- Amazon.co.jp ・本 (751ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041102749
感想・レビュー・書評
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通勤中に読もうとしたが、想像していた以上に本の重量が重く、通勤中に読むことを断念。
かといって自宅で読む時間も取れず放置していたが、しばらくして電子書籍版があることを知り購入。
本を2冊買ったことになったが、内容に満足できたのできにしないことにした。
冲方丁の2冊連続の時代小説。前作の主人公が登場する場面があるが、連作ではないようだ。
自分の場合、時代小説だとストーリーよりも信憑性が気になり出して楽しさが半減んしてしまうことが多いのだが、この作品については、そんなことを気にする間もなく一気に読み終わってしまった。
時間があったら、もう一度読み直してみたい。
中身が濃く厚さもあるが、そう思わせてくれる作品だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
水戸黄門こと二代目水戸藩主・徳川光圀の一生を描いた小説。
テレビドラマでおなじみの呵々とした漫遊老人ではなく、少年期から壮年期にかけての初めて知る光圀の波瀾万丈な生きざまが書かれている。不義の跡継ぎとしての己の立場に苦悩し、大義を成就させるために奔走し、さらには詩歌で天下をとろうと勉学に励む。
あまりにも有名な人物であるからこそ、あまり知られていない実像を知って驚き、その人物像に魅了された。父との確執や、兄、妻、親友、家臣との親交や別れ、学問や幕政への思いは読み進めるほど重みが蓄積し加速し、特に後半は一気読みだった。
前作『天地明察』も良かったが、分量も内容もさらにスケールアップし、読みごたえのある作品だった。 -
かっかっかっと笑うシーンも印籠も無い。
菓子箱の下に小判を入れて、『おぬしも悪よのぉ』
と言うセリフも無い。もちろん由美かおるの入浴
シーンもある訳が無いが確かに読み応え十分有り。
紋太夫の生きる時代がもう少しだけ後になってい
たのなら紋太夫は時代に名を残せる偉業を成し遂
げたのかもしれない。生きる時代とタイミングが
合ってさえいれば…あのタイミングでは光圀も苦
渋であるが生かしておけなかったんだろうな。
読了感は大きな達成感だ。光圀の生き様が大きす
ぎて、もっともっと頁が欲しかったとも思う。
映像化に期待感がある。これなら大河ドラマの視
聴率が上がるのは間違いないと思うし…そうなっ
って欲しい。
『天地明察』の外伝的な要素も少しあり楽しめた
どちらも主人公が何故自分が?と言う苦悩のまま
時間が経過していく。大義の為に人はどれだけ本
気になれるのであろうか?と考えさせられた。
水戸へ歴史探訪に行きたくなった。
冲方さんに、今後も歴史大作を期待します。 -
750ページにも及ぶ大作で密度も濃い。久々の本格歴史小説を堪能出来た。絶頂期の司馬遼太郎の作品に近いものを感じた。登場人物が全て魅力的で特に泰姫には惚れた。映画化するなら宮崎あおいかな、お付きの左近は、美人だから香椎由宇あたりがいいかも。しかし、冒頭が死で始まり、底流に流れるのは死の連鎖であり死の物語でもあった。次作は、この物語にも重要な位置付けで登場した宮本武蔵を書いてもらいたいな。
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光圀さんってTVのお気楽なご隠居さんのイメージで読みはじめたら…幼少期から何故自分なのかを問い続け、結構辛い思いを抱えた「義」の人で、理解者との別れも多く、泣けました。
読者サービスでチラッと算哲も登場し(つながってたか〜)、もう一度「天地明察」を読みたいと思わせるところあり。 -
【今年No.1】
総700ページ超のハードカバー仕様を2日に分けて約6時間かけて読み終えた。
「壮絶に面白い」
