夜市 (角川ホラー文庫 つ 1-1)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043892013

感想・レビュー・書評

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  • ◆「夜市」「風の古道」収録。どちらも 導入からキレイ。「市」も「道」も人の営みがあり、幾多の「他」が行き交うところ。いつのまにか いてはならぬ場所・彼(か)の世界に踏み込んでしまう。◆「夜市」の祐司も一度は。そしていずみも「古道」の「私」も、こちらの世界に帰ってはくる。しかし、ともに連れ立った半身は囚われたままもぎとられ。完結・充足していた自己は壊れて戻らない。行きて帰りし物語であることを拒み、成長を拒む。もう「同じ」家・「同じ」自分には帰れない。◆迷い込み、友だちを救うことができないかもしれない・裏切らざるをえないかもしれない・・・・という自分への不信感・欠落者の感覚がこの迷宮・この怖さの源なのかも。【2013/07/28】

  • 誰もいない真っ暗な部屋で
    背中を、首筋を
    白く冷たい手でそっと撫でられる。

    そんな「ぞくり」がこれでもかと詰め込まれた一冊。

    書店でふと手に取って読んだのですが
    なんだかこの本自身に「呼ばれた」気がしてならない。

    恐ろしくて、不気味で、切ない。
    表題作以外もしっかりと楽しめる本です。

  • とても不思議な読後感のお話でした。
    「夜市」は、不思議な世界へふらっと入っていき、そこから話が2転3転したように感じる。
    結末は少し私好みではなかったけれど、納得させられてしまった。
    「風の古道」は、不思議な道へ入ってしまった2人の少年と1人の青年の物語。
    古の神やあやかしの類が使う普通の人には見えない道。
    そこで織りなす物語が、不運を招く。
    その先にある希望をつかむことができるのか、とても気になる展開でした。
    2つのお話に言えるのは、とてもつかみどころがない文章のように感じたということ。
    すごくしっかりしていて、力を感じるのに、どこかふわふわしていて、不安感を覚えました。
    何かひきつけられる、そんな不思議な話でした。
    ぜひ他の話も読んでみたいです。

  • お、これはなかなかいい。
    郷愁を感じさせる情緒たっぷりの世界観。
    文体自体は語りすぎず、端的に物事を紡ぐだけなのに、そこから立ち現れる異世界はなぜか心を惹きつけるものがある。できのいい「世にも奇妙な物語」を見たときのような感じ。
    なによりその想像力。椎名誠の「水域」を読んだときと同種類の感動を味わうことができました。
    「夜市」と「風の古道」の2作品がおさめられているが、どちらもストーリーがひねられており、悲哀感たっぷりの心落ち着く静かな余韻を残す。好きだなぁ。これ。

  • 読み終わった後に、「今夜もどこかで夜市が開かれているのだろうか」といった薄寒さと高揚感を感じる作品だった。
    子供の頃、夜道を一人で歩いていた時の非日常感、冒険感を思い出した。

  • 2篇とも面白い

    日常と隣り合わせにある非日常
    彼岸には彼岸のルールがあり此岸のものは従うしかない
    淡々と語られるあの世の情景

    夜市と古道

  • 何でも買える夜市で
    弟と引き換えに野球の才能を買った

    夜市は閉じ弟は消えた

    弟を買い戻す為再び訪れた夜市で
    今度は何を支払うのか

    ギャーと叫ぶホラーではなく
    じっとりした違和感のような怖さ

    例えるなら
    山の中の神社の裏山みたいな。。

  • ○好きなフレーズ
    あるときにある場所で生まれて、そして誰かと出会うって、嫌だから変えられることじゃないだろ?
    生きていくのがひどく怖くて億劫になった。

  • ホラーというよりは異世界ファンタジー怪異譚です。
    ノスタルジーで叙情的なのに、ジメジメしてなくてサラッと透明感ある雰囲気です。

    「夜市」はあまりにも平易で無駄のない文章に、なんとなく中学生くらいにピッタリというか、正直物足りない感じがありました。
    ですが「風の古道」のラストを読んで、このさっぱりとしたドライな文章に、突き放されたような不安感を覚えるのだな、と感じて読み返してみると、それが実に効果的で美しいのです。

    子供の頃の、まだアイデンティティも確立していない頼りないフワフワ感。そんな恐怖心を思い出させてくれる作品でした。

  • 装丁に惹かれて購入。

    ストーリーは、「幼い頃の不思議体験」という感じなのかな。

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著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、「夜市」で日本ホラー小説大賞を受賞してデビュー。直木賞候補となる。さらに『雷の季節の終わりに』『草祭』『金色の獣、彼方に向かう』(後に『異神千夜』に改題)は山本周五郎賞候補、『秋の牢獄』『金色機械』は吉川英治文学新人賞候補、『滅びの園』は山田風太郎賞候補となる。14年『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。その他の作品に、『南の子供が夜いくところ』『月夜の島渡り』『スタープレイヤー』『ヘブンメイカー』『無貌の神』『白昼夢の森の少女』『真夜中のたずねびと』『化物園』など。

「2022年 『箱庭の巡礼者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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