フェルメール ――謎めいた生涯と全作品 Kadokawa Art Selection (角川文庫 ん 30-1 Kadokawa Art Selection)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
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  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043916016

感想・レビュー・書評

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  • 著者のフェルメール研究の集大成である大著『フェルメール論』(八坂書房)の簡易版というべき本です。

    フェルメールの作品をたどりながら、彼の作品がたたえる静謐な空間構成や、絵の具の質感を生かした表現技法が、どのようなプロセスを経てかたちづくられていったのか、さらに晩年の作品に向かって、いったん完成を迎えた彼の表現に破綻の影がしのびこんでいることを、ていねいに説明しています。また、彼の生きたデルフトという都市の景観を描いた作品を、その時代背景を参照しながら読み解き、そこに込められていた画家の意図を解明しています。

    文庫本ながらオール・カラーで構成されており、作品そのものの美しさをたのしむことのできます。

  • フェルメール作品を初期から晩期までほぼ網羅した(作品数が少ないので)、解説本。影響を受けた画家や作品の類似点、真作論争のある作品については論点紹介など、かなり詳しい紹介。フェルメール作品を見るたびに、「小さい」という印象をもってしまいますが、当時のオランダ風俗画は大体40×50cm程度のものが主流だったとの事。購入層は市民だったので、それが丁度よい多きさだったということでしょう。

  • フェルメールの全作品が掲載されているお得感のある本。

  • 内容はずばり、「フェルメールについて」彼の生涯と作品の解説が全てです。
    ちなみに、著者は国内ではフェルメールの第一人者と呼ばれている人なので
    内容は確かな信頼が出来る!?かもしれません。(そこまで詳しくはないので)
    ただし、TVのような謎を解き明かすというものではなく、学術的ですので
    楽しみにくいとは思いますが、絵の構成を変えた形跡があるとか、当初は
    〜のように描かれていて、なぜその〜を消したのか。といったような
    興味深い事が、詳細に述べられています。

    基本的にアートを楽しむ時に、言葉は必要ないと思いますが、何事も一歩深く知るには
    という事で購入し、【鑑賞→独自で思考→本書を読む→再度鑑賞→思考】といった感じで
    本書を活用していました。

    しかし、フェルメールは裕福な妻と一緒になる事で、とても利益を得られて
    いたようですね。こうした職業には不可欠なのかもしれません。
    もちろん、「お金」といった目に見えるものではなくても、誰かのサポートは
    必須ですよね。

    フェルーメールを深く知りたい人、又はもっと彼の絵を楽しみたい人
    お薦めします。文庫でお安いですしね。永久保存版です。
    本棚にそっと置いておいて、気になったら紐解くのが良いでしょう。

著者プロフィール

1948年生まれ。目白大学社会学部教授を経て、現在、同大学名誉教授。専門は17世紀オランダ美術史、日蘭美術交流史。82~85年、ユトレヒト大学美術史研究所留学。87年、慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。『フェルメール論』(八坂書房)および『フェルメールの世界』(NHKブックス)の2著で第10回吉田秀和賞を受賞。『庭園のコスモロジー』(青土社)、『フェルメール全作品集』(小学館)、『グローバル時代の夜明け』(晃洋書房、共著)、『フェルメール 作品と生涯』(角川ソフィア文庫)などの著作がある。

「2021年 『フェルメールとそのライバルたち 絵画市場と画家の戦略』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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