君たちは今が世界 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041111529

感想・レビュー・書評

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  • けっこう重めな読了感。
    とってもリアルな感じで本当の教室の様子を覗いているよう。
    同じ年に産まれ、同じ地域に住んでるだけの子ども達が教室という空間に入れられ1日の大半を過ごす。大人になれば、そんな世界は珍しくいくらでも逃げられるのだけれど、子ども達はそうはいかないところがツラい。二章に出てくる杏美のように『こんなものは、全部通り過ぎる』と思い過ごしてくのが良いのか。。。
    でも、大人になっても色んな性格の人に出会うし、合う合わない関係なしに人付き合いとして会わなくてはいけない場面もある。
    気を付けたいのは、その人にはその人なりの背景があり成り立っているのだということ。
    自分だけの価値観で決めつけてはいけない。
    親目線で読んでいたが、私も気を付けないとなと改めて感じた。

  • 教室というせまーい空間に閉じ込められて1日過ごす。
    何十人もいれば何十通りの人間、考え方、性格がある。教室の中の違うグループから物語が進められており、それぞれの思いが痛いほどわかった。

    みんなが小学校卒業したあとどんな道を歩んでいったのか、続編もあるなら見てみたいと強く思った。

  • きつい、読んでいて心がきつくなった。
    けれども、小学生の頃のことを思うと、たしかにここに描かれている、「その時」の世界に生きていたな、と感じる。振り返ると消し去りたいこともあるさ。

    色々なことを経験し、感じていく子どもの親として、どうすればいいんだろ、というのをこれからずーっと考えていくことになるのかな。

    子どもも親を含めた大人にすべてを話すわけではないし、なるべく偏らないよう、子ども自身の考え方を敬いながら接せられたらいいな。

    なかなかきついけれど、覚悟の持てる一冊。

  • 小学生の頃、学校で友達がいないことや仲間外れにされることは恐怖だった。隣のクラスが荒れて先生が休職してしまったのも怖かった。
    まさに「今が世界」で毎日が緊張に満ちていたことを読みながら追体験するようで、ハラハラしました。実際にこんな状況にある子どもたち、先生、親がリアルに存在するんだよね。

  • いろんな子にいろんな事情がある。
    言葉や行動のウラ側を想像できるような人になりたい。ほのかちゃんのように自分以外の人の幸せを考えられる人になりたい。

  • 重松清さんの、「きみの友だち」に通じるものがあるオムニバスだと思った。

    最初の章はとにかく「いやなかんじ」がするのだけど、でも各章絶妙な終わり方で、読後が悪くない。

    どこかで教室で起こったことをすべてわかってくれる存在がいて、言えないことも全て汲み取ってくれて、スカっと勧善懲悪してくれたら気持ちがいいけど、でも世の中そうはいかないんだ。だから「自分が変わらない限り叶わない」という先生のメッセージ、いいと思った。

    エピローグの終わりもいい。私自身も、描かれなかった彼ら彼女らについて、もっと知りたいと思った。

    文庫で手元に置きたい。

  • 子供の頃のあの閉塞していた世界。
    私が子供の時よりも、今の子の方がずっと難しいのかもしれない。現在小5の娘の毎日もこんなふうなのかしらと思ったら胸がギュッとなった。程度の差こそあれ、こういうことは、きっとある。

    大人はこんなにも心配しているのに、子供には見えていないものがたくさんある。そして子供は「大人は何もわかっていない」と思っている。

    生きていてくれるだけでいい、と思ってしまう。楽しい気持ちも、怖い気持ちも、めんどくさい気持ちも、憧れる気持ちも、好きな気持ちも、嫌いな気持ちも、きっと、全部が本物で、併存している。一言で言い表す必要はないんだよ。全部の気持ちをそのままかみしめて、飲み込んでしまえばいい。生きていてくれるだけでいいよ。

  • 一言で言うと、「生々しい」!!
    小学6年生の小さな世界が、リアリティたっぷりに大きく描かれていました。同じ小学6年生の娘がいますが、彼女から見えている世界はどんなものだろう?と考えるきっかけになりました。
    決してハッピーエンドというわけではなく読後の清涼感はないものの、最後に大人になった彼らのその後が少しでも書かれていたことがありがたかったです。

  • 小学生の様子がリアル。
    作られた感じや、綺麗にまとまった生活が多い中かなりリアルに黒い部分が書かれている。

  • キョロ充、陰キャ、発達障害、ヤングケアラー、私たち大人がつけた名前を、彼、彼女達はまだ知らない。
    箱庭を覗くような読書体験だった。
    時代も、都会度も全然違うのに、自分がかつて居た教室と同じものが揺蕩っていて、それが分かる私は、まだ、ここから抜け出していないのではないかと思って怖くなる。

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著者プロフィール

1976年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。2000年、ノンフィクション『光さす故郷へ』を刊行。06年、群像新人文学賞受賞作を表題作とした『憂鬱なハスビーン』で小説家としてデビュー。その他の著書に『彼女のしあわせ』『憧れの女の子』『不自由な絆』『あの子が欲しい』『自画像』『少女は花の肌をむく』『人生のピース』『さよなら獣』『人間タワー』など多数。

「2021年 『君たちは今が世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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