悪玉伝

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  • KADOKAWA (2018年7月27日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (328ページ) / ISBN・EAN: 9784041069196

作品紹介・あらすじ

大坂の炭問屋・木津屋の主の吉兵衛は、稼業は番頭らに任せ、自らは放蕩の限りを尽くしてきた。そこへ実の兄・久佐衛門の訃報が伝えられる。実家である薪問屋・辰巳屋へ赴き、兄の葬儀の手筈を整える吉兵衛だったが、辰巳屋の大番頭・与兵衛や甥の乙之助に手を引くように迫られると、事態は辰巳屋の相続争いに発展する。上方で起こった相続争いの噂はやがて江戸に届き、将軍・徳川吉宗や寺社奉行・大岡越前守忠相の耳に入る一大事に。将軍までも巻き込んだ江戸時代最大の疑獄事件の結末は――。

感想・レビュー・書評

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  • 【オンライン配信】令和2年度 大阪大学司馬遼太郎記念学術講演会 | 大阪大学 21世紀懐徳堂
    https://21c-kaitokudo.osaka-u.ac.jp/events/2020/8884

    朝井まかて『悪玉伝』刊行記念インタビュー | カドブン
    https://kadobun.jp/feature/interview/116.html

    悪玉伝 朝井 まかて:文芸書 | KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/321801000186/

  • 久しぶりの朝井まかてさん。このところ初めての作家さんが多かったので、故郷に戻ったかのような馴染みの良さに、すぐに物語の世界に没入することができた。
    前半はのんびりした大阪のお店ものかと思いきや、一転、恐ろしい展開に。これは時代小説というより、ミステリーかサスペンスか。読み終わってから知ったのだが、史実を元にしているとのこと。実際にあったことだとは信じ難いほどの恐怖譚だった。
    起きていることは一つなのに、人によって見え方は全く違う。朝井まかてさんの力で、しぶとく逞しく生き抜く力強い物語として締められていたが、実際の恐怖と悲憤はいかばかりだっただろうとの苦みは消し去れなかった。

  • 大坂の商家の相続争いが発展し、江戸で裁かれるに及ぶという大ごとになってしまった、“辰巳屋一件”が題材。

    12年程前に、松井今朝子さんの「辰巳屋疑獄」を読みましたが、そちらとはまた違った切り口での展開でした。
    この本では吉兵衛寄りな感じに描かれていることもあって、吉兵衛に同情的な気持ちを持ってしまい、彼がどん底まで落ちていく様が読んでいて辛かったです。
    江戸の大岡越前守忠相サイドからも描かれていますが、大坂商人と、江戸の武家との価値観の違いが興味深く思いました。

  • 時は徳川吉宗の時代。
    大坂で実際に起こった江戸時代最大の贈収賄事件「辰巳屋騒動事件」を描いたもの。

    上方の町人の間では当然のように行われる「ご挨拶」「根回し」として贈り物や饗応の風習が、幕府を敵に回す大疑獄事件に発展するとは驚いた。
    元は単なる商家の相続争いなのに、放蕩息子へのお仕置きにしては随分と手厳しい。
    「質素倹約」の吉宗の時代でなければここまでの騒ぎにはならなかったろうに。
    大坂の常識は江戸の非常識…大坂と江戸の感覚の対比が面白かった。
    そして現代にも通じる「忖度」。
    時代は違っても金や権力が絡むと「よしなに図る」人は何処にでもいるものだ。

  • 江戸時代最大の贈賄事件という史実「辰巳屋騒動」を舞台にした小説、この事件のことはこの本を読むまで全く知らなかった。

    なので、主人公吉兵衛は苦難の数々を乗り越えて、最後には唐金屋と江戸幕閣を向こうに回して訴訟も商売も大勝利!…みたいなストーリー展開だと信じ切っていた。
    だから、正直後味が悪かった。凄惨な牢屋のシーンも唐金屋一味の陰湿なやり口も、逆転劇でスカっとすると思うから辛抱して読めたのになぁ。

