- Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041101438
感想・レビュー・書評
-
自己と他者みたいなテーマについてとても考えさせられる。
他者に施すこと、施されること、優越感、劣等感、施す人のエゴ、施される人のプライド、他者に頼らない強さ、頼る強さ、親との関係、子への思い、自分への認識、アイデンティティ、他者との距離感、踏み込んでいい線・よくない線、公と私、仕事と私事、など。
十人十色。正解はない。
だから、それらの事柄に真摯に向き合いながらも、人は人、自分は自分で丁寧に生きる。
丁寧に生きるとは自然と共存すること。四季を感じ、生き物に関心を持って、丁寧に料理し感謝して食べる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
シングルマザー、ネグレクトをされて育った、カフェを開業する、と自分に重なることが多く、ページをめくる手が止まりませんでした。
サクセスストーリーと思いきや、めっちゃイヤなやつも出てきて、そういう現実的なところがすごく良かった。
潔い生き方をしている人たちもたくさん出て来て、読後感、爽快です。
梨木香歩さんっぽくないテイストなのも、印象的。
【本文より】
・そう、ウィトゲンシュタイン。『語り合えないものについては沈黙を守らなければならない』。
・付き合って初めて、相手の人格レベルはわかってくる。様々な場面の相手の喜怒哀楽に付き合ううち、興ざめもし、愛しくも思う。
・大なり小なり、皆それぞれの破綻を抱えながら、かろうじて社会は回っているのだろう、きっと。
・すべてのことに解決がつかないまま、けれど生活はそんなことはお構いなしに次から次へと続いていく。朝が来て夜が来て確実に日々は流れる。 -
珊瑚、雪ちゃん、くららさんがそれぞれ魅力的で心がほっこりする一冊。
珊瑚は不遇な生い立ちにも関わらず、悲劇的悲観的ではなく冷静で行動力があるのがすごい。
お料理や食べることにも無頓着に見えた珊瑚が本当にカフェ開業に漕ぎつけたのはちょっと驚いたけど、夢があるので良し。
くららさんは「西の魔女が死んだ」のおばあちゃんを思わせるキャラクター。
物知りで率直で温かくて、特にお料理の描写が素敵。
雪ちゃんはひたすら愛らしく描写されていて、妊娠中に読んだこともあってか、雪ちゃんが可愛くて仕方なかった。
読後感ほっこり、妊婦さんにもおすすめの本です。 -
若いシングルマザーが体に優しい惣菜屋さんを始める話。
母親との関係、人からの親切を受け取るかどうかなど、繊細な人間模様が書かれていました。
登場人物のこれからが気になりましたが、いい終わり方で読了感が良かったです。 -
シングルマザーのプライドと意地が描かれている。ちゃんと施す側と施される側、自分のなかの葛藤が表現されてたから嫌味なく読むことができた。
-
不安の渦の中で
たった一つの希望にすがりながら生きて行くような
主人公の姿がリアルで少し怖くなった。
私には子どもはいないけれど、
自分を削ってでも守りたい大事な存在、というものに
少し興味が持てた気もします。 -
梨木香歩の書く文章は美しく、作者自身生きる上で散らばっている細やかな光に気付ける人なんだろうと思うのですが、作品の中に色々な要素が複合していてもう少しシンプルでも良いのかな……という気もする。あっさりした導入に対して内容が散らばってるというのは「からくりからくさ」を読んだ時にも同じことを思った記憶。手紙のくだりは正直酷いなあと思う、例え的を射た内容でも相手が反論できない状況で悪意をぶつけるのは卑怯ですよ。そんな人間から学ぶことなど無いし自分を顧みる必要なんてない、と思ってしまう……。
-
途中で飽きた
描写は綺麗だけど刺激が足りない