シャングリ・ラ 上 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 171
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043647040

感想・レビュー・書評

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  • かいつまんで概要を説明すると、物語は近未来の東京です。
    世界はCO2作減のために、炭素主導の経済に移行。炭素税が導入され、炭素の排出量によって税率が大きく変わってくるという、炭素が経済に大きく影響を与えていく世界。
    そして、日本は膨大なCO2作減のために東京一帯を森林化し、かわりに超高層都市「アトラス」を建築する。
    しかし、東京都民全てがアトラスに入居できるわけではなく、あぶれた人達は難民となって、森の中で反政府ゲリラとして生活していく。
    そして、主人公はそんなゲリラの若き女総統。政府への反乱を通して、自分自身の存在やアトラスの真の意味が明らかになっていく。

    というようなストーリーなんです。
    最初は近未来の危機を描いた小説かなと思ってましたが、読んでいるうちに壮大なSF小説であることが分かってきました。
    上巻では、まだ展開もありえる範囲のものばかりでしたが、下巻になると、もう展開が性急すぎてついていけない。
    あれやこれやと色んなものが、ありえない接点で繋がったりと、もうビックリです。
    はっきりいってほとんどマンガの世界です。

    実際にこの小説が原作のアニメが既にできているみたいです。
    多分、アニメでやったらこの話はかなり面白くて見応えありそう。

    でも、この小説自体は決して面白くないわけではないよ。
    世界観はかなり壮大やから、物語に入ったらおもしろくて抜け出せんかもね。
    ほんとはゆっくり時間をかけて読むつもりだったんですが、あれよあれよという間に手が進み、気がつけば二日で上・下巻、合わせて1000ページ超を読破してしまいました。
    まるで、ドラクエを徹夜でクリアしたような感じですな(´∀`)

  • 大学3年の設計課題の際に、六本木ヒルズが森になった状況が設定さ、そこに対する建築的操作が求められた。
    アニメーション化されたこの物語では、温暖化/ヒートアイランドが進んだ未来の先に、東京全体が熱帯雨林となっている社会が設定されている。
    熱帯雨林の中に、巨大な空中都市が聳え建ち、現在の地下鉄が構造兼交通のためのチューブとなっている。
    主人公の反政府組織は新大久保にあり、城壁都市の中に香港を詰め込んだような雑多な都市像で対比されている。
    表紙がバベルの塔であるのもなかなか示唆的。確かに周りは森である。
    小説では挿絵が無いので、アニメーションという表現を取ったことによる都市ビジョンの表現は意味のあることだろう。

    建築的、都市的なビジョンとともに、炭素排出量が支配的となった経済の形を示している。
    現在でも、炭素排出権などといった、実質的な炭素の量と数字上の炭素の量の乖離が見られるが、それらへの批判/皮肉としてうまく表現されているのではないだろうか。
    東京の安易な緑化に対する批判ともとれる。
    後半には風水やら建国論といった要素を詰め込みすぎて破綻気味なところがあるが、海面上昇、台風の発生、環境と経済の関係への着目は面白い。
    環境に配慮するという言葉に懐疑的な自分には非常に共感できた。

  • 2013/12/12

  • 世界構築はすごく好きな感じだったんだけど、キャラ設定がついていけなかったなあ。登場人物たちの喋る言葉が苦手だったのかも。アニメ向きかな。アニメ化もしてるんだよね?アニメにしたら楽しめる気がする!

  • 他のほとんどの作品とは違って、未来の東京が舞台。沖縄ファンタジー要素は(少なくともこの上巻では)ほとんどないけど、キャラクターのぶっ飛びっぷりは爽快、冒険活劇は痛快。着地点が楽しみ。

  • 「テンペスト」が面白かったので、同じ著書の本を、と思い読んでみました。

    アイディアは面白いように思うのですが、なんだか読みにくいです。いきなり話が進んで、大切な何かを読み飛ばしたんだろうか?(例えば誰のこと?とかどこの場面?とか)と前に戻ってみても、書いてなくて、読み進めていくうちにそれが結局どうだったのかということが出てきたりします。伏線というのとは別物です。

    作者の作風なのかもしれません。そういえば、「テンペスト」の時も確か数回そういうことがあったように思います。こちらの作品のほうが頻度が高いと思います。

    スピードに乗って読んでいたのに(フォトリーディングで高速リーディングという手法で読んでいます)、そういうところに引っかかって減速したりしてしまい、乗りきれない、話が複雑なようで、そこがわかれば大したことのない場面だったり、と、少し苛つきました。

    後半はまだ読んでいないのですが、すでに少し面倒くさいです。

  • 分厚さに持ち運びがおっくうになって積読されてた本。ようやく読みました。

    久しぶりに当たりのファンタジー本を見つけた気分。
    設定も良いし。書き方もうまい。
    「炭素経済」は実際に起こりうる未来だし、実際に環境税(炭素税)を導入している欧州では、排出量取引はそれなりの市場になっている。たぶん、そのあたりの現実を踏まえての、この作品なんだろうな、と思う。

    池上さんは初めて読んだけど、なかなか好みの作風だったので興味が出てきた。テンペストも読んでみようかなぁ。
    でも、まずはシャングリ・ラの下巻を買わないとね。

  • 近未来の日本で女子高生が大暴れ。ちょっとアホらしいぐらいの設定なのだが、すごく面白い。

  • レビューは上下巻通してのものを下巻にて。

  • これは面白いぞ~。
    見たことないけど、ちょっとリアルな設定。とっても魅力的なキャラクター。
    下巻も楽しみだ!

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著者プロフィール

池上永一
一九七〇年沖縄県那覇市生まれ、のち石垣島へ。九四年、早稲田大学在学中に『バガージマヌパナス』で第六回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。九七年刊の『風車祭』が直木賞候補に。二〇〇八年刊の『テンペスト』はベストセラーとなり、一一年の舞台化をはじめ、連続テレビドラマ、映画にもなった。一七年『ヒストリア』で第八回山田風太郎賞を受賞。他の著書に『シャングリ・ラ』『レキオス』『ぼくのキャノン』『統ばる島』『トロイメライ』『黙示録』などがある。

「2023年 『海神の島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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