たとえ祈りが届かなくても君に伝えたいことがあるんだ

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 428
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041120712

作品紹介・あらすじ

高校2年生のなずなのクラスメイト鈴白くんが突然命を絶った。
彼は明るくて容姿も成績も良く、悩みがなさそうな人。だから自殺なんてしない。皆そう思っていた。
彼の悩みに気付いていたらと後悔が膨れ上がり、鈴白くんと一緒に作った思い出の砂時計に「時間を巻き戻したい」と願って眠ると、
翌朝なずなは一ヶ月前に戻っていた。あれは夢だったんだと安堵し、普通に毎日を過ごしていたが、彼はまた死を選んでしまい――。
ループする中で、なずなは鈴白くんを救えるのか?

学校では教えてくれない大切なことの全てがここにある!

何気ない毎日が愛おしくなる、勇気と希望の青春物語。

感想・レビュー・書評

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  • クラスメイトの自殺を止めるため、1ヶ月前にタイムリープしていくが、何をどうしても自殺を止めることができない。彼を救いたいけれど、どうしたらいいのだろうか。

    主人公はクラスメイトの死を回避するためにあの手この手で彼の心の悩みを聞き出そうとする。1ヶ月という限られた時間で、人間関係を作り上げる難しさ、心の壁を破る難しさを突きつけられると同時に、必死になる主人公を応援しながら読んだ。

    人間、生きていれば悩みはつきもの。人に相談したり、自分で解決したり、悩みとの向き合い方は様々だ。近しい人でも打ち明けられる悩みと、近くないからこそ打ち明けられる悩みと、悩みの種類も多種多様である。

    この作品は、そういった人には言えない悩みを抱えている人、そして、人に言えない悩みを持って自殺してしまって人が身近にいる人にも優しく寄り添ってくれる。
    生きていればきっといいことがあるよ、などという慰めにもならない慰めの言葉よりも、小説だからこその説得力のあるメッセージが込められていた。

  • ほんとに、ずっと死にたい死にたいって思い詰めで自殺しちゃう人もいるし。
    死にたいとか思ってなくて、自分は幸せだって思ってる人でもふとした瞬間にあっ、死のうかなって死んだらなんか悩んでることも無くなるしってなって突然死んじゃう人もいるんだなって思った。

    相談して欲しかったって言われても、親や友達とかに相談するようなそういう環境とかじゃなくて自分の性格が相談できなくしてるから周りがこうしてればとかじゃどうにも出来なくて。
    だから、自殺したひとを見てなんで助けられなかったんだろうとかなんで自分だけとか思わずに、ただそういう選択をしてしまっただけど残された人は考えた方がいいよねって納得した。
    残された人はその人の教訓を活かして1人でも自殺しない人を減らそうとかそんなことどうでも良くて。
    人の死を活かしてとか言えるような立場じゃないしその人の死を活かさないといけないほどその人は生きてる間は何もしなかったのかって言われたら全然そんなことなくて、だから。
    ただ、お疲れ様っていうか。私は生きるよって思っていればいいと感じた。

  • 過去に戻っても、何度やり直しても変えられないことはある。最後は過去を変えられないまま終わるところも良かった。
    その人が望まない限りその人の心の内側、核心に触れるのは不可能なのかもしれないと感じました。
    自分の心がすり減っていることを自覚することは大事だと思う。どんなに恵まれた人でも、ある日ふと死にたいと思うことは誰にでもあると思う。そこにたまたま自殺できる手段、環境があったかどうかで変わっちゃうのかなと。
    鈴白くんがなんで自殺したのか知りたかったけど、あえて明かさないところも良かった。主人公と同じ目線で、なんでなのかわからないまま助けられなかった絶望を一緒に味わいました。

  • 感涙。
    鈴白くんの自死を阻止すること3回。
    4回目、薊くんと共に阻止することを決意するなずな。
    「何で死んだんだ」

    多くの中高生に読んでほしいなあ。現実の女子高生の気持ちをよく理解されていて、流石です。汐見夏衛さん。

    #中高生

  • 自殺したクラスメイトをとめるため過去をループする主人公の話。
    『過ぎた時間は決して戻らない。絶対に戻せない』
    …読み終わってからは、色んな思いが巡る。
    ハッピーエンドとは感じないので、複雑な感じです…
    『逃げ道だとしても、その道が、自分を大切にして生きていくための最良の道なら、堂々と選んでいい』
    『救いを求める手を、迷わず誰かに差しのべてもいいんだよ』
    これを読むことで違う道を選ぶ人が増えるといい。落ち込んでる時に本なんて読めないけども、ふと思い出すように…1度は色んな人に読んで欲しいなぁ。

  • 作者のメッセージが心に響く作品だった。

    主人公は高校2年生の露草なずな。
    クラスメイトの鈴白君が突然命を絶った。
    勉強が出来て人望も厚かった彼が何故?

    自分に何か出来たのではないかと後悔に苛まれていたなずなだったが、鈴白君と一緒に作った思い出の砂時計に願いを込めると一ヶ月前にタイムループする。
    果たしてなずなは彼の自殺を止める事が出来るのか。

    生きていると良い事ばかりじゃない。
    人の悪意や汚れた部分を目にし絶望する事も多々あるだろう。
    けれど生きていれば未来が変わる可能性もある。

    今、苦しんでいる人に手に取って欲しい一冊。

    • yuto0410さん
      ブクログの読み方がわからないです。どのように読むんですか??
      ブクログの読み方がわからないです。どのように読むんですか??
      2023/06/16
    • よつばさん
      yuto0410さん、はじめまして。
      ご質問の意味が良くわからないのですが、「ブクログ 使い方」などで検索されてはいかがでしょうか?
      あ...
      yuto0410さん、はじめまして。
      ご質問の意味が良くわからないのですが、「ブクログ 使い方」などで検索されてはいかがでしょうか?
      あと、ブクログ内にも「サポート」がありますので、そちらでお調べください。
      2023/06/16
  • ループもので解決しないと繰り返し、
    印象的な仲良くなりそうもない人とバディになり
    解決を目指すパターン。

    設定自体はありがちだが、助けるのを諦める
    というのが新鮮だった。
    そこまでして死にたいのを無理に止めるのが正しいのか
    という考えに至れるのが良いと思う。

  • 記録用

  • なずなさん、友達のために頑張れる。すごくすごいと思う(笑)薊くん、じつは優しい。すごいと思うけど、もうちょっとがんばってもよくない?ていうか、二人とも。
    鈴白くんの妹ちゃんに教えてもらった、「泣いているところ」に突撃できたら、なんとかなる…気がしなくもない?なずなちゃんの作文に感動しました。まじでそのとおーり!だと思う。先生、作文コンクールでなずなちゃん選んでくれてありがとう。

  • これも設定ありきな感じがしたけど前読んだものよりはしっかりと描かれていたように思う。特徴的な比喩やどんでん返しなど驚くような何かがあるかと言われると特にないので読書体験としてこの作者の作品は単調になりやすいのかもしれない。

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著者プロフィール

鹿児島県出身、愛知県在住。高校国語教師としての経験をもとに、悩み疲れた心を解きほぐす作品を目指して、日々執筆活動をしている。代表作となった『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』(スターツ出版)が、様々な年代の共感を呼び、現在最も注目される作家。他に『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』『ないものねだりの君に光の花束を』などがある。

「2023年 『たとえ祈りが届かなくても君に伝えたいことがあるんだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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