    大岡越前も落ち目だし、暴れん坊将軍も贔屓の引き倒しやし、ラストがほのぼのしてるという他の人の感想も俺にとっては「こんなん夫婦愛か?」やし…なんだか歯がゆい小説。
    それでも、読んでる間はグイグイ引き込まれたあたり、朝井まかての小説匠技だろうな。好みではないストーリーだが小説としては上出来。こういうの一番やっかい(笑

  • まかてさんの時代小説は、相変わらずの読みごたえ。特に牢屋の描写がエグかった!
    『光圀伝』の樽ネズミを思い出しました。

  • いつもながらの文章の美しさは堪能できましたが、ストーリが好きでない。主題がはっきりしないので語りたいことがぼやけて散漫な印象。著者作品には珍しく凡庸な一作。

  • 大阪の商人の放蕩ぶり、読んでいて小気味良い。贅沢な着物。食べ物、趣味。とことんやるなぁ。しかし、物語は一転。策略三昧の身のこなし。しかしそうそう思うようにはいかず、これでもか、これでもかの最悪の境遇に陥る。これがどんな風にどんでん返しがあるのか…。暗澹たる思いで、読み進めました。こう来たかぁ❗最終は美しい文章で締めくくられます。流石、朝井まかてさん。

  • 浅学な私ゆえ辰巳屋騒動など知る由もなく上方の商家のボンボンの相続争いの冒頭はクッソ詰まらない物語にしか映らなかった。
    そんなことで出鼻をくじかれるものの巧みなペン捌きに徐々に引き込まれ真の面白さに気付くのは吉兵衛が投獄されるあたりからか。
    吉宗、大岡越前らビッグネームの登場とともになぜこれほどの公儀世間を巻き込む大騒動になるのかのミステリー要素も加わり囚われの身の吉兵衛の一挙手一投足から目が離せなくなる。
    女流が描く一世一代の男意気は痛快そのものなのだがラストはやっばり恋女房の手のひらで転がされ…まかて姐さん天晴れである

  • 司馬遼太郎賞
    第22回受賞作!
    江戸時代最大級の贈収賄事件「辰巳屋騒動事件」を描いた大作が堂々の受賞!

  • 重厚な物語。史実に基づいて書かれているのですが、とる立場が違うと、浮かび上がる人物像も全く違ってくる。この物語で行くと吉兵衛はとても魅力的で、かつ強靭な精神を持ちなおかつ狡猾さも持ち合わせる人。ただ、何となく好きになれないまま読了しました。登場人物の誰一人にもあまり良い印象を持たなかった。どっちもどっち。誰もが皆自分大事。将軍までが出てきて、壮大な騒動。私は辰巳屋一件を知らなかったけれど、それぞれの対立が色んな顛末を生み出していく物語に終始飲まれ気味でした。吉兵衛もその他も皆、じゅうぶん悪玉だと思う。

  • まかてさんの「眩」が大好きで手に取った。
    史実を軸にすえた物語の展開はうまいなあと思う。
    贅をつくした上方商人と牢の描写の落差がすごい。
    面白く一気に読んだ。
    吉宗、大岡越前、盛りだくさんだ。

    ≪ 悪玉の 正体かすむ 夜の霧 ≫

  • 小説2016年6月号〜2017年12月号に隔月で連載されたものに加筆修正し、2018年7月角川書店から刊行。辰巳屋一件と呼ばれる史実ものですが、展開に冗長なところがあり、そう史実にこだわる必要もないのにとも思います。そういう訳にも行かないか。吉兵衛とお瑠璃に感情移入してしまいました。

