みかんとひよどり (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041108932

感想・レビュー・書評

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  • 「シェフは名探偵」と同じ作者さんということで、手にとった本。ジビエ料理は食べたことがなく、作中で出てくるお料理や動物の名前を一つ一つ検索しながら読んだ。
    野生鳥獣と食卓に並ぶお肉とで何か違うのかすらよく分かっていなかったので、勉強になることがすごく多かった。

    農村への野生鳥獣被害を防止するため、野生鳥獣を狩猟しており、野生鳥獣肉(ジビエ)を有効活用するため、ジビエ料理というものが推進されているんだそうな。なるほど、、。

    私たち人間の都合で動物たちの命を奪うことは、本当は避けたい。害獣と呼ぶけれど、それは私たち人間主観の、人間都合の考え方。

    でも、人間が農業をやっていくためには野生鳥獣を捕獲することは必要不可欠。(野生鳥獣による農作物の被害額は160億円前後!)
    捕獲数は近年大幅に増えているが、ジビエとして活用されるのは1割程度らしい。

    野生鳥獣たちの命を、無駄に殺して焼いて、そのまま骨にしてしまうのではなく、せめて美味しく食べることでもっと有効活用していけたら。無駄な命にしないことで、少しでも動物たちへの弔いになれば。(そんな簡単な話ではないんだろうけども…)

    印象に残った文章は、
    「人の都合で働かされ、人が仕掛けた罠で怪我をしたからといって見捨てられる。大高はそんな人間の身勝手をたくさん目にきてして、だから、他人との関わりを避けているのかもしれない。」

    「大高を世の中から距離を置いた、世捨て人のように思っていた。だが、ここには大高の世界がある。生き物の命と直接向き合い、山や木々の声を聞く。〜略〜
    大高の世界は、ぼくたちの社会とは別の豊かさで満たされている。」

    たくさん美味しいごはんが出てくること、ほっこりした展開を期待して読んだが、思った以上に深く、命について、ジビエについて考えさせられた。

  • 近藤史恵さんの美味しそうな作品を読んできて、これが3作目。
    私の以前の勤務先のオーナーがジビエ料理を作ることのできる人で、時々賄いにもなった。
    猟師さんから電話があり届けられるところから、料理となるところまで見たことがあり、猟の話も聞いていたので、この話はすっと入ってきた。
    巻末、坂木司さんの解説がとてもわかりやすく、坂木さんの近藤さんファンとしてのおまけの話はとても共感!
    私も続編を期待します。

  • ジビエ苦手だけど…まぁ料理の内容にお腹がギュルギュルと鳴りました(´Д` )笑

    アレ食べるな!ソレ食べるのはダメ!
    クジラ?イルカ?
    何なら食べるのが良くて
    何なら食べるのが非人道的なのか?

    わたくしは反対する方たちの気持ちには賛同してないのですが(ゴメンなさい)

    ジビエ…狩猟…色々勉強になりましたm(_ _)m


  • 2019年2月角川書店刊。2021年5月角川文庫化。ジビエ料理と調達とそれを取り巻く人々と犬達のストーリー。ジビエ料理って難しいもんなんだと思いました。

  • 伸び悩み、次なる成長を模索するシェフと世捨て人のように人との繋がりやしがらみを極端に排除して生きる猟師。
    そんな二人が出会い、お互いの問題を乗り越え成長するお仕事小説であり人の成長を描いた小説。
    ジビエ料理にはなかなかご縁がないのですが生命と真摯に向き合うシェフが作る料理はどれも美味しそうで実際にあるお店なら行ってみたくなる!
    愚直なほどに生命と向き合うとっても素敵な物語でした。

  • 自分がジビエや食べることが好きだからだろうか
    この本と出会ったタイミングが良かったからだろうか
    派手な本ではないが久しぶりの大ヒットだった

    筆者も、食材や提供する人のことを考えながら調理された皿を味わうのが好きな人種だとわかる
    こういった食事の楽しみ方をする人はつい信用してしまう

    大高のような暮らしについて最近考えていたので、それもちょうどよかったな

  • こんなにもグルメ×ミステリー小説が多いなか、どういうジャンルの料理を取り込むかは、ある種のニッチ産業のように思います。そうだ、ジビエ料理というのはこれまでありませんでしたね。

    料理学校では優等生、星付きのレストランで修業もしたのに、いざシェフを任されると次々と店を潰してしまう主人公・潮田。ジビエを偏愛する女性オーナーの目にとまったものの、またしても閑古鳥。猟に入った山で遭難しかけたときに助けてくれたのは、いたって無愛想な猟師・大高。

    なんとも美味しそうな料理にヨダレが出そう。だけどこの著者のことだから、予想していたよりもずっとミステリー。鹿の出没にうんざりするわが家の周辺ですが、本作を読むと少し見方が変わる。

  • 雇われフレンチシェフの亮、無愛想な猟師の大高、ジビエが好きなオーナー。それぞれがとても個性的なんだけどリアリティがあって、犬のピリカとマタベーも含めてみなが魅力的だった。

    “そこで生きていた命を、ひと皿の料理にする。”

    そんな料理をこれまで食べたことはない。みかんの香りのするひよどりって何?ひよどりどころかジビエもほぼ食べたことがないけれど、文章をたよりにどんな味なのか、どんな香りなのかを考えるのは楽しくて想像力がかきたてられた。

  • 生きる、肉を食べる、とはどういうことなのか。
    私はすごく考えさせられたし、共感しました。

  • ジビエの話‥。
    知らない世界なので興味深かったけど、軽いサスペンス仕立てにする必要はあったのかな?

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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