てのひらの中の宇宙 (角川文庫 か 42-5)

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  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043748051

感想・レビュー・書評

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  • 時に残酷とすら思える一面を見せる生命のありようと、無邪気で好奇心旺盛な子供たちの存在に、無性に切なさを憶える。
    科学的好奇心と、古神道や密教の融合したような生命観、哲学的な宇宙観、そんな内容がいっぱい書かれていて、諭すような静けさの中に生命のたくましさと小ささが感じられる。5 歳児に聞かせている語り口がとても優しい。

  • 子どもの好奇心に寄り添ってさらにおおきな知識を与える。こんな親になりたかった。

  • 子どもの好奇心は すごい
    まだ白紙だから何でも吸い取って自分のものにできるんだね。それってすごい事

  • 「宇宙に行って、
     お母さんの病気を
     治してもらうんだ。

     子どもたちが初めて出会う死。
     僕は、生命の不思議について
     絵本を作ることにした。」

    ガンの妻と
    ミライとアスカ、
    夫であり父親である崇。

    すごく優しいお話です。
    死や無限という未知であるものを
    どうやって受けとめるか。

    一番残っているのはミライの賢さ!
    私より偏差値高いかもしれない。苦笑
    宇宙や理科(?)についての
    探究心や好奇心、
    そして吸収力、
    尊敬しました。苦笑

    こんなに優しくて
    まっすぐに温かい家庭があったら
    力強く生きていけるんだろうなあ。

    今日子が元気に戻ってきて
    また美味しいご飯を作ってくれますように。

    私も神様に頼るより
    お星様にお願いしようと思います。

  • 奥さんが癌で闘病中の旦那さんが、二人の子供の子育てをしながら、ほんの少し不思議な経験をしながら、不思議な絵本を考えていく(いや、このあらすじ適当過ぎるなw)

    面白い、と言うか、とっても僕向きな作品だと思った。

    極大から極小までを一方では科学的に語りながら、一方では空想的に語られる。それがとても心地よい。
    どっちか、だけじゃなくて、どちらも、そして、それがぶつかってなくて、一つに溶け合いそうな感じがとてもいい。

    こう言うのがダメは人はたくさんいると思うし、それはそれでわかる。現実感あんまりないし、甘過ぎるし。

    でも、こう言うのが好きな人にはたまらないと思う。もっかい読みたいな。

  • この作者の本は好きで何冊か読んでいるのですが
    すいすいっと読んでしまい、あまり残らなかったかな。

    自分が子供の頃母親が乳がんを患ったという過去があるので
    大人の視線から見る子供にとっての生と死、というものに
    あまりリアリティを感じなかったのが理由かも。

    反対に母親の泣いてる暇や体力があったら一日でも早く
    家庭に、子供のもとに戻りたいという切実な想いの方が
    わかるような気がしますが作者は男性だからどうしても男性視線の方が書きやすいんだろうなあ。

    それにしてもこの方の書かれるお父さんは子供想いの
    良いお父さんが多いなあ。今時の若いお父さんはこういう意識なのかなあ。なら良いのにな。

  • 子供の頃、子供向けの百科事典を読むのが好きでしたが、その中の動物編にて、ライオンに食べられるシマウマの写真とともにあった弱肉強食の説明に慄然としたこと、誰しも最後は死を迎えるという決して避けられない宿命に、言い知れぬ恐怖を感じたことを、この本を読んで思い出しました。

    そんな子供の頃の記憶を揺さぶられる一冊です。

  • 『てのひらの中の宇宙』(川端裕人、2010年、角川文庫)

    家族のきずなを描いた小説。まず第一の主眼としてはそう言えるだろう。小説中には、病と闘う母が登場し、2人の小さな子どもと支え合いながら話が進んでいく。身近な生物から宇宙の深遠さまで子どもに自然について教え、母親が死ぬかもしれない状況で、無意識のうちに子どもたちから「死」を遠ざけようとする父親。とても美しい家族の物語である。

    だが、小説はもっと大きなもの、すなわち家族や自然を超えて存在するもの、何か運命や法則といったものへの賛美を暗に描いているのではないか。誰もが死ぬ運命にある。私たちが暮らしている地球は太陽系にあり、太陽系も宇宙の一部であるが、やがて太陽も死に、地球がなくなり、宇宙が死ぬ未来が待っている。だから、この宇宙には「無限」は存在しないはずだ。だが、この宇宙には現に生と死がある。しかし、宇宙を前にした人ひとりの死は圧倒的に小さいのだ…。

    自然のすばらしさに魅せられる子どもが知的探究心を爆発させ、ことあるごとに学ぶ姿勢を描いたのはとても良い。作者はここに家族や自然を超えるものへの賛美を描きたかったのだろうと推測する。

    (2010年7月1日)

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著者プロフィール

1964年兵庫県明石市生まれ、千葉県千葉市育ち。文筆家。東京大学教養学部卒業。日本テレビ勤務中、1995年『クジラを捕って、考えた』でノンフィクション作家としてデビュー。退社後、1998年『夏のロケット』で小説家デビュー。小説に『せちやん 星を聴く人』『銀河のワールドカップ』『算数宇宙の冒険』『ギャングエイジ』『雲の王』『12月の夏休み』など。ノンフィクションに『PTA再活用論』『動物園にできること』『ペンギン、日本人と出会う』『イルカと泳ぎ、イルカを食べる』など、著書多数。現在、ナショナル ジオグラフィック日本版および日経ビジネスオンラインのウェブサイトで「・研究室・に行ってみた。」を連載中。

「2020年 『「色のふしぎ」と不思議な社会』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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