- Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041422076
感想・レビュー・書評
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卑屈のしくみがよく分かります。
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20年位前に映画で見た原作を初読。映画自体、よく覚えてはいないもののなんとも悶々とする内容だったわけだが、小説のほうがさらにきつかった。
前半と後半で語り部が違うが、いずれも「マゾ」としか言いようのないキャラクターで、どこをどう読んでも痛い。始終「アイタタタタ」と悶絶しながら読まなくてはならなかった。
まあそこまでの感覚を呼び起こさせるという点では、真に迫っているわけで、日本映画とその周辺のいやらしさや暗さというようなものがよく表現できていると思う。
最後の階段落ちは、映画ではフォローされてたんでしたっけね?改めてみようと思いませんけれども。
今の時代だと、いじめだの暴力だので、もうテレビでは放映できない内容ですからね。 -
学生の頃、3年ほど映画館でアルバイトをしていた。仕事は入場券の切符切りと、上映後の館内清掃。松竹映画系の400人ほど入る中規模の劇場で、8人の社員で運営するアットホームな劇場で、楽しく働いたことを覚えている。「蒲田行進曲」は、それまでの松竹映画に無い快活で面白い映画で大ヒット間違いなしと思ったのに、意外に客が入らずにガッカリした。その後、日本アカデミー賞を取ってリバイバル上映が行われ、いつもは静かな館内が大勢の観客で賑やかになった時はとても嬉しかった。今はもう無くなってしまった映画館の記憶と共に、映画の面白さや楽しさを伝えてくれた心に残る作品だ。
古本屋でこの本を見つけて、懐かしくなって読んでみた。ストーリーは割愛するが、主人公のヤスの視点、小夏の視点で、映画同様にテンポよく語られて、とても読みやすかった。映画では、登場人物の本音の部分を映像だけで描くのは難しい。シェークスピアのような舞台では、独白という形で心情を吐露するが、小説では映画で描けなかった主人公たちの心情が表現されていてとても面白く読めた。よく小説と映画を比較して映像の再現性に拘る人もいるけれど、そうではなく双方の良さを理解して、見たり読んだりすれば、より深く楽しめると思う。 -
請求番号:B/Tuk
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家の本棚にあったし、有名な作品だな、と思ったので読んでみた。
ひたすらに物悲しくて胸がキューッとなる話なのに、蒲田行進曲のようにテンポよく、喜劇みたいに進んでいく。
イライラする。ヤスみたいな人だいきらい。だけど生きている人のほとんどがヤスのような人なのだ、自分だってきっとそうだと思うと余計にイライラする。
銀ちゃんみたいな人は少ない。だからこそ惹かれる。小夏は可哀想だった。だけど幸せでもあった。難しい。
本当に、どこかで実際に起こってそうな物語。だからこそ読むのがツライのだ。読みやすかったけど、読み返すのは今はちょっと無理。 -
銀ちゃんと、そっくりな人と働いている。とても疲れる。でも、魅力がある。20年くらい前に、初めて読んだときは星2つくらいだったかも…あまりに似ていることに畏れ、★追加。
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共感できなくて入り込めなかったが、自分とはかけ離れている分、魅力的な人達。でも、ヤスの小夏に対する態度はありえないなぁ。それができるから面白いのかもしれないが…
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小説で酔うという経験を、はじめてした。
前半、ヤスの話で見た銀ちゃんとヤスの関係が、ゆがんでいながらも一つの形として成り立っていたのに対して、後半、小夏投入からの転調が激しくて、思考が定まらなくなった。
理想と現実の間で、もがかずに進んでいく人たちのように感じた。それは前向きと言うより自棄のようで、立ち止まって考えることをなぜしないのかなんて思っちゃうんだけど、立ち止まれる余裕なんかないんだよね……。 -
つかこうへいさんの作品はあまり読んでゐませんが、訃報を聞いてこの本を開いてみました。
「蒲田行進曲」小説版であります。映画は3回ほど観ました。
最初に観たのは、高校で鑑賞会みたいなものがあり、講堂といふか体育館みたいなところで観た覚えがございます。高校生の私は「純愛物語だな」と理解して満足しました。映画の中には、青少年向きではないシーンもあり、女性の先生たちは目をそむけてゐました。そんな反応をするなら生徒に見せなきやいいのに。
小説版は元元「銀ちゃんのこと」といふ題名でしたが、「蒲田行進曲」に改題されました。元の題の方が内容に相応しいと思はれますが、商売上の都合でせうか。
二部構成で、前半が「ヤスのはなし」。大部屋俳優ヤスを語り手にして、「銀ちゃん」から小夏を押し付けられるところまで。後半は「小夏のはなし」。小夏が語るその後の展開。階段落ちの結末は?
三者三様の、何と不器用で無様な愛情表現なのでせうか。泣けますねえ。「つかさん、ありがとう」とお礼を述べたくなりました。
では、今夜はこれで左様なら。
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