なんかリバイバルしてるらしーね?

    現代社会はまさに蟹工船の中!…とはいえないけど、
    何となく似てるような。
    登場人物をみていると、なかなか現実とかぶるよね

    変えたいけどそう思うだけの人
    ぬるま湯につかって思考停止してる人
    変えちゃう人

    結局だれかが変えないと何も変わらない
    「いつかどーにかなる」は
    だれかがどーにかしないと、ならないのだ!

    この人の本の終わり方は、いつも私を焦らせる。

  • 思っていた以上に面白かった。赤いからどうこうではなく、物語的な面白さが本作、特に党生活者にはあった。この時代、というか古典文学によくある個人の心情の深い考察ではなく、それこそドラマのようなストーリーを主眼としている。


    蟹工船は‥‥とにかく臭かった。文字から臭いが飛んで来ているかのよう。そして解説にあった個人の消滅というワードのとうり、あまりにも個人の特徴が没却していたのがわかる。それが党生活者では改善され、共産党闘争の中にも恋愛を含みつつ、個人の問題を集団への回帰を両立させていた。解説ではこの点について自己犠牲ととらえ、マイナス材料としていたが、むしろ私はそれこそ集団への敬意ではないのかと思う。

  • 蟹は暫く食えないと思えるぐらい悲惨な労働者の現場が描かれていた。
    プロレタリアートはいつの時代にもいると思うがそれを変えようとゆう魂の叫びみたいなものは薄れてきているのかもしれない。

  • 労働者の劣悪な環境を嘆くような作品。被害者意識が強くて、あまり好きではない。「党首生活者」は当時の共産党員の生活・想いが伝わり、面白かった。

  • プロレタリア文学というものをはじめて読みました。
    思っていたほど難解ではなく、読みきることができました。

    ただ、やはり言い回しが独特だし、あまり使われない単語も多く出てきたので、それが少し苦労しました。

    でも、まあ、それなりに楽しむことはできたので、よかったと思います。

    結末はあまり暗くなかったので、後味は悪く無かったです。

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著者プロフィール

1903年秋田県生まれ。小樽高商を卒業後、拓銀に勤務。志賀直哉に傾倒してリアリズムの手法を学び、28年『一九二八年三月一五日』を、29年『蟹工船』を発表してプロレタリア文学の旗手として注目される。1933年2月20日、特高警察に逮捕され、築地警察署内で拷問により獄中死。

「2008年 『蟹工船・党生活者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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