  • むかし 松井今日子氏の 辰巳屋疑獄 を読んだ覚えがある。
    確か、手代が、話を進めて行ったように思う。

    朝井まかて氏は「売られた喧嘩は、ちゃんと買わせてもらうで」と、江戸っ子の啖呵を切るような勇ましい本の帯に、つい手に取ってしまった。

    いつの時代にも、収賄、贈賄、挨拶代わりに・・・とか、、、
    そういえば、昨日だったか、アメリカの名門大学の裏口入学問題も・・・テレビで放送していたが・・・
    こんな所も贈賄が、、、、

    話は逸れたが、徳川吉宗 享保時代。
    質素倹約に、武士の威厳もあり、経済が、行き詰っていた時である。

    その時に大阪で起きた相続問題。
    どこでどう 江戸まで、その火の粉が飛んでいったのか?
    そして、跡取りと言っても、養子が、何もしないのに、大店の主人の座を取っていいものだろうか?
    しかし、大店側も、血筋と言え 今まで、放蕩してきた者が、我が物顔で、店を仕切られるのも、腹立ちがあったのだろう。


    今まで、生まれてから、好きな物を食べ、きれいな着物を着て、好きな時間を過ごして、苦労無し、経済面も余裕があったのが、奈落の底へと投げ込まれてい舞う吉兵衛。

    読みだしたら、止まらない。
    大岡越前もお裁きは、上手であるが、経済面では、取り残されているように思う。

    丸裸になった吉兵衛だが、妻のお瑠璃が、糟糠の妻と、なりえてくれるのを願う。

    「亡家の基」と口走った与兵衛の言葉、、、、
    家を滅ぼしてしまったと、吉兵衛は、秘かに思うのだが、、、、お瑠璃と再出発してくれることを期待する。


    辰巳屋も、木津屋も、現在残っていないけれど、、、、名を変えて、生涯を過ごしたと、思いたい。

  • 最初から最後まで、あまり物語にのめりこめなかった。
    というのも、時代小説なので理解しがたい単語がでてきたり、名前も覚えずらい名前がでてきて、誰だっけ?と分からなくなったりして。
    ただ、人間の生々しさや憎悪と憎しみといったテーマは描写から生なまと感じ取れ気持ち悪くもなってしまった。

  • まさに”まかて節”炸裂したような本作でした。インタビューに応じたまかてさんのhttps://kadobun.jp/interview/116/e81c1951記事を読み、結構史実に照らし合わせて肉付けされたと知り、驚きます。将軍までも巻き込んだ江戸時代最大の辰巳屋疑獄と呼ばれている事件でした。
    武士社会を相手取り、大阪商人のおおらかさと財を見せつけ迫っていく醍醐味はさすがでした。中ごろまでは悠長にどうせ無罪になるさと高をくくって読んでいたのですが、入牢され、次第に吉兵衛の立場が拙くなり追い詰められていくと、今回はどんでん返しがないのかと不安になり始め、目が離せなくなりました。
    幼い頃テレビで眺めていた大岡忠相の別な面も描かれ面白い。銀本位と金本位制の争いに敗れ左遷され、婿養子でもあり痔疾を抱えていたことなど。付け届は商人の町、大阪にとっては当たり前で、武家が牛耳る江戸では賄賂とみなされていたらしい。でもね、忠助のやった事って忖度! 忖度ならば許されるのかしら(笑)
    吉兵衛さん、カッコイイ! 金を惜しまずふんだんにばらまき大阪商人の意地を見せつけてくれはりました。
    身請けした妻は子と変わらないぐらいの年頃のお瑠璃 さん。最初は自儘なお瑠璃を好きでしたが、吉兵衛の立場がのっぴきならなくなると、何がしらかひと肌脱いで欲しかった気もします。しかし、吉兵衛にお金で身請けされたのですから肘鉄砲を食らわしてお相子。最終的には花好きの趣味で700両をゲットし、身ぐるみ剥された吉兵衛には何よりの金子だったでしょうから・・・。
    本作は第22回「司馬遼太郎賞」を受賞しています。

