玩具修理者 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 4079
感想 : 447
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043470013

感想・レビュー・書評

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  • 表題作は意外にもミステリ好きにも受けそうなホラー。個人的にはこちらが好み。「酔歩」の方は完全なるSFなのだが、ちゃんと怖がらせてくれるのがすごい。テーマがテーマなので、これは完全にはわからないのが正解だと思う。因果律という点では、最近読んだ『あなたの人生の物語』にも通じるものがある。おすすめできる一冊。

  • やはり面白い。酔歩する男が好き。、

  • 表題作は改めて読むとずいぶん短く、一切の無駄なしで玩具修理者の存在感が極まる。映画化したけど、カラフルな布みたいな玩具修理者さんに、美輪明宏のナレーションで実は映画もなかなか好き。"酔歩する男"は何度読んでもクラクラするような酩酊感でホント素晴らしい。

  • +++
    その人は、何でも治してくれる。壊れた人形、死んだ猫、そしてあなただって。生と死を操る奇妙な修理者が誘う幻想の世界を描き、日本ホラー小説大賞選考委員会で絶賛を浴びた表題作ほか、書き下ろし1編を加えた作品集。
    +++
    表題作のほか、「酔歩する男」
    +++

    圧倒的に「酔歩する男」の分量が多いが、表題作のインパクトもとても強い。実際に目にしたら気を失いそうな事々が、淡々と平板なリズムで描かれているので、なおさら怖さが背筋を這い上がってくる心地がする。そして、次の物語は、施行を整理しようとすればするほど、混迷の螺旋階段を上へ下へと翻弄されるような、立っている場所が瞬時に消えてなくなるような気がして、眩暈がしそうである。考えるな、感じろ、ということだろう。まったく違うテイストが愉しめる(?)一冊である。

  • ちょっとバランスが悪い本だと思いました。(でも、読みごたえがあって良かったとも)

    出来ればタイトルにもなっている「玩具修理者」みたいな感じの短編ホラーが続いて欲しかった……。「玩具修理者」がいい感じの短編だったので期待感が高まってしまったのもある。

    玩具修理者
    これぞホラーって感じ。どこかメルヘンチックな感じがしたのは自分だけ? 背中に腐った弟しょって歩いてるのに周りの人達の反応が鈍感と言いますか、ちょっとズレてる感じがまたじわじわと恐怖を煽った。話してる途中に「あら……〜よ?」みたいなセリフが挟まれててゾワゾワした。
    最後にあっと驚かされたけど、結局玩具修理者の正体とか不気味な部分が残っているのも素晴らしいです。

    追記:他の人の感想を見ていると、自分は怖さだけを求めてるんだと思いました。というのも、「酔歩する男」は個人的にページが進みにくかったけれど、こちらの方が好きな人もいたということに、申し訳ないけれども驚きました。と同時に、自分の読書理解力がまだまだだったんだなとも……。出来ればいつか再読して、今度こそは「酔歩する男」の怖さと魅力に近づけるようになりたい!

  • 短編の方がすき

  • 『玩具修理者』と『酔歩する男』の2作品が収録されている。

    玩具修理者
    壊れたものを分解して組み立てる、その工程がなんとも気味が悪い。生物と無生物の違いについてのやりとりは考えさせられるものがある、自分の待つ概念がボロボロと崩されていく。

    最後の男女の会話は強烈に頭に残る。

    「姉さんは一体何者なんだ?」 

    「道雄こそ何者なの?」



    酔歩する男
    始めはすらすらと読めるが、途中からぐっと重くなる。残りのページ数を確認して、まだこんなにあるのかと疲れる。それでも読み進めずにはいられない。
    玩具修理者とはまた違う気味の悪さ。自分がこの世界の中にいたらと考えたらゾッとする。それでも私も、菟原手児奈(うないてこな)に心奪われる。


    作中ではHPラヴクラフトのクトゥルフ神話関連のモノがオノマトペで表現されている。このことを頭に入れておくと、巻末の解説にて、小林泰三が一つの神話を作り上げているのではないかという提唱にはっとする。

  • 追悼再読。さすがにインパクトが強い作品なのでだいたいは覚えていましたが。初読時には「ようぐそうとほうとふ」の意味がまったくわからなかったんだよねえ、と思ってしんみり。今はわかります。他のあんな言葉やこんな言葉にもにやりとさせられました。内臓感覚あふれるグロテスクさと、しかしどこかしら整然とした美しさ、ラストのオチまで見事な作品です。
    「酔歩する男」はかなりSF寄りの作品ということもあって、昔はあまり理解できていなかった記憶が。でも今ならある程度はわかった気がします。ぐるぐるする読み心地の中、次々と判明するとんでもない事実。死してもそこから逃れられないというこの状況はとんでもなく恐ろしいのだけれど。それでもその中に希望はあるのでしょうか。ちなみに、この作品の元ネタも今ならわかった……!

  • ネットの書き込みで面白そうと思って購入。
    表題作はまだ分かりやすくて、まあ読めた。
    「酔歩する男」は全く理解不能。気持ちを高めて読まないとちんぷんかんぷんで終わる。
    時間と自分はまったく別に存在するものなのか。今の自分がそのまま過去や未来に行って、自分の視点でその時間の世界を見ることはできるのか。幽霊のような他者となって見ることはできそうだが。・・と行った具合に理解不能でまったく面白くは感じないまま最後のページへと時間を進めた。

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著者プロフィール

1962年京都府生まれ。大阪大学大学院修了。95年「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、デビュー。98年「海を見る人」で第10回SFマガジン読者賞国内部門、2014年『アリス殺し』で啓文堂文芸書大賞受賞。その他、『大きな森の小さな密室』『密室・殺人』『肉食屋敷』『ウルトラマンF』『失われた過去と未来の犯罪』『人外サーカス』など著書多数。

「2023年 『人獣細工』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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