恨み忘れじ (角川ホラー文庫 ま 2-1)
- 角川書店(角川グループパブリッシング) (2009年12月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043943173
感想・レビュー・書評
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再読。
飛行中に空と海との感覚がわからなくなる状態に陥った男を描く「バーティゴ」、亡くなった恩師の夫から送られてきた形見分けの「マニキュア」が面白かった。
2015.10.18
恨みが詰まった短編集。
復讐への道筋、物語の展開、処理の仕方が、漠然と思い描いていたものとは違って、とても面白かった。
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タイトル「恨み忘れじ」から判るようにテーマは復讐ですが、復讐する側に肩入れしたくなるくらい感情移入出来、ある意味スカッとする部分もありました。
飛行中に空と海との感覚がわからなくなる状態に陥った男を描く「バーティゴ」
亡くなった恩師の夫から送られてきた形見分けの謎を描く「マニキュア」
トラウマを抱えた女性とその母親との葛藤を描く「チョコレート」など6編。
どの作品も短篇でありながら丁寧に描かれていて深くて面白い作品ばかりです。
いきなりの文庫化が勿体無いくらい秀逸な作品集に仕上がっていました。 -
久しぶりに読んだけどやっぱおもしろ〜
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''憎しみで人が殺せたら''って台詞が昔あったけど、憎しみで確かに人は殺せると思った。
殺されるのは、憎まれてる人じゃなくて、憎んでいる人のほうだけど。
どれだけ誰かを憎んでも、憎まれてる方はきっと何にも感じてなくて、憎んでいるほうだけが、憎しみですり減らされ、壊れていくんだろうな。そう考えたら、怖い。とても怖い。
誰かに憎まれる事をいつも怖がっていたけど。本当に怖いのはそんな事じゃない。だから、今、私はとても怖い。 -
どの作品も完成度が高い短編集だった。中でも特に、「バーディゴ」「チョコレート」が良かった。「チョコレート」の結末にはゾクッとした。
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はじめて見る名前だったけどタイトルに惹かれて・・・
どんなもんかと思って読み始めたけど本当に面白い!
どこかしら桐野夏生さんと似てるなーと思いながら。
さすが、女性の作家さん、本当に恨みの描写とか淡々としているのに黒々したものがよく現れてる。
読み進めていくうちにどんどんはまっていった。
最後のチョコレートの終わり方なんて最高すぎる。 -
恨みがテーマとなる粒揃いの短編集。特によかったのは「マニキュア」思わぬ展開で、人の心って怖いなと思いました。
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裏表紙の紹介文を見て何となく買った名前も知らなかった初読の著者だけど、なかなかの拾い物でした。
ちょっとどうかなと思うところもあるけど、着想と嫌な雰囲気とか情景の描写が