  • なんかねえ、ゴーンさんもこんなかんじなんかなあ、ってイメージしちゃったよ。吉兵衛の顔があの顔で妄想された。辰巳屋騒動、史実なんですね。なにも知らなかったのでわかる限り史実も調べつつ読んだですが、こんな事件があったんだねえ。まあいわゆる大阪の大店の跡目争いがもつれにもつれて、江戸の評定所に持ち込まれた疑獄事件、かの大岡越前裁きの記録にも残っているということで、ほかにも小説の種になったり浄瑠璃になったりしてるみたいですが。朝井さんも、「悪玉伝」とは銘打ちつつも、辰巳屋吉兵衛の生き様に心を寄せて描いておられるので、悪くないのに巻き込まれた、、という印象になってしまうけれど、複雑な時代背景のヒントもたくさんちりばめらているので、考えさせられるポイントが盛りだくさんです。
    泉州/大坂 大坂/江戸 西の銀/東の金 町人社会/武家社会 文化/規律 。。。なんかこういう、混ざりにくく相反しがちなものごと、そういう難しさの、うまくいかない部分が絡みに絡み合って、こんな事件が起こったんだぞ、っていうのは、この吉宗公の時代を深く切り取れる視点なんだとおもう。装丁にもなりたびたび牡丹が物語に現れますが、終盤、忠相(大岡越前)の邸宅で妻が手ずから作った“牡丹餅”が気の置けない友ども(青木昆陽&加藤重徳)にふるまわれるのも、暗に(つきつめれば心づくしと賄賂の線引きなどどこにあるのか?)という皮肉をこめての、あえての「牡丹」のキーワードに絡めてある場面じゃないかと。妻の松江いいですよね、個人的にこの物語のなかで、いちばん半生に肩入れできた存在。ラストの夫婦のやりとりの場面、大好きだわ。さっと開いた透かし障子から見える錦繍、これぞ蔭ながら家と夫を支えてきたこの時代の武家の女の張り。拍手と柝が脳内に鳴り響いた粋な場面。
    唐金屋の秘密の部分などは創作なんだろうけれど、こういう、唐金屋も吉兵衛もそうだけど、こどもの心のまま大人になったような好奇心と向こう見ずと身勝手さと運の良さを持った悪玉と紙一重の傑物がときどき世に生み出されることで、経済ってのは発展してきたのかもしれないねえ、と。後味が濃い1冊。オススメです。

  • 表紙に一目惚れして読むことに。
    悪玉伝、否、上方商人の酔狂伝という印象。
    つい伏線の忠相(大岡越前守)に肩入れして読んでしまった。

  • 最初はなかなか入り込めなかったけど、中盤からは一気にでした。
    朝井さんの表現って情景を思い描き安いので、後半もはまってしまい、怖かったです…それこそ臭いなんかもリアルに感じてしまった…

    最後の希望を感じさせる終わり方、好きです。
    強いよね。

    読んでよかった。手元に置いておきたい本になりました。朝井さんのはそんな作品が本当に多い。

  • 江戸時代、江戸の武家社会と大坂の町人、商人社会との対立と文化、思考の違いを小説として描いていると言えるだろう。
    八代将軍吉宗の時代の話である。将軍を始め、我々にも馴染みの深い大岡越前が登場する。私たちが知っている大岡越前の「弱きを助け、強きを挫く」というキャラクターではなく、老齢になり中心的なポジションから外れていく、また高齢になり体も思うに任せず…という風に描かれ、大岡越前とはいえ人の子だと感じさせる内容になっている。
    大坂の商家のお家騒動が江戸幕府までを巻き込み、武家社会の根底を揺るがすような事件となっていく。江戸時代の経済問題、商家の世間を生き抜いていく知恵、罪人として牢屋に入れられるとどのようなことになるのかなど、エンターテイメントの作品の中で当時の社会や文化を細かく描写して面白い。
    主人公の吉兵衛が最後まで諦めず、ある意味、武家社会に勝っていくというエンディングは胸のすく思いがした。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『朝星夜星』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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