「作家」と「魔女」の集まっちゃった思い出

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 302
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041072363

作品紹介・あらすじ

国際アンデルセン賞受賞で話題の角野栄子氏。84歳でありながら、その好奇心は途切れることなく執筆依頼は引きも切らない。しかし、そんな彼女も35歳でデビューした後、次回作刊行まで7年もかかった。どこに出す当てもない物語を毎日毎日書き続けた。ただただ書くことは楽しかった、という。本作は作家生活50年の間に数多くの雑誌や新聞に寄稿した中から抜粋し再編成した待望のエッセイ集。まだ新人作家の頃語った自分が目指すものについて、国民的名作『魔女の宅急便』の誕生秘話、幼少期について、若くしてブラジルに移民として渡りヨーロッパを回って帰国した紀行文など。人をひきつけてやまない作家、角野栄子を過去から時代を追って現在まで振り返る貴重な一作。

感想・レビュー・書評

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  • 幼い頃によく読んだ『小さなおばけシリーズ』なかよしのエッちゃん、のらねこのボン、ぞびぞびぞー、懐かしい涙 そしてジブリのなかで一番好きな『魔女の宅急便』角野さんの世界観、紡ぎ出すオノマトペや言葉のリズムが大好き。その素敵な感性を育んだルーツを辿れます。『ニルスのふしぎな旅』も懐かしい…

  • 憧れの角野栄子さん(前にも書いたような)
    一度講演を聴く機会があったが、周りにキラキラとした涼やかな風が吹いておられるような方だった。
    独自の想像力、培われた言葉への深さ、物語への愛。
    だから、たくさんの童話を生んでこられたのですね。
    いつも「魔女」の隣で
    『国際アンデルセン賞』も納得です。

    幼いころからの日々を振り返るエッセイ
    楽しみました。

    ≪ 軽やかに そしてじっくり 育んで ≫

  • 角野栄子さんの思い出や日常や原点が集まった本。物の見方、受け止め方が素敵です。

  • 2019年9月角川書店刊。54編のエッセイと国際アンデルセン賞作家賞受賞スピーチとあとがき。エッセイの主軸が、全て同じで、ブレが無いというか、ひとつのことを追う姿勢が美しい。というか、そういうエッセイで、統一したということなのかもしれません。

  • 角野さんは幼い頃母親を亡くされている。
    母の思い出についての文章はどれも切ないが、「母の贈り物」ではリアルに母親を感じるときは、父親がお盆の迎え火を焚いて母をお迎えするところだったという。その一文の最後に、角野さんの児童文学を描くところの資質が表わされていて、ハッとさせられた。それこそが母からの贈り物だったのだ。
    それが発揮されるのは30才を過ぎてから。デビュー作の「ルイジンニョ少年 ブラジルをたずねて」は700枚にもなった。何度も書き直して短くするうちに、書くことの喜びを知った。
    不思議な女性、クラリッセとの出会いも印象的だ。角野さんは彼女を魔女と表現する。

    角野さんの目が何を捉え、それをどう感じているのかがよくわかる、貴重なエッセイ。

  • 忙しい仕事の合間にもさらっと読めるかと思い手に取りました。

    角野栄子さんの読書の原点はお父様だったのだとのこと。
    それから、やはり(?)幼い頃から想像力が発達していたようです。

    一緒に収められていた、国際アンデルセン賞作家賞受賞スピーチから引用

    「物語は、私が書いたものであっても、読んだ瞬間から、読んだ人の物語になっていく。読んだ人一人一人の物語になって行き続ける。そこが物語の素晴らしいところだと思います。そして、その時、感銘を受けた言葉、その時の空気、その時の気持ち、想像力などが、一緒になって、その人のからだのなかに重なるように入っていき、それが、その人の言葉の辞書になっていく。その辞書から、人が与えられた大きな力―想像力が生まれ、そして創造する力のもとになっていくと思っています。それはその人の世界を広げ、つらいときも励ましてくれるでしょう。」

    「その人の言葉の辞書」っていい表現だなあと思いました。
    そして、「日本語の『そうぞう』という言葉には『想像』と『創造』の2つの意味がある、これは偶然ではない」というような文を読んだことがある気がしますが、角野さんのスピーチを読んで、それを再認識しました。





  • 自伝的エッセイです。
    絵本作家らしく子供時代のことも今の生活のことも、日々こんなことが起きたら面白いんじゃないか?と考えてみたり思いついたことを書かたちにしていく、そんなお仕事の仕方が垣間見れて面白い。
    この人は仕事が大好きに違いない。日々の暮らしも楽しかろう。
    羨ましい。私もそうなりたい。いや、そうなる。
    NHKの番組で角野栄子さんの特集があってすっかり魅了されてしまったから。それで借りたんだけど。

    後半の魔女のことあたりはパラパラとしか読みませんでした。

    魔女を題材にした絵本が完成して大ヒットした。
    思いつきから生まれた物語だけど、魔女には古い歴史があるから知らなくてはいけないと旅をしたり本を読んだり人に会って勉強していく。

    そういうふうに探究を重ねていくと、世の中には全てが境界線があって、両方を見ることができるかどうか、という問題に集約してくる気がする、のだそう。

    その結論は私にはよく分からないが、私も自分のそういう発見をしていきたい。

    つまり角野栄子さんのように働いて生きていきたい。絵本の世界でもないしファッションでもない。でも要素として真似したい物がたくさんあるのが角野栄子さん。

    素直な疑問、ばっと思いついた楽しいこと、膨らむ妄想、そんなものを形にしていくような仕事をしてお金を稼ぎたい。。。

    すみません、感想というより私の心の叫びになってしまった。

    この本はちゃんと読むにはちょっとついていけない世界観があったけど、私もいつかこんな本を書けるような人になろう。

  • 児童文学作家・角野栄子のエッセイ集。子どもの頃の思い出、魔女について、海外で過ごした日々、創作活動と物語について、日々の暮らし、などなどが独特の目をもって書かれています。

    その独特の目こそが作家・角野栄子の根源となるものでしょう。それは幼い日の思い出にも現れます。
    暗いところに何かを見る目、杉並木に何かを感じる目。父の優しさを見付ける目、幼い時に死に別れた母を思い出す目。
    それだけに留まらず、海の向こうの国に想いを飛ばす目、生まれも言葉も違う人と交わす目も。その目は他の人には見えないものを見て取り、物事の奥の奥を見透かすのです。
    その様々な見てきたものが積み重なり熟成されて、物語が生まれていくのでしょう。

    それぞれの文章のほとんどには、書かれた年月日やどこに掲載されたのかが記されていません。そのため思い出との距離が計りにくく感じることもあります。20代の思い出も20年前なのか50年前なのかで感じ方も変わります。また書かれたときの時代背景によっても感覚も変わるでしょう。
    しかしダンボールにどっさりと詰められていつ書いたのかもあやふやになっているとあとがきに読む頃には、そこにかかれているようにこれもまた角野栄子その人らしく思えるようになっているのです。
    80年以上の時代と歴史と思い出を、1冊の本で共にしたからこそ思える境地なのかもしれません。読み終えたときには、もっと知りたいもっと共にいたいと思わされました。

  • 角野栄子さんは鮮やかなワンピースで素敵な女性というイメージからの入りだったが、幼い頃から湧き出すような想像力・好奇心の持ち主だったよう。
    それも幼い頃より父から豊かなイマジネーションを受けてもいたらしい。
    幼少期より、とても自由な心の持ち主の上に、その心を今でもしっかり持ったままでいる、とても軽やかな生き様。
    ほんの少しのことにも心を躍らせ、柔軟な感性で異文化も吸収する、わたしもこんなおばあちゃんになりたいものだ。

  • 物語は日常のふとした瞬間から生み出されたものだと感じた。角野さんの考え方は面白い‼︎
    特に、ランドセルのお話で角野さんは良いランドセルよりも本棚を贈りたいと言っていた。
    最初はえ、本棚?と不思議に思っていたが、「自分だけの本棚」という言い換えを見てすごくときめいた。小さな本棚に本当に自分が好きな本を1冊1冊入れていく瞬間を想像するとドキドキすると思う。

    最近では電子書籍で読むことが増えたが、この本を閉じた後は、無性に自分だけの本棚を作りたくなった。

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著者プロフィール

1935(昭和10)年、東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、出版社に勤務する。25歳の時からブラジルに2年間滞在し、その体験をもとにしたノンフィクション『ルイジンニョ少年 ブラジルをたずねて』で作家デビュー。著書に『ズボン船長さんの話』『小さなおばけ』シリーズ、『魔女の宅急便』『ぼくびょうきじゃないよ』『おだんごスープ』『ラストラン』など数多くの絵本・児童文学作品がある。産経児童出版文化賞大賞、路傍の石文学賞、旺文社児童文学賞、野間児童文学賞、小学館文学賞、IBBYオナーリスト文学賞など受賞作品多数。

「2017年 『いろはにほほほ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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