これが感想だ。
読んでいる間は、本書に描かれている光圀公の熱量に圧倒されっぱなしであった。
己の出生を呪い、義を求め続けた青年期。
家族、友人の死に打ちのめされながら進んだ成年期。
文学や史書の発展に身を尽くした壮年期。
ここにはTVのような勧善懲悪劇は殆ど描かれていない。
義とは何かを求め、詩で天下を取るという欲望をギラつかせ、史書に人の生きた証を込めた水戸光國公の生涯がある。
蛇足かもしれないが、義に生も悪もないということが改めて分かる。
義はただ純粋に、義である。
「これは義であるか?」
常に己に問いたい言葉だ。
おそらく、来年の本屋大賞の有力候補になるだろう。 -
「天地明察」に次ぐ第2弾。すばらしい本に出会った。「明察」が傑作だっただけに2作目は厳しいと思っていたが、初めて山本周五郎「樅の木は残った」や司馬遼太郎「竜馬がゆく」高橋克彦「炎立つ」を読んだ時のような衝撃。しかも、単なる伝記ではなく、詩文の世界の頂点を目指す光圀、大義を追い求める光國が、生き方のすべてを「義」の一点に集約させるために手塩にかけて育てた家老を自ら殺さなければならないドラマを中央に置いたかつてない小説。750Pの長編ということもあり「明察」ほどには受けないだろうが、文句なしの★★★★★。こちらの方が遥かに衝撃が深い。幾度も涙をこらえねばならない場面もあり、ゆっくりと時間をかけて何度も戻りながら読んだ一冊。
「大日本史」編纂という大事業。何故この世に歴史が必要なのか。「人が生きてこの世にいたという事実は、永劫不滅である。」と。
長たるもののあるべき姿も示す。「藩主として最初になさなければならなかったことは「宣言」である。・・藩主とは「託す者」である。託すことの重さこそ、宣言の重さであろう。史書は宣言の軽薄を教えるものではない。宣言ののちに到来する人の世の重みをいかにして背負うかを教えるものである。」
尚、光圀の字は、もとの「國」は惑いに通じることから、晩年、八方の字「圀」に置き換えた不惑の名ということ。 -
[2012.10.04]
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先日本屋で、冲方丁のインタビューを掲載しているFREEのPR用小冊子「『光圀伝』入門書」を貰った。いつ読もうかな、、、先日本屋で、冲方丁のインタビューを掲載しているFREEのPR用小冊子「『光圀伝』入門書」を貰った。いつ読もうかな、、、2013/01/18
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いやあ、これは大作であった。かの大作、天地明察を凌ぐボリュームでありながら、一気読み必至であり、読み進めるにつれ、話が終わることが惜しくなるのは久しぶりである。人の一生を描く伝である以上、その誕生から死去までの全てを、偉人とはいえ、今は亡き過去の人間像を深堀した話を紡ぎだすための取材と知見は、一体、如何程であったであろうかと思うと、素直に脱帽である。何故、自分なのかというレーゾンデートルに悩む幼少期と青年期から、それを義として見出し、それを助ける伴侶と友人を得た以降の壮年期が圧巻である。話は時間軸とは別に己の回想を交えながら進行するが、その回想に大きくかかわる、お手打ちに至るまでの伏線は武蔵の時代から延々と張り続けたせいか、その結末は少々、拍子抜けに終わったが、それも又、良いだろう。それにしても煌びやかに登場する歴史上の人々を生き生きと描き、まさしく人が生きたことを後世に残すという意味においては、光圀の想いに通じるものがあるだろう。いやあ、まいった。これでは、万能兵器たる鼠の物語や、天かけ地を駆る妖精達の続きを、一体いつ書いていただけるのか、でも歴史ものも読みたい、どれでもよいから早く次回作をお願いしたい。
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「水戸黄門」の諸国漫遊は、フィクション。
では、本当の水戸光圀とは?
