ヘルドッグス 地獄の犬たち (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 839
感想 : 66
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  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041094105

作品紹介・あらすじ

東京のやくざ組織・東鞘会に所属する兼高昭吾は、弟分の室岡と沖縄に飛び、ターゲットの喜納修三を殺害した。その夜、一人になった兼高は激しく嘔吐する。実は兼高は警視庁組対部に所属する潜入捜査官だったのだ。後継者問題をめぐり、東鞘会では血で血を洗う抗争が続いており、喜納殺害はその一環だった。兼高の最終任務は東鞘会会長である十朱の殺害。十朱は警視庁を揺るがす、ある“秘密”を握っていた。ボディガード役に抜擢された兼高は、身分が明かされた瞬間に死が迫る中、十朱への接近を図るが……。

感想・レビュー・書評

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  • R5.3.8 読了。

     すごーく面白かった。裏社会の武闘派の漢たちの生き様、潜入捜査官の秘密が暴かれないかというドキドキ感、読む者に少しずつ明かされていく人物背景、ファミリーの結束力など、目が離せない、先を読みたくなる展開が最高でした。
     特に物語の中盤以降は畳みかけるような展開が凄い。
     深町さんの分かりやすく、こちらの興味を引き出して下さる筆力もとても素晴らしく、読み出したら物語に引き込まれてしまいました。
     続編も読みたい。

  • 久し振りの本格派の極道物の作品。
    主人公は関東最大のヤクザ組織の内部に潜り込んだ警察官、兼高。
    映画「インファナルアフェア」を彷彿させる物語でとても面白い作品だった。

    グロすぎる描写や悲痛が伝わってくる場面や状況が凄く多く、読んでいるだけなのに自分まで呻き声をあげそうになる。
    途轍もない殺人や拷問が繰り広げられ、そのバイオレンスが凄すぎる。

    この作品の凄い所は警察もヤクザも両方を外道として描いている所。どちらか一方からの作品は数多く読んできたが、両者が外道で非道な作品はあまりないのでは?と思う。それを圧倒的なバイオレンスで描ききっている。
    主人公兼高のどの道も外道になっていくその過程もとても苦しくて奥深い。
    正義がなんなのか?その正体も正義の形をしてない物ばかり。どの道も精神的には地獄への道。サブタイトルの「地獄の犬たち」ピッタリと当てはまる。

    兼高が極道組織内の人情味溢れる結束力の方に惹かれていくのも分かる気がした。現に同じ潜入捜査官だった十朱が七代目会長になったのも頷ける。
    兼高も十朱の道を歩むのだろうと思っていた。
    だが彼は最終的に両者を敵に回すという人生の選択をとる。彼なりの後悔、反省、そして新たな正義が生まれたからだろうと推測。
    凄く収まりのあるラストだと感じた。

  • ある警察官が顔を変え、刺青を入れて、関東最大の暴力団に潜入する。ただ潜入するだけでなく、えげつない殺人を繰り返して、幹部にのしあがっていく。確かに規格外の警察小説だった。550ページ、残虐なシーンも多かったが、面白かった。

  • 久々に面白い"警察小説"を読んだ。文庫で500頁超えの大部だが、わずか二日で読了。映画化に際しタイトルを『ヘルドッグス』に変更しているが、最後まで読んで「地獄の犬たち」の方がぴったり合う、と思う。兼高=岡田准一・室岡=坂口健太郎に置き換えて読んで行ったら、映画を観ているような感覚も味わえた。

  • 広域暴力団に潜伏中の警視庁刑事の主人公は、殺し屋として組内で頭角をあらわしている。
    狙いは総長。彼も警察からの潜伏者なのだが、警察を裏切っている。
    主人公の狙いは総長の秘密のデータを取り戻して、彼を消すこと。
    そんな荒唐無稽なストーリーと血腥いアクションシーンが延々と。
    反吐を吐いたり、血がドバドバ出たり、後で誰が片付けるんだろうなんて考えていると読めないな。
    まあ、そんな感じ。

