ナモナキラクエン

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.60
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本棚登録 : 509
感想 : 100
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041102664

作品紹介・あらすじ

「楽園の話を、聞いてくれないか」そう言って、父さんは死んでしまった。残された僕たち、山(サン)、紫(ユカリ)、水(スイ)、明(メイ)は、それぞれ母親が違う兄妹弟。そして僕たちは、楽園探しの旅を始めた。

感想・レビュー・書評

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  • 異母兄弟の山、紫、水、明の四人が父親の死をきっかけに産みの母親に会いに行く話。
    それぞれ全員母親が違い、その母親も短期間で離婚して出ていってしまうという状況にも関わらず、ひねくれたりせずに今の世の中に珍しいくらいまっすぐ生きている四兄弟にすごく好感が持てた。四人の繋がりに、大事な人達も交じり合い、絆を強く感じる事ができた。きっと四人にはこれからも幸せな人生が待っていると思える物語。

  • 家族って何だろうな。
    『あの場所』と折に触れて思い浮かべられるところが家族であり、楽園なのだろうか。
    色々な人たちの優しさが混じりあってできた物語。

  • 兄弟たちと母親、父親の関係の真実におどろいた。
    お父さん、素敵なひとだな。

    この作品も、登場人物も作品の世界も、とてもあたたかくてやさしくて素敵だった。
    小路さんの作品はどれも作品の世界も登場人物もあたたかくてやさしくてすき。

  • 小路さんの王道の家族もののお話ですが、
    設定が、すこしばかり重めだったかな~。
    ちょこっちチャレンジしてみました的な。

    そのわりには、
    小路さんのテイストがよく出ていたので、
    お話自体は重くならず、そこはよかった。

    でも…、少し物足りなさも感じたかな~。
    キャラが、あまり尖がってなかったのと、
    エピソードの広がり具合も、そんなに…。

    小路さんの作品といぅだけで、
    ちょっち、ハードルを上げ過ぎたかな~。
    悪くはないです。ふつぅの作品でした…。

  • キシャツーやシェアハウス同様悪人が出てこない小説。この作者はつくづく家族を書きたいんだな。面白くないわけではないし、途中で投げ出したくなることもないが、浅いところをふわふわ浮いていて手応えが感じられない。

  • 山紫水明から名前を一文字づつ貰った兄弟姉妹4人。
    母親がそれぞれ違う。
    父親が亡くなり、その遺言に従いそれぞれの母親を訪ねる。
    最後まで読んでああそうか。となるお話だけど途中???となる所が多かった。
    多分、きちんと謄本を取って結婚していた時期と子供たちが生まれた日を整理したら矛盾点が明確になるんだろう。

  • 2022.1226

  • ラストで急に重いテーマに変わりましたが、あまりにもソフトな優しい文章で驚きました。
    明言されていませんが、4人は異母兄弟でもなかったってことなんですよね。

  • 楽園の話を、聞いてくれないか」そう言いかけて、父さんは逝ってしまった。山、紫、水、明と名づけられた僕ら兄妹と、一通の手紙を残して。僕らの母親は、4人とも違う。手紙には、それぞれの母親のことが書いてあった。「会いに行く必要があると考えるなら、会ってこい」それが、僕ら兄妹の、忘れられない夏の始まり。

  • 兄妹の名前である山紫水明みたいに透き通った文章、そして兄妹たちだった。お父さんの目指した楽園は、ちゃんとそこにあったのではないだろうか。

  • 楽園だったよ。突然旅立った父親に伝えたい。楽園は今もこれからも楽園で、嵐が来ても大丈夫。支える人が沢山居るから。空の上から見ていてよ。楽園だね〜って言わせるから。

  • ■ 1662.
    <読破期間>
    2016/8/18~2016/8/20

  • 母親の違う4人の兄弟が、父の死をきっかけに生みの母を訪ねる話。
    母親が自分たちを捨てた理由を探すミステリーなのか家族愛な主眼を置いた感動ものなのか、ちょっと軸がブレているように感じた。
    小路さんの作品はいつも穏やかで柳のようにしなやかな男性と、芯の強い神秘的で美しい女性しか出てこなくて、綺麗なお話なんだけどあんまり心に残らない。
    読後感は良いしさらっと読めるのでぱぱっと読むにはいいかな。

  • 母違いの4人兄妹。
    適当だけど楽しい父が死に、それぞれの母に父の死去を知らせに会いにいく。
    そして長男に明らかにされる、父が築きたかった楽園の真実。

    それぞれの登場人物の個性がでていて楽しめた。

  • すてき、だけれどもう一度読みたいとは思わないだろうな。
    小路幸也氏のものがたりはやさしくてうつくしくて、人間の良くないところを直視するには耐えないのだ。

