潮風メニュー (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 189
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041127483

作品紹介・あらすじ

海果が一人で始めた小さな海辺の食堂は、その日の朝にとれたての魚介類と、地元の野菜を使ったシーフード料理が大好評。人気俳優の慎がロケに使った店ということも相まって、軌道に乗り始める。しかし、母が残していった借金完済までにはまだまだ道のりは遠い。そんな中、この店ごと買い取ってサーフィンショップにしたいと言う人が現れる。店の存続のピンチに、海果は気が休まることはない。そして、海果の相棒で、しっかり者の愛は、映画に出演し、初恋の予感!? 迷子のサバトラの子猫も店の一員となり、海果の周囲でさまざまな人生が動きはじめる――。誰にでも居場所があり、がんばっている人の背中は、きっと誰かが見ている。温かなまなざしと希望にあふれた再生の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 『潮風キッチン』の続編。神奈川県葉山町の食堂を舞台にした小説。1作目で慣れ親しんだ空気感に再び触れ、海近くのこじんまりとした食堂で金銭面の苦労がありながらも、地元の魚市場や農家から傷物の原材料を安く仕入れ、楽しく食堂を切り盛りする様子にとても心安らいだ。本作では中学校でのお弁当販売も開始。
    どの登場人物も、それぞれ抱えているものはあるが、他人への優しさを忘れず素敵な関係。食堂のすぐ裏が浜辺というのも良い。そんな町で過ごす青春時代は楽しそう。更なる続編を期待!

  • 海辺の田舎町でお店を構える女性と
    その周りの人々のお話。

    それぞれが何かを抱えながらも
    それぞれが支え合い
    お料理を食べて前を向いていく。

    温かい人の感情が
    読み取れるお話でした。

  • シリーズ二作目と気づかずに読んでしまった、
    これよくやってしまう。。笑
    前作を読んでいないので細かい設定とか知りたいことたくさんなので、読んでみたいなー。

    訳ありの2人が困難に立ち向かって生きていく物語で、フードロス問題やヤングケアラーもあり。SDGsを物語でさくっと読ませるのに良いとおもう。
    ただ、中学生の女の子に対してのバストについての描写がもったいなかったかなー。

  • 借金を残したまま母親が家を出て、一人になった18歳の海果

    母親が入院、父親が不在の中学1年生 愛と2人で築50年の小さな居酒屋〈つぼ屋〉を切り盛りしている

    ようやく経営の見通しがたちはじめたところ、店ごと買い取りたいという申し出があり……

    愛を気づかう若い漁師の一郎はプロ野球への思いを秘め
    左遷のピンチにある信金職員 葛城は離婚調停に臨み
    陰のある人気の若手俳優 慎は父親の選挙で海外に身を隠している

    葉山の小さな料理店を舞台に“自分の居場所を見失った人々”が再生し、希望を見つけていく“爽やかな感動の物語”

    旬のメニューにくわえ
    〈出演者全員がそれぞれ主役〉
    〈心が無添加〉
    〈フードロスはハートロス〉
    など、心にしみることばも味わえる

    〈人と人は、ときとして本物の家族より強い絆で結ばれる事があるのだろうか……。〉

    『潮風キッチン』に続く第2作
    愛らしい“登場動物”もくわわって、2022年9月刊

  • 明るく生き抜く力を与えてくれる。
    それが喜多嶋隆さんの小説です。

    それは、そこに描かれている登場人物が
    皆それぞれ一本芯の通った生き方を
    しているから。
    もちろん、胃が痛くなるくらい悩み
    死にたくなるくらい追い込まれ
    涙も枯れはてていても、
    自力で、仲間たちの助けで
    それは1本芯の通った生き方に変わっていく。

    たかが、小説の一物語なのかもしれないが、
    これはごくごく身近に存在する、
    さまざまな問題解決ストーリーでもある。

    読者がどこまで深読みできるかわからない。
    私があらぬヒントを与えてもいけないが、
    ふたつだけ記載するとすれば、
    どんなにピンチでも、仲間は必ず助けてくれる。
    逆に助けるのが仲間ともいえる。
    逆に言えば、人づくり、
    仲間づくりが大事であるという事。
    もう一つは、仲間づくりのためには、
    まっすぐで、正直で、芯を持っているという事。
    小説の中では神様は見ている
    的な話が出てきますけど。

    総じていえば私のコンセプトでもある。
    「与えるものは与えられる」
    「5give 1take」
    その精神が流れている小説だろう。

    ストーリーを伝えることは簡単であるが
    あえて、ストーリーは伝えない。
    それは読者に感じてほしいからです。

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著者プロフィール

5月10日東京生まれ。コピーライター、CFディレクターを経て、第36回小説現代新人賞を受賞し作家に。スピード感溢れる映像的な文体で、リリカルな物語を描き、多くの熱烈なファンを獲得している。近作は『地図を捨てた彼女たち』『みんな孤独だけど』『かもめ達のホテル』『恋を、29粒』『Missハーバー・マスター』(すべて角川文庫)、『海よ、やすらかに』(株式会社KADOKAWA)など。湘南・葉山に居を構え執筆と趣味の海釣りに励む。

「2022年 『潮風メニュー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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