覆面作家の愛の歌 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043432028

感想・レビュー・書評

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  • 覆面作家シリーズ2作目
    1作目がとても面白かったのでその勢いで読み進めました。

    本作初登場のライバル出版社の担当 静さんがレギュラー入りし、千秋と良介の関係に変化をもたらす。
    それまで覆面作家の素性を独占していた良介の心情の変化に思わずニンマリ。

    また、準レギュラーだった左近先輩が海外転勤という形で脱退。
    この脱退エピソードはメインストーリーとは無関係にもかかわらず、1話の内容の内、4割近いページが割かれている。
    が、実はこちらの話が本作品の一番大事な、作者が書きたかった話(真意は解説に書かれているのでそちらを参照されたし)

    本を手にしたら、いつだってあの人に会える。

    この一節はずっと覚えておきたい。

  • 4

    再読。

  • 本作品の内容以上に、著者の覆面作家発足当時の担当編集者であった大多和伴彦さんの文庫解説に胸を打たれた。
    シリーズ二作目となるとこの文庫の第1話「覆面作家のお茶の会」に秘められた著者の思いやりが披露されています。とても良いお話です。ぜひお読みになる事をお勧めいたします。

  • 覆面作家シリーズの第2弾。キャラクターの心模様はより深く、シナリオはより幅広くと物語の面白さは高まってきて、とうとう中長編、そして死人が!と相成る本作。…なのですが、ごめんなさい、その渾身の長編がちょっと肌に合わなかったです。いつも通り人物描写にはぐいぐい引き込まれるのですが、あの、率直に申し上げてトリックが…。難解と言うより、いささか理屈に寄り過ぎたような印象を持ちました。

    元々自分自身に謎解きより物語自体を楽しみながら読む傾向がありましたので、北村先生の作の中でもとりわけ軽妙なこのシリーズでこの仕掛けはちょっときつかったかも。3巻のハチの話の方がしっくり来るのですよねえ。

    でもやっぱり面白いのですよ。解説にまでほろりと泣かされるだなんて。

  • 2作品目で、ちょっと何かわかってきた。
    殺人も子供の誘拐も全く大したことがないかのように、
    ゆるーく流れるストーリーの中で、
    折にふれ交わされるお嬢様と岡部くんの
    言葉遊びのような浮世離れした会話に
    読者は魅かれているのだと。

    ぷりっとした寒天を薄味のシロップで食べながら、
    たまにこりっと塩味の豆を楽しむ感じとでも言おうか。
    あんみつもフルーツみつ豆も邪道ね、
    とでも言うような高潔さが、そこにはある。

    それはそれで一つの好みとして理解できるし、
    一種のミニマリズムとして悪くない趣味だと思う。

    だが、なんだろう、もうちょっと毒と言うか、刺激が欲しい。
    心太に辛子というのは好きではないだが、
    みつ豆に塩昆布ではほっとしてしまうし、
    もっとぴりっとくるわさびか山椒のような刺激。
    その欲求は、多分に私自身の性格の悪さからくるとしても。

    とはいえ、現実としては、
    みつ豆にわさびも山椒も似つかわしくない。
    私の好みは黒蜜がけのフルーツみつ豆だ。

  • ミステリー雑誌の編集者をしている岡部良介は、ペンネームが<覆面作家>という美しい女性新妻千秋の担当者。

    ある日、良介の会社の『推理世界』のライバル誌『小説わるつ』の担当者、静美奈子が新妻に原稿を書いて欲しいと現れる。

    話しを聞くうちに良介と新妻は、ケーキ屋に嫁いだ静の同級生の話になり、ある事件を調べることに…。

    <覆面作家シリーズ>第二弾。


    新たなキャラクターと先の読めない事件、両方楽しめました。

  • 二重人格美人作家とその編集者のコンビが、今日も今日とて事件に首を突っ込む。
    前巻は身近な事件だったが、今回は殺人や誘拐など、本格的な事件になっている。
    ミステリ部分以外、コンビ2人の距離感もなかなかに面白い。

  • お嬢様相変わらずかわいい。
    双子の関係も面白いです。
    北村さんの話は、確実に登場人物が成長していく感じがしていいです。

  • 覆面作家シリーズ2作目。新レギュラーが登場して世界が広まったり徐々にメインキャラ勢に恋愛のお話も絡んできたり。

  • 2003年3月20日読了。以下、過去の日記から抜粋。

    シリーズ二作目。三篇収録。ラスト一篇表題作がやや長め。
    今回は新たに女性編集者静さんが登場する。
    なかなかのバイタリティであっという間に場に溶け込む。
    物語とは関係なく、これが働く女性なのかと思った。
    仕事をただ待つのではなく、情報収集に余念がなく、
    これだと思った相手にはひたすらアタックする。
    その強引さすらも憎めない、魅力的ですらある。