  • これはいい。小路作品では久々のヒット作かもしれない。山紫水明の名を持つそれぞれ母親が違う4きょうだいが父の死をきっかけにそれぞれの生母に会いに行くお話。新機軸の家族ものかな。父の作りたかった楽園の正体と4きょうだいの出生の秘密に迫るラストが良い。2012/635

  • 母親の違う4人の兄弟が父親が亡くなったことをきっかけに、それぞれの母親に会いに行く。
    登場人物がみな良い人で、いい意味でぽわーんとしているので読後感が良い。

  • 最後まで母親の謎かひっぱられていて、つい一気に読んでしまった。複雑な家庭環境だけど、それでもある意味幸せに育ったのはやはりお父さんの力なんだろう。楽園は確かにそこにあったと思う。

  • ★2014年10月19日読了『ナモナキラクエン』小路幸也著 評価A+
    あまり期待せずに読み始めたのだが、これが私には大当たり。最近読んでいる東京バンドワゴンシリーズのように、寅さんっぽくなく、舞台が湘南海岸沿いということもあるのか、さらりとして爽やかな感じのふわっとした物語。東京バンドワゴンがごま油なら、これは、オリーブオイルって感じかな。

    海辺に住むもう引退生活を送っているような向井志郎(50代父)。ほわっとした男子、工学部2年生の山(サン)。女子高校生でめちゃしっかりした美人の紫(ユカリ)。男子中学生で芸術的才能に恵まれた水(スイ)。まだ小学生の明(メイ)。5人家族と日々通いで家の食事をはじめ家事全般を担ってくれる朝美さん。
    サンの彼女、桜井はるか は最近知り合ったサンと同じ大学の経済学部の1年生。

    ある日突然、父は台所で倒れ、脳卒中で他界する。
    実は、4人の山紫水明はそれぞれ母が異なる異母兄弟。長男のサンは、4人の母が次々と家を出て行くつらい体験を持っており、自分の大切な人が去って行ってしまうことに恐れを抱いていた。しかし、今回は泣き言は言っていられない。父は、自分の死後の準備は万端にしており、遺言状を残していた。その中には、生き別れている母4人と皆が望むなら、会いに行っても良いそれは自分たちで決めよと書いていた。
    そして、それぞれが、自分の母に、向井志郎が死んだことを伝えに行き、対面してくる。

    その後に分かる驚きの事実。父がいつも言っていた楽園を作りたいと言っていたその意味とは、、、

    この物語のお父さんがめちゃかっこいい生き方を教えている。とても足下にも及ばないが、でも見習いたい。

    この作品には心に響くいくつもの台詞があった。こんなに気の利いたセリフ、感情を表現する文章、久しぶりに読後にその余韻を楽しめた作品でした。それほど、他の読者の評価はめちゃ高いわけではないから、私の心の琴線にたまたま響いたのでしょう。読んでよかった。幸せな若い時代をもう一つ過ごせたような気がする。

    以下、気に入ったセリフを書き留めておく。
    P19 何かを目指すのならそれは自分の力で目指さなきゃ成らない。他人の助けをあてにする時点それはダメになっていく。でももし、自分の傍らに理解してくれる人がいたなら、それは自分で張った帆に力を与えてくれるだろう。

    P28 大切な人を傍に置きたくない。いなくなってしまうときの苦い思いを僕は十二分に味わってきたから、分かっているから。

    P35迷って誰かに相談するのなら、朝美ちゃんかハマに相談してもいい。ただし、結論だけは自分たちだけで出せ。意見が分かれたのなら、それぞれが思うとおりにしろ。それが一番後悔しない方法だ。

    P42生き物は皆この海から生まれてきたんだ。こんな大きなお母さんが近くにいて良かったな。

    P50 この手紙を読んでいるということは、俺はもうこの世にいないということだろう。先に逝っちまって済まない。最後までお前たちの面倒を見たいという気持ちもあるんだが、それはまあ無理だろう。だから、この手紙を書いておく。

    P239 背伸びをする必要はない。そして世の中に、世間のいろんなものに無理に合わせようとする必要もない。それが必要だと思えばすればいいし、自分たちに必要ないと思ったのなら、しなくてもいい。いつも父さんが言っていたことだ。<ただし、それには責任というものが、覚悟というものがついてまわる>

    P244涙じゃない。人の止めようのない感情を身体全体で受け止めると言うことは、そういうことなんだなって初めてわかった。

    P248背中を、後ろを見て、時には皆に背中を向けられる人間にならなきゃいけないと思うんだ。僕が。

  • ☆☆☆3つ

    なんだかふんわりふわふわとした小説やね。いい感じだよ。
    でもね、小路くんのほとんどの作品って、家族 と 音楽 と コーヒー で出来上がってるね。
    時々云ってみるのだけれど、少し新しいジャンルに挑戦してはどうかな。SFとかミステリー、果ては時代モンとか。あ、いや別に果てなくてもいいのだけれどね。頑張れ!すまぬ(^_^;)

