- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043892013
感想・レビュー・書評
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誰もいない真っ暗な部屋で
背中を、首筋を
白く冷たい手でそっと撫でられる。
そんな「ぞくり」がこれでもかと詰め込まれた一冊。
書店でふと手に取って読んだのですが
なんだかこの本自身に「呼ばれた」気がしてならない。
恐ろしくて、不気味で、切ない。
表題作以外もしっかりと楽しめる本です。 -
とても不思議な読後感のお話でした。
「夜市」は、不思議な世界へふらっと入っていき、そこから話が2転3転したように感じる。
結末は少し私好みではなかったけれど、納得させられてしまった。
「風の古道」は、不思議な道へ入ってしまった2人の少年と1人の青年の物語。
古の神やあやかしの類が使う普通の人には見えない道。
そこで織りなす物語が、不運を招く。
その先にある希望をつかむことができるのか、とても気になる展開でした。
2つのお話に言えるのは、とてもつかみどころがない文章のように感じたということ。
すごくしっかりしていて、力を感じるのに、どこかふわふわしていて、不安感を覚えました。
何かひきつけられる、そんな不思議な話でした。
ぜひ他の話も読んでみたいです。 -
お、これはなかなかいい。
郷愁を感じさせる情緒たっぷりの世界観。
文体自体は語りすぎず、端的に物事を紡ぐだけなのに、そこから立ち現れる異世界はなぜか心を惹きつけるものがある。できのいい「世にも奇妙な物語」を見たときのような感じ。
なによりその想像力。椎名誠の「水域」を読んだときと同種類の感動を味わうことができました。
「夜市」と「風の古道」の2作品がおさめられているが、どちらもストーリーがひねられており、悲哀感たっぷりの心落ち着く静かな余韻を残す。好きだなぁ。これ。 -
読み終わった後に、「今夜もどこかで夜市が開かれているのだろうか」といった薄寒さと高揚感を感じる作品だった。
子供の頃、夜道を一人で歩いていた時の非日常感、冒険感を思い出した。 -
2篇とも面白い
日常と隣り合わせにある非日常
彼岸には彼岸のルールがあり此岸のものは従うしかない
淡々と語られるあの世の情景
夜市と古道 -
何でも買える夜市で
弟と引き換えに野球の才能を買った
夜市は閉じ弟は消えた
弟を買い戻す為再び訪れた夜市で
今度は何を支払うのか
ギャーと叫ぶホラーではなく
じっとりした違和感のような怖さ
例えるなら
山の中の神社の裏山みたいな。。 -
○好きなフレーズ
あるときにある場所で生まれて、そして誰かと出会うって、嫌だから変えられることじゃないだろ?
生きていくのがひどく怖くて億劫になった。 -
ホラーというよりは異世界ファンタジー怪異譚です。
ノスタルジーで叙情的なのに、ジメジメしてなくてサラッと透明感ある雰囲気です。
「夜市」はあまりにも平易で無駄のない文章に、なんとなく中学生くらいにピッタリというか、正直物足りない感じがありました。
ですが「風の古道」のラストを読んで、このさっぱりとしたドライな文章に、突き放されたような不安感を覚えるのだな、と感じて読み返してみると、それが実に効果的で美しいのです。
子供の頃の、まだアイデンティティも確立していない頼りないフワフワ感。そんな恐怖心を思い出させてくれる作品でした。 -
装丁に惹かれて購入。
ストーリーは、「幼い頃の不思議体験」という感じなのかな。