霧笛荘夜話 (角川文庫 あ 46-1)

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  • 角川グループパブリッシング
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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043865017

感想・レビュー・書評

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  •  こちらは7編からなる短編小説です。
    (とあるアパート「霧笛荘」の各部屋に住んでいた住人の物語で構成されていますので、話しはつながっています。)

     浅田次郎作品特有のやさしさをベースに、今回はちょっと違ったスパイスがちりばめられている気がする。

     舞台となる「霧笛荘」は港町の運河のほとりにある異国情緒あふれるアパートなんです。
    そこには行き場を失った者たちが辿り着く、そんなアパートなんですが・・・また登場人物が揃いも揃ってあくが濃い!
     不思議な管理人、纏足の老婆。自殺しそこなった若い娘、千秋。美人ホステス眉子。おつむが少し弱いけど、義理人情に厚い、鉄。北海道から上京した、若きギタリスト、四郎。花の大好きなオナベのカオル。訳ありの老人、マドロス。この7人が登場人物。
    登場人物はどの人も客観的には不幸に見える、そんな背景をしょっています。

     この小説の中で「お金で買えないものもこの世にはたくさんある」というせりふがよく出て来るんですが、
    ・・・もちろんお金では買えない目に見えないものもたくさんありますよね、この本の中での「お金で買えないもの」はなんだろう?と考えさせられるわけですよ。

    住人たちは誰もが不幸に見える立場に立たされています。
    でも自分のポリシーとか、自由とかそんなものを大事に持って生きています。
    管理人はよく「かれらは幸せだった」というんですが、
    目に見えない大切なものを脅かされずに自由に生きられているからこそ、彼らは幸せなんですね。

    ある意味ちょっと羨ましい。

    最後には登場人物みんな気高く見えてしまうから不思議です。

  • 霧笛荘の住人達の七偏の物語。悲しい話だが人間の暖かさを感じた作品。

  • しょうゆ飲ませて毒はかせようとしたのってこれだっけかな。

  • 7つの連作短篇作品。霧笛荘なる旧いアパートに住まう不器用だけれど人情あふれる人達の物語。本当に人と人との触れあいが優しく描かれている素敵な本でした!大家のぱあさんが長生きする事を願ってます♪こーいうアパートなら暮らしてみたいかな。

  • 凄く浅田次郎らしい短編集だと思う。
    町のモデルが横浜にしか思えなかったおかげで、頭の中で展開される映像や話の中に漂う雰囲気がかなりリアルに想像できた気がします。
    所謂真っ当な道で生きてきた人達ではないけれど、だからこその優しさってあるよな、と思いました。
    しをんさんの「まほろ~」に通じるものがあるなってのが個人的感想かも。

  • 人間の優しさについて考えさせられる。感動した。

  • 霧笛荘にすむ人々の決して幸せとは言えなそうな
    色々な人生。
    それを幸せと結論してしまう語り口。
    そしてそれを幸せと思わせてしまう語り口。
    これこそ文学かもしれない。

    なぞめいていて面白いのだが、なぜか後味が軽い。

  • キャスティングを考えながら読むと面白いよ

  • 近年の浅田先生の短編集の中では抜群に良かった。特に第三話の「朝日の当たる部屋」。“分かってるのにどうしようもない”切なさに思わず涙がこぼれてしまいました。本当に稀代のストーリーテラーだと思います、浅田次郎という人は。

  • なんか物足りない。浅田次郎にしては涙腺パンチが足りないというか…

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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