  • 楽園であろうとした、ある家族の物語。

    父親が無くなり、残されたそれぞれ母親の違う4人の子たち。過去と真実と、たくさんのカタチの愛情の物語。

  • 母親が違う兄妹4人が父親の死後 母親に会いに行き父親の作りたかったラクエンの意味を知ることになる。とても重い話なのだが 読後感はさわやかでホッコリとしました。

  • 不思議な事に、小路さんの言葉は水の如くに身体に染みてくる。
    サンの思考が違和感なく共感出来てしまう!と言うよりも小路さんの思考がシンクロして素直に受け入れられる!
    こんな家族が生活できて、伸び伸びと子供たちは成長出来るものか?
    今の世の中にシンパシーを感じあえる人と出会うことの難しさは有るものの、人と人の繋がりを大切にする作家ならではの作品です。

  • 東京ピーターパンに出てくるやつにやっぱり関係あるのかな

  • これぞ小路幸也さん って感じのお話
    愛しさと切なさと心強さ満載の。(笑
    ■ ■ ■ ■ ■
    ただ、ほんの少し感じる違和感みたいのは
    私がフツーにフツーの母親をやってるからでしょね。

  • 「楽園の話を、聞いてくれないか」
    その言葉を最後に、突然死んでしまった父。残されたのは、全員母親の違う四人の兄妹。
    彼らは、それぞれの自分の母親に会いに行くことにする。
    ひと夏の親子の物語。


    表紙のイラストがほんわかと可愛らしいい感じ。
    母親の違う四人の兄妹。しかも、その母親たちはいずれも、子どもが物心がつく前に家を出ているという特殊な家庭。本人たちは基本的には幸せだとい言うけれど、やはり惹かれる相手も何かしら抱えた人というのが少し気がかりになる。特に一番普通っぽい長男は、母親となった人に四回も捨てられるという意識が多大な影響を与えられていると思う。まあ、両親が揃っていれば良いってもんでもないし、彼らの場合はお父さんはもちろん(個性的ではあるけれど)周りの人からも愛情を注いでもらっていると感じられているので大丈夫そうだけれど。


    以下、ネタばれ含みます。



    でも一番抱えていたのはやっぱりお父さんだった。兄弟の名前も種明かしと同じ理由で最初に引っかかりを感じたし、途中そうかな?と思わせる件もあったので、ラストでもやっぱりなという感じではあったけど。彼が自分の子どもを持たなかったのはわざとなんだろうかとか思ってしまった。一人だけ実子となるのを気遣ったのか、それとも自分の過去から本当の親となるのを恐れたのかとかね。そんなことを考えてしまうと、やはり辛い話ではあったな。

  • 四人の異母兄弟が
    父の死をきっかけに
    自分の母親に会いに行く。

    それぞれの母親と父の関係。

    結婚と離婚を繰り返しているにも
    関わらず、かつて肉体関係を
    もったことのある父と
    その子ども達をずっと世話してくれる
    独身の家政婦さんとの関係。

    そして父が追い求めた
    「楽園」とはいったい??

    そんな謎を解き明かすための旅。


    全部 読んだあとに
    その答えがぼんやりと分かるのかな?
    読者の想像次第なのかもしれません。

  • ちょっとあっさりし過ぎのような。
    小路さんらしい語り口ながら重いテーマだ。

  • 2013.1読了

  • 家族の話。父親が作りたかったラクエンの話。4人の異母兄弟が皆仲良しでそれぞれクセがあって楽しい。父親が死んで、それぞれの母親に会いに行く夏休み。芯のしっかりした兄弟たちで、皆が守ろうとする末っ子のメイですら主張がはっきりしている。真相は唐突な感じがしたが、もし知れたとしても、こいつらなら大丈夫じゃないかな、とか。ショックはショックだろうけど。乗り越えられそう。最初はサンだけが違うのかと思ったんだが。いつかはるかが嫁に来たり、先生が長男になったりして、この家はこれからも賑やかになりそう。

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著者プロフィール

1961年、北海道生まれ。広告制作会社勤務などを経て、2002年に『空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction』で、第29回メフィスト賞を受賞して翌年デビュー。温かい筆致と優しい目線で描かれた作品は、ミステリから青春小説、家族小説など多岐にわたる。2013年、代表作である「東京バンドワゴン」シリーズがテレビドラマ化される。おもな著書に、「マイ・ディア・ポリスマン」「花咲小路」「駐在日記」「御挨拶」「国道食堂」「蘆野原偲郷」「すべての神様の十月」シリーズ、『明日は結婚式』(祥伝社)、『素晴らしき国 Great Place』(角川春樹事務所)、『東京カウガール』『ロング・ロング・ホリディ』(以上、PHP文芸文庫)などがある。

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