新世界 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 109
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043829019

感想・レビュー・書評

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  • D機関シリーズの最新作がまだ借りることができないので
    図書館で借りる。柳広司の三冊目。
    ロスアラモスで発生した奇妙な殺人事件を取り巻く闇と狂気の物語。
    ノンフィクションではあるが、科学者たちの奇人ぶりと
    彼らが抱え込む闇と狂気は真実に近いものがあると思う。
    狂気に落ちなければ、自分たちが生み出したモノがその後の世界を
    作り出したということのプレッシャーから逃れることはできないだろう。

  • ちょっと難しい。

  • おどろおどろしい世界観。
    原爆を開発した研究所の孕む狂気。

    暗く、怖い小説です。

  • ジョーカーシリーズが面白かったので読んでみた。

    有栖川有栖の解説が全て。

    原爆という大量破壊兵器を作った科学者たちが働く研究所が舞台。
    そこで<たった一人の男>が殺される事件を解明していくミステリー。
    そんな謎よりも科学者の心模様に惹かれる作品。

    「我は死神なり、世界の破壊者なり」
    どれだけ後悔しても、人間はイルカにはなれない。

  • 2011年110冊目

  • 読んだのが2011年初頭。その後に311が起きた。。

  • これは、重い。ハンパなく重たい。
    原子爆弾を作り出してしまったこと、作る過程に喜びを感じてしまったこと、実際に落とすという行為をしてしまったこと、落とすことで戦争を終わらせることができたのかもしれないという考え方。
    どこからが間違っているのか、はたまた間違いなのか?はっきり言って答えなんて出ません。
    ややファンタジー要素を盛り込みつつ展開してるけど、正直なとこ、これはほんとに考えさせられました。
    最後の一文読んで、ぞくっとした。

  • 小学校の時、道徳の時間にむっちゃ勉強させられた戦争の記憶が蘇った。
    はだしのゲンとかビデオメッチャ見せられたわ〜。
    小学校の頃は、現実味がなかったけど、大人になった今は、想像力も豊富になったし、いろんな恐怖感が沸き起こった。

    原爆の父のことはなんとなく知っていたけど、そんな施設があったんだ、とか、やっぱり加害者側はそんな感じなんだ、とか。

    なんか改めて人間の真っ黒い部分を見た気がする。

    ホント、地球って100年後にはないんじゃないかな。
    きっと虐殺器官みたいな世の中になっていそう。

    今、ちょうど8月で戦争のドラマばっかりやってるけど、それってなんのためにやってるのかな。
    戦争を知らない子供に教えるため?
    なんか違う気がするなぁ。

    なんだか、あの太平洋戦争も関ヶ原の戦いも同じような過去の戦ってカテゴリーにおさまりそう。

    なにが言いたいのかわからなくなってきたし、本の感想じゃなくなってきた!

    つまり、この本を読むと、戦争って…って考える良いキッカケになるよ。

  • 原爆がテーマにかかれているので、
    広島に住むものとしては、視点が非常に面白かった。
    原爆文学でなく、ミステリーとして、
    楽しかったといわせて貰いたい。
    犯人というオチは、残念だけど。

    ロスアラモスという原子爆弾がつくられたまち、
    そこに集う天才科学者、そこで起きる一つの殺人事件。
    ロスアラモスについては、戦争絵本で、今は、
    千羽鶴をやりとりしているという平和的お話を読んでいて、
    でも、原爆が作られた場所なんだという、微妙な気分もあって、
    そこが舞台というのが読んでいる時とても心魅かれた。
    文章は翻訳した本設定らしく、原爆の性質や描写も、
    加害者国目線であるだけに冷静に描写されていて、
    それだけにリアル。
     章あたりで、被爆国側の心理を、謎ときの探偵役が体験する
    シーンは、読んでいて気分が悪くなった。

    イルカ放送は、ちょっと挿入が無理やりな気はしたけれど、
    正しさって、なんなんだろう?と、ロバートの二面性や混乱を
    盛り上げるのには、役に立っていたと思う。
    それ以外の章立ては、1945年8月6日以前と以後を行ったり来たりの構成が非常にうまい!!えっ?この人死んでなかったの?と章を行き来してしまった。

    現実のロバートは50年経ったあたりで、広島に来日していて、
    あれは間違いではなかった、とコメントしていて、
    この小説の彼のように、迷いがあった風にはみえず、
    人の心は見えないけれども、
    被爆国の願望(小説というフィクション)と感じてしまう部分も
    あったけれど、世界を変えるほどのことをやったのは、
    確かなことで、新世界というタイトルに、ラスト納得です。
    我々は新世界を生きていて、狂わずにこれからも
    生き続ける未来を、選べるのでしょうか?

  • この小説は、ある外国人が柳広司に持ち込んだものだという。
    作者はあの原爆の父ロバート・オッペンハイマー、そして、ジャンルは「ミステリ」だ。
    主人公イザドア・ラビは優秀な科学であり、オッペンハイマーの友人である。
    舞台は、1945年8月のロスアラモス。戦勝記念パーティーで浮かれる基地内で、
    殺人事件が起きる。その調査を、責任者オッペンハイマーは、ラビに依頼した。

    舞台と登場人物を把握した時点で、
    「これは絶対きっちり説教をしてくれる作品だ」とおもい購入しました。
    昔の日本映画みたいな、泥臭く主義や主張を叫んでくる作品が意外と好きだったりするんです。
    そして予想通りの重いテーマ。
    日本人にとって、エンターテイメントにはなり得ないテーマですが、
    ミステリの体裁をとっているからか、ぐいぐいと引き込まれる展開と筆致でした。

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著者プロフィール

一九六七年生まれ。二〇〇一年『贋作『坊っちゃん』殺人事件』で第十二回朝日新人文学賞受賞。〇八年に刊行した『ジョーカー・ゲーム』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞をダブル受賞。他の著書に『象は忘れない』『風神雷神』『二度読んだ本を三度読む』『太平洋食堂』『アンブレイカブル』などがある。

「2022年 『はじまりの島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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