ボリュームに見合う、読みごたえがあった。
多才な人。
当時にしては長寿。
だからこそ、多くの別れと出会いがあり、泣ける。
後世の水戸藩の性質も、この流れなら当然。
http://koroppy.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-3499.html-
2012/10/05
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2012/10/06
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作品にのめりこんでいると、
数日かかっても、一気読みって気分ですよね^^
私も今回は、さすがにボリュームがあって、
数日かかっちゃいました...作品にのめりこんでいると、
数日かかっても、一気読みって気分ですよね^^
私も今回は、さすがにボリュームがあって、
数日かかっちゃいました(笑)2012/10/06
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『光圀伝』こりゃおいしい題名だなあ。
水戸の黄門様は全国民的有名人なので,このタイトルだとかなりの人が書店で「へえ黄門様の物語なのかぁ」と手にとってみるだろう。
そしてこう思うのだ。「あ,こんなに厚い本なのかぁ。しかもなんだかびっしりと小さい文字が並んでいるなあ,こりゃあ読みきれんわ,残念」とまあこうなってしまうだろう。
もっと薄い本にしておけばもしかすると大ベストセラになったかも知れない。。。
まあそれはさておき,どうしてここまで厚い本になっちまったのかは読んでいると分かる。そう同じである。何と同じかって,そりゃ『天地明察』と同じ語り口で同じ様子のストーリ展開である。同じ冲方ちゃんが書いているのだから同じでいいのだけれど・・・
しても冲方丁の作品にはこのように突如として長いものがある。強烈に残っている記憶は『マルドゥックススクランブル』(題名これで合ってるか?)である。この本はなんだかファンタジ小説の様な感じなのだけれど,なにしろ本が厚くて字が小さくてそして行間が狭い。わたしはこの本を一旦は入手して読み始めたものの途中であきらめて投げた経験がある。まあ当時『天地明察』が本屋大賞を取ったので,冲方丁って他にはどんな作品があるのかなあ,と思って興味本位で読み始めたものの,ハッキリと「あ,はづれたぁ」と思ったのだなあ。
というわけでこの『光圀伝』も読了するにはそれなりの胆力が要ります。ゆめゆめ侮ること無かれぇ~。わはは。 -
スルーしてもらってかまいません(笑) うちは昔から大河ドラマを見る家庭なのですが…今、沖方さんの光圀伝が出ているので、(まだ誰も読んでない(笑))それが大河化されたら面白いし、いいよねと、母と妹と私で話ていました。
んで、主人公は誰がやるかって話で勝手に盛り上がり…。
沢村一樹、堺雅人、小栗旬、山田孝之、佐藤浩市… 色々案が出たけど、椎名桔平とかどうかな??
若いとき→小栗旬、中年→佐藤 浩市 とかさ…って一作品でそんな豪華にできるわけないよね(笑)
光圀伝もマンガ化されて私の好きな作者なので、それもうれしいけど、肝心の沖方さんの原作はやはし格式高い感じで、ちょっと難しそう…。どうやら、光圀は人を何回か殺したことがあるようで、そのへんも奥が深そうです。
ちょうど民放の水戸黄門はやってないし、大河化されたら、水戸も観光客とかで、にぎわうんじゃないかなあ。と、地元民は考えてます(笑)
…はい、マニアックでした。 -
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やっぱ書けないやレビュー、大作すぎて
断片的にしか知らなかった光圀公の生涯が
本の重さとともにずしりと伝わってきました。
泰姫がステキでした。-
「大作すぎて」
文庫を待たずに、図書館に予約しなきゃ←してもなかなか回ってきませんが。。。「大作すぎて」
文庫を待たずに、図書館に予約しなきゃ←してもなかなか回ってきませんが。。。2012/09/07
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二代目水戸藩主、水戸光圀の生涯を描いた超大作。
辞書のような分厚い書籍だが、時間を掛けてでも読む価値のある一作だと思う。
舞台は、戦国の世が終わり太平の世となった江戸初期。
「学問」を極め、自分の義を求めて、それを見出し貫き通す彼の一生が綴られている。
彼が義を見出すことを支える登場人物たちも個性豊かで、同じ志を持つ人との出会いや別れがストーリーに彩りを添えている。
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今の子どもたちは知らないかもしれませんが、水戸黄門です。諸国漫遊はしません。スケさんやカクさん、ましてや弥七も飛猿もお銀も登場しません。ただ、光圀の武士としての矜持、文治政治の志は熱く伝わります。誰に刃を突き立てたのか?最後はグッときました。
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かなり前に天地明察を読んで、読みたかったのになかなか読めず、今回ようやく読めました。これぞ大作と言う感じで、時代小説の枠の中に収まらない迫力も感じました。各キャラクターが立っていると言うは、こういう事を言うのですね。