    めずらしく、あとがきがついていた。
    読んでみて、納得した。
    きっとこの人が静さんのモデルさんなのだ。
    北村氏はこの人が本当に好きだったのだ。

  • 色の名前が随所に出てきて嬉しかったです。鮮やかで綺麗。
    お嬢様の二重人格さに吹いた。

  • 覆面作家シリーズです。
    NHKのドラマで、ともさかりえが主演していました。

    これが私と北村先生の諸作品との初めての出会い。
    ああ、結構面白いなと思って色んな作品を買い漁るキッカケになった作品です。

    ミステリーですが、読み手を若年層に絞ったのか、非常に読みやすい言葉が並んでいます。
    (円紫さんと私シリーズとは対照的です)

    これはこれで面白く、簡単にすらすらと読めるのでオススメです。

  • 大好きな北村さん。
    一気に読みました。
    テンポもいいし
    推理もわかりやすい。
    げらげら笑える。

  • もう、お嬢様ったら!
    キャラクターが魅力的すぎて、話もおもしろすぎる。

    北村薫、やっぱりすごい!

  • 2作目はは表題作が本格モノでなかなかよいです。新たなキャラクターもよいです。

  • きっかけは、春のお菓子。梅雨入り時のスナップ写真。そして新年のシェークスピア…。
    三つの季節の、三つの事件に潜む謎!? 天国的な美貌で、大邸宅に住む二十歳の御令嬢、
    千秋さんの推理が冴える!

  • 覆面作家という名でデビューした新人ミステリ作家、新妻千秋は19歳。
    彼女の正体は、天国的美貌を持つ、大富豪の令嬢だった!しかもさらに驚く別の顔があって・・・。
    「推理世界」の編集者、岡部良介と共に(お供に?)お嬢様が日常世界の謎にせまる!
    覆面作家シリーズ第二作目。

    「小説わるつ」の静さんという、とっても味のある登場人物がまた、一人増えさらに楽しくなった、
    第二作目。小さな謎がだんだん膨れ上がって、やがて大きな謎にぶちあたる。そんな謎が謎を呼ぶお話。
    また、話のヴァリエーションも、なかなか良く、3作品とも、後味や趣向が違うので、色んなミステリを楽しめてよかったです。

    やっぱり北村さんは素敵だなぁ、と惚れ惚れしてしまいました。
    「可愛い」という言葉に悩むお嬢様に対して、岡部良介がこういいます。

    「(前略)可愛くない人が、ひょいひょい可愛くなることなんか、ざらだし、その逆だってある。
    だからね、時に応じ、場合に応じ、相手に応じ、心をこめた<可愛い>は、素直にあげていいし、
    もらって、じっと抱き締めてもいい言葉なんですよ」(P207)

    「可愛い」だとか、「可哀想」だとかいう言葉の使い方に、悩んだことのある私は、
    本当にこの良介の言葉が素敵だなぁと思いました。
    いろいろな愛する形があるけれど、人間は愛することも、愛されることも知っていて、そしてそれが心を込めたものと分かる生き物だから大丈夫なんだ、とほっとします。

    親子の傘が寝かせかけてある、や、相手という本の行間を詠みあっているよう、などの表現も、本当に美しいです。

    (目次)
    ・覆面作家のお茶の会(なんともいえず切ない気持ちでいっぱいになります)
    ・覆面作家と溶ける男(すごい推理。なるほど!題名が好きです)
    ・覆面作家の愛の歌(素晴らしいトリック。そして本当に岡部くんが素敵)

    再読なのですが、本当にきらきらしています。
    眩しいです。本当に千秋さんは「可愛らしい」方。素敵なミステリです。


  • 覆面作家シリーズ第二弾。一巻目よりはだいぶハードな内容。でも、読後感はやっぱりあったかい。

  • 覆面作家シリーズ。

  • 『覆面作家は2人いる』の続編
    新しい登場人物も出てきたり、2人の関係がちょっぴり進んだり、流れとして良かった<br>
    次で終わりみたいやので読むのがもったいない(笑

著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、89年、「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞。著作に『ニッポン硬貨の謎』(本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)『鷺と雪』(直木三十五賞受賞)などがある。読書家として知られ、評論やエッセイ、アンソロジーなど幅広い分野で活躍を続けている。2016年日本ミステリー文学大賞受賞。

「2021年 『盤上の敵 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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