- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043470013
感想・レビュー・書評
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表題作は意外にもミステリ好きにも受けそうなホラー。個人的にはこちらが好み。「酔歩」の方は完全なるSFなのだが、ちゃんと怖がらせてくれるのがすごい。テーマがテーマなので、これは完全にはわからないのが正解だと思う。因果律という点では、最近読んだ『あなたの人生の物語』にも通じるものがある。おすすめできる一冊。
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やはり面白い。酔歩する男が好き。、
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表題作は改めて読むとずいぶん短く、一切の無駄なしで玩具修理者の存在感が極まる。映画化したけど、カラフルな布みたいな玩具修理者さんに、美輪明宏のナレーションで実は映画もなかなか好き。"酔歩する男"は何度読んでもクラクラするような酩酊感でホント素晴らしい。
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その人は、何でも治してくれる。壊れた人形、死んだ猫、そしてあなただって。生と死を操る奇妙な修理者が誘う幻想の世界を描き、日本ホラー小説大賞選考委員会で絶賛を浴びた表題作ほか、書き下ろし1編を加えた作品集。
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表題作のほか、「酔歩する男」
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圧倒的に「酔歩する男」の分量が多いが、表題作のインパクトもとても強い。実際に目にしたら気を失いそうな事々が、淡々と平板なリズムで描かれているので、なおさら怖さが背筋を這い上がってくる心地がする。そして、次の物語は、施行を整理しようとすればするほど、混迷の螺旋階段を上へ下へと翻弄されるような、立っている場所が瞬時に消えてなくなるような気がして、眩暈がしそうである。考えるな、感じろ、ということだろう。まったく違うテイストが愉しめる(?)一冊である。 -
短編の方がすき
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追悼再読。さすがにインパクトが強い作品なのでだいたいは覚えていましたが。初読時には「ようぐそうとほうとふ」の意味がまったくわからなかったんだよねえ、と思ってしんみり。今はわかります。他のあんな言葉やこんな言葉にもにやりとさせられました。内臓感覚あふれるグロテスクさと、しかしどこかしら整然とした美しさ、ラストのオチまで見事な作品です。
「酔歩する男」はかなりSF寄りの作品ということもあって、昔はあまり理解できていなかった記憶が。でも今ならある程度はわかった気がします。ぐるぐるする読み心地の中、次々と判明するとんでもない事実。死してもそこから逃れられないというこの状況はとんでもなく恐ろしいのだけれど。それでもその中に希望はあるのでしょうか。ちなみに、この作品の元ネタも今ならわかった……!