- Amazon.co.jp ・本 (113ページ)
- / ISBN・EAN: 9784042047032
感想・レビュー・書評
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賛否あるけど、私はめちゃくちゃ好きな作品。
コクトーっぽくない作品のように見えるんだけど、主人公の嘘つきサイコはやっぱり最後は悲惨に終わるあたりは、コクトーだなと。
読んだのが学生の時だった事もあり、
嘘って通し続けたら、いずれ本物になる!
なるほどね、悪くないね、新しい考え!
って、短絡的な解釈をしたのを覚えてる。
何が虚で何が実なのか?
それを決めるのは、本当は誰なのか、何なのか。
嘘は悪なのか?本当に?
嘘の上に成り立つ人生は全て作り物なのか?
そこにある生きた証を否定できるのか?
「死んだ真似をしなきゃ殺られてしまうぞ」
この言葉の真の意味とは。
立場が変わった今、再読したらどう感じるのだろう。
気持ちが上書きされる前に、感想を書き残してみました。
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◇コクトーの第一次世界大戦小説。セリーヌと併せて読むと面白い。
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裏面のあらすじは魅力的だったのですが…
個人的には非常に読みづらく、訳が古いこととは関係なく悪文であるように感じました。
読点がやたら多く、文章からイメージを想起することが困難であったため読み進めるのにかなり苦労しました。
他に訳も出ていないようなので、光文社古典新訳文庫あたりで新訳が出ることを願います。
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再読。自分が持っているのは角川文庫のリバイバルコレクション、金ピカのカバーのやつなんだけど、表示されないから通常のクラシックスバージョンで。コクトー自身の従軍の経験から書かれた1冊。
タイトルは山師=詐欺師だけど、ギョーム・トマは意図的に誰かを騙して利益を図るために嘘をつくわけではないので、どちらかというと彼もまた一種のアンファンテリブル。無邪気な子供が「~~ごっこ」を楽しむのと同じ感覚なので、虚言癖ですらない。そして大人になりきれないまま彼の人生は唐突に幕を下ろす。怖るべき子供たちと描かれていたことは同じなのかも。 -
トマ、彼は一体誰なのか?真似をし、それを演じる詐欺師であるが、そこに悪意はなく、あくまで無邪気に詐欺を働いている。だからこそ皆はトマを信用する。
トマの臨終の場面は切なさが立ち込める。最後まで詐欺を働こうとし、死を演じるようとする。死に対するトマの無邪気さはコクトー独特の観点に基づいている。悪意のない悪は悪なのか善なのか、それともどちらでもないのか。
またコクトーは小説の主人公にあるゆる面で無知を与えている。その無知が何をもたらすのか、無知ではなくなったときどうなるのか、コクトーはそんなことを描くことが多い。 -
無邪気な詐欺師トマは嘘つきの羊飼いに似ている。
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100625(n 100705)