症例A (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 273
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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043690015

感想・レビュー・書評

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  • このミス ベスト10、2001年版9位。複数の精神病患者の話と文化財の話が平行に進んで行く。それぞれ、話の展開は興味深く進んで行くが、全体のバランスが悪いのとそれぞれの話のからみ弱くバラバラ感がある。結末も中途半端な感あり。可能性は感じるが完成度的にいまいち。

  • いかに世の中は偏見に満ちているか。
    気づかぬままステレオタイプに落ち込み、わかったような気になる。
    この本の扱うテーマは、ある意味手垢の付き過ぎた有名なもの。
    この作品に出会ったことで、私のなかで完全に再構築がなされた。
    本はペダンチックであっていいと思う。あるべきだと思う。
    でも優れているほどに鼻につく。
    こんな自然なアプローチで、意識を変えさせられた本も珍しい。
    傷を負った者同士が、迷い、悩み、苦しみながらも向き合う様は、胸を打つ。
    ミステリに分類される作品なのだろうか。
    しかしミステリ的要素は、魅力には乏しい。
    影響を受けたという点で、この本は比類なく素晴らしかった。
    作者は今、どうしているのだろう。
    もうこの世にいない気が多分にする。
    こんな真摯な作品を紡ぐ人だからこそひっそりと身を消したのだろうか。

  • ミステリで多重人格が出てくるとゲンナリしますが、この話ではそんなこともなく、興味深く読み進められました。
    ちょっと余韻を残す終わりかた(というか、あれ?これで終わり?という終わりかたかな?)ですが、私は嫌いじゃないです。

    阿佐美ちゃんの背景はもうちょっと知りたかったなぁとは思いますが。

  • 本屋で見っけてオモシロそうだったので買ってみました。
    ビンゴ!おもしろかった~^^!
    こういう方面に興味ある方、是非ご一読を。 (10年以上前に出た本らしいんですが、知らなかった。。)

    どう書いてもネタバレになるので中身は書きませんが、主人公と同じように作者も誠実な人なんでしょうねぇ。「書くのに7年かかった」というのがウナズける丁寧さ。
    ただ、WEBで見ると結末が気に入らない人が多いみたい。
    …確かにね。
    でも、最近思うけど、物語そのものと、”結末”っちゅーものとは、別物なんじゃないでしょーか? 現実には”結末”なんてものはないんだから、結末なんていずれ取ってつけたもんになるワケで。
    「まーそー慌てなさんな。物語の醍醐味は進行中にこそあり!」
      …なんて思うのも、年取ったせいでしょか??

  • 多重人格者の話し、と聞くとジキルとハイドや、ちょっとホラーっぽいイメージしかなかった。でもこの作品は違った。多重人格者とはどういうものか? ある一面しか知らず、これまでいかに誤解していたかを知る。それは本人にとって苦しい病いであり、向き合う精神科医もまた苦しむもの。博物館の絡みが少しミステリーっぽくさせてるが、それがなくても十分読める。医学関係者でない私にも読みやすいように書かれている。

  • 巻末の参考文献の多さに驚く。精神病棟の重苦しいリアリティは、このバックボーンがあるからこそ。境界例患者の少女の描写ー精神的病理が危うい魅力と裏腹になっているーは村上春樹の短編「今は亡き王女のための」を想起させる。久しぶりに夢中になって没入した。面白い。

    この小説でキーとなる、多重人格(解離性同一性障害、DID)といえば代々木忠の「マルチエイジ・レボリューション」が真っ先に思い浮かぶ。DID患者を救おうとする優しきライターの格闘を描く「実話」。ここまで凄まじい話もなかなかない。

  • よく調べて書いてあるが、無理があると思います。

  • なかなか一気に読みきれず他の本を読む合間に少しずつ読み進んでやっと読了。精神病患者とはこういう人間を言うのだと教えてくれる一冊。最後まで支えてやれないのならば初めから手を貸してはいけない。医者ならいざ知らず何の知識もない人間が中途半端に手を貸すと最悪の結果にしかならない。

  • 好きなツボをぐいぐい押される
    オススメしたい一冊

  • あ、え…ここで終わりっ!!??
    えっ酷っっっ
    これから先が気になるのに~!!!!!!!!

    多重人格って存在するのね…
    まぁ、あるとしたらこういうケースってことは知っていたけど…
    心理学、精神医学的観念から描かれていてとても面白かったです☆
    読んでいながら『なるほど~こういうケースもあるのか』って考えながら読みました
    博物館の謎は必要だったのかなぁ?
    途中終了だし、省いて良かったんじゃ…
    学芸員の資格を取り損ねた身としては『ああ!!そうだよね!!』って箇所は多かったですがww

    兎に角、榊先生がこの先ど~なるのかが気になります!

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著者プロフィール

1948年大阪生まれ。広告代理店に勤務。1982年、小説現代新人賞を受賞し作家デビュー。主な作品に、『海賊モア船長の遍歴』『クリスマス黙示録』『仏蘭西シネマ』『不思議島』『症例A』などがある。

「2021年 『多島斗志之裏ベスト1  クリスマス黙示録』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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