- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041365076
感想・レビュー・書評
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表題作のほか、「公害殺人事件」「殺意の架橋」「虫の息」「電話魔」「虚無の標的」の六篇を収録した短編集である。初版は昭和50年に発刊されているが表題作は45年に『小説現代』に掲載されたもの。前年の44年に作者は江戸川乱歩賞を受賞し、推理作家としてデビューするが、当時、乱歩賞受賞者はまず同誌に短編を発表するのが慣例となっていた。だが何度提稿しても、なかなか掲載のOKが出ず、ようやく六本目にして掲載になる。作者は同作品を「当時の苦悩が滲んでいるような作品」と回顧する。
作者は当時、自身の推理小説観を問われ「エンターテインメント。ストーリーに重点を置いた、読んで面白い小説でないといけない」と哲学を披露している。本書作品群もその点においてうなずける。簡潔でプロットがよく練られている。上手いなと思わせる。登場人物が利己主義者で倒錯した人間ばかりなのは、いかにも森村作品。表題作は犯人が職場で導入された科学的管理法を逆手に取り、殺人行為の伴わない殺人を着想し、成功するというもの。「殺意の架橋」は物理トリックを用いた本格推理作品で「虫の息」は倒叙推理だろうか。「虚無の標的」は異色の文学的な作品になっている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
箸休め(って、ここんとこ箸休めばっかりかも)の1冊。こちらは予想通りに軽く読める。短編6篇を含む、森村誠一の初期短篇集。
初期の作品だけあってか、とにかく淡々と話が進む。特に表題作は「実はこうだったのだ」というのがどんどん出てくるのだけど、情報の隠し方がイマイチなので、淡々とした記述に「ああそうだろうねえ」という感想以外抱かず。
しかし、2作目からは森村節の反体制(巨大企業)や残存証拠などの話で、しかも一捻りふたひねり入れてくるので、犯人もオチも読めていても、引き込まれる安定感がある。
1編の長さ的にも、電子書籍に向いた1冊と言えよう。 -
82017.248
最後の短編など、推理小説ではないがよかった。