- Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041835043
作品紹介・あらすじ
「会いたかったわ、ラリー。すごく会いたかったわ」「Mmm……この、この、このやろめ」(「奥様はマジよ」)今なお心に残るあの人たちの知られざる私生活を描く、シュールな短編小説集。
感想・レビュー・書評
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本当にこの人の「物書き」としてのプロさには頭が下がる。
これは誰もが一度は体験した事のある、
「漫画・ドラマのキャラで壮絶な妄想をする。」
という行為を文章としてさらけ出した本でした。
ジェネレーションギャップという悲しい壁のせいで、
元となる漫画がイマイチわからないのが悔しいけれど。
そんな読者のとまどいを一切無視した並々ならぬオタク愛。
しかもそれを公開するだけではなくて、
これ見よがしに突きつけてくるんだからたまらない。
これが同人誌ならこんなに感心することもないのだけど、
姫野カオルコが書いた短編小説というのが重要。
ストリッパーが仕事として人前でオナニーするのとは違う。
これは素人がオナニーを公開するのと同じ感じ。
いやー、楽しませていただきました。
特に性描写が素晴らしい。
少女漫画にあるような生ぬるくてキラキラしたヤツぢゃないから。
女は自分の妄想の中でもリアリストなのか。悲しいけれど。
でも、そうぢゃなきゃ濡れないでしょ。
とでも言っているかのような壮絶っぷり。
想像力のない女はオナニー出来ないんだろうな。
これは個人的な見解だけど。
そんな感じの本編に続く説明はまた独断と偏見が凄まじく、
他人を疲れさすのにはもってこいの内容でした。
ジェネレーションギャップと疲れを差し引いて星3つ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
映画化された「受難」から始まった姫野熱はまだまだ初期段階で、それでいて脈々と持続している。それゆえの2冊め、ただ選択が正しかったのかは現時点では判断不可(笑)
解説にも含まれる「千のペンをもつ女」の異名を持つ彼女の面目躍如と言ったところか、変幻自在の文体にて綴られる単なるパロディを越えた知性のふりかけがたっぷりかかった短編は、それぞれお茶碗一膳のみごとなサイズにまとめられている。ただ自分の中でのリアルタイム性があったのは最近鑑賞しなおしていたTaxi Driver (1976) ネタぐらいで、他は記憶をたどってもムリな年代物が多かったのが残念。この年代グループの方に強くお薦めしてみたい。
幼少期にこれぐらいの想像力(妄想力と言った方が正しいか?)がないと、後世に著述家としては成功しないのだろうなと、その才能の源泉をみつめながら感じさせていただいた。 -
面白かったです。ですが、私は姫野さんはエッセイよりも小説のほうが好きかなー!
最近、姫野さんのエッセイをまとめて購入して読んでいるのですが、しみじみと思いました。まあ、小説家ですから当然ですかねぇー!
でも、読んでいて「そうそう!ごもっとも!」ということも多くて、やっぱり文筆家って、文筆業ってすごいなーと思います。私は到底、自分の気持ちをここまで微細に表現できない・・・ -
つ、つまらない。それも最高に。
エッセイ以外のカオルコ作品を読んだ。昼休みに読める量だったので読破した。
奥様は魔女とかリカちゃんとかあしたのジョーとかいった当時のテレビやアニメの登場人物を作者のいいように動かすって感じなんだが、先にさっぱりした文章を読んだ後だからか、装飾が多すぎる文章はこうるさい。
この作者を読むなら暇つぶしのエッセイがいいかなぁ。 -
そこそこ楽しめました。オーケンについてよく知らなかったから予備知識があればばもっとよかったろうな
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『あしたのジョー』『奥様は魔女』『アタック・1』など往年の名作へのオマージュかパロディか。マニアック爆笑小説集。単行本版はなく「オリジナル文庫」 として直接文庫として出版された。
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なんとなく気分がはっきりしないとき、読みたい本はたくさんあるんだけどどれから読んだらいいかわからず、うーん何読もうかなと本の山の前で長時間悩みあぐねているとき、ふと姫野カオルコを読みたくなる。なんか、目が覚めるんですよね、この人の文章を読むと。これもそんな気分で手に取りました。
ただ表紙画像が違うのがちょっと不本意。これは昔の表紙なんでしょうね。わたしが持っている文庫は、縦長の黒いハートがオシャレな、モノトーンがイケてる表紙です。
さて、本書は、「奥様は魔女」、「アタック?1」、「あしたのジョー」、「魔法使いサリー」、「ノンちゃん雲に乗る」などの、ちょっとエッチなパロディです。それぞれのタイトルも、「奥様はマジよ」、「困ったじょー」、「タクシー・ドライバー」、「ケンちゃん雲に乗る」などなど。書き下ろしカルトガイドもあって、アニメやドラマの当時の思い出や、姫野さんの各作品に対する思いが読めるのが楽しい。
わたしは実は、これらの中では「魔法使いサリー」しかちゃんと見たことがありません。たまに見ていた、ということであれば「アタック?1」と「奥様は魔女」も見たことはありますけど。といっても、どれもあまりに有名で、ちゃんと見たことはなくてもそれがどういう話でどういうキャラクターで、というのは知っているので、全話笑えました。
おもしろいですねー。姫野さん、やっぱりおもしろい。内容が内容だけになかなか実現はできないけれど、音読したくなります。それほど文章のリズムが良い。たとえばケンちゃんが旅に出るところで。
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旅に必要なもの。ハブラシ、タオル、石鹸、着替え、常備薬。傘に寝袋、コンドーム、根岸の里の侘(わび)住まい。
あまりにうまく七、五調で支度できたものですから、つい、最後に「根岸の里の侘住まい」と付け足したくなりました。
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うちでも普段、何気ない会話の中でリズムや語呂が良いことに気づくと、言葉を足したり引いたりして遊ぶことがあるんですよ。だからここを読んだときには「ああ、そういうこと、あるある!」とうれしくなったものです。
姫野さんの文章は、こういうちょっとした細かいところがおもしろい。会話なんかも、おかしくて吹き出しちゃったりします。姫野さんの文章のこういった絶妙なリズム感と、内容のおかしさが、読むと気分がスッキリする要因の一つになっていると思われます。
読了日:2007年6月6日(水) -
鮎原こずえの話が、なんと言うかすきだったです。漫画やアニメの主人公のサイドストーリー。
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往年の名作アニメをここまでパロディ化(アダルト化)していいものか。
まさに「バカさゆえ…」 -
オススメです