  • 深町秋生『ヘルドッグス 地獄の犬たち』角川文庫。

    深町秋生の最高傑作と呼ぶべき超ハードなピカレスク警察小説。解説は北上次郎で、深町秋生のデビュー前の短編小説の文体をジェイムズ・エルロイの『ホワイト・ジャズ』に似ていると論じている。

    予想を覆す全く先の読めない展開に手に汗握りながら読み進む。ここまでやるのかという描写の連続に血圧が上がる。ヤクザよりも恐ろしい警察組織。手段を選ばぬ正義は悪としか言えない。

    血生臭い展開から物語は始まる。東京の東鞘会に所属する兼高昭吾は組からの依頼で、弟分の室岡と沖縄に渡り、ターゲットの喜納修三を殺害する。ここまで読めば、ヤクザの抗争を描くピカレスクかと思うのだが、そうは問屋は卸さない。

    なんと兼高昭吾こと出月梧郎は、警視庁組織犯罪対策部特別捜査隊の潜入捜査官であり、兼高に課せられた最終的な任務は東鞘会の会長・十朱の抹殺だった。兼高は次第に東鞘会で頭角を現し、ついには十朱のボディガードを任されるのだが……

    実は十朱も是安という名の警視庁の潜入捜査官であり、悪と暴力に取り込まれたというよりも、警察組織に嫌気がさし、自らの意思でヤクザ界に骨を埋める決意をしたという驚愕の事実。しかし、驚愕はこれだけではない……

    本体価格840円
    ★★★★★

  • 最初は読み進めるのがきつかったけど後半はとまらなくなるほどおもしろかった。寝不足です。
    なんで潜入してるのかとか早々にわかるのになぜか次が気になってどんどん読み進めてしまいました。

    今回はKindle Unlimitedでよみました。
    オマケでちょっぴり救われたので次作もよんでみようかなとおもっています。

  • 文句なくおもしろかった。
    人間は、あんなに追い詰められた状況でも正気を保てるのかと思うと脆い生き物なのか強い生き物なのか判断がつかないな、と思う。

    けっこうな残酷な描写も多い作品だったけれど、それを夢中で読んでしまう自分にもちょっと驚いたんだけど、よく考えたら今さらだな。昔から好きだったもんな。

  •  映画を見て、息つく間もない展開で激しい格闘の連続だった。その抗争に複雑に絡む果たし合い。ただ、バイオレンスなだけではないストーリーと感じて原作に興味を持った。
     映画とは異なる部分が幾つもあったが、書籍だから、映像だからと感じる要素があってのことだと解釈した。むしろ違うストーリーに触れられて新鮮さがあった。
     本の方について触れる。と、言いつつ映画と比較してしまうが、映像では脇役だった人が後半に暴れまくっている感じでした。主役からすると釈然としないノルマを次々と強いられて、自身を超える狂気に唖然としながら役務をこなす様はむしろ真っ当と感じてしまう読者側の自分も何か変か?と現実に戻されて忙しがった。
     登場する人たちの、各々の葛藤に幾つも触れられる作品でした。

  • いきなり情け容赦無い「暴力」恐怖さえ覚える、しっかりとした手応えを感じながら読み始める、いつも暴力団と警察の闘争となると、それぞれの組織や上下関係を理解するのに時間がかかる。進んでいく中で「誰だったか?」案外悩まされる、著書においても複雑な人間関係、組織の力関係は重く感じながら進んでいくが、しかし次々と迫り来る圧倒的な「暴力」の破壊力にただ驚く、目を覆いたくなるような描写が画像でなくて小説だから伝わる事もある、読みながら手に汗握るシーンが多数出てくる、しかし個人的には越えてはならないラインは守られ読後は安心感さえ感じる所もあり、後半一気読みしてしまう緊張感は、ある意味素晴らしいシリーズ化も納得出来た。

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著者プロフィール

1975年山形県生まれ。2004年『果てしなき渇き』で第3回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。同作は14年『渇き。』として映画化、話題となる。11年『アウトバーン』に始まる「八神瑛子」シリーズが40万部を突破。著書に『卑怯者の流儀』『探偵は女手ひとつ』など多数。

「2022年 『天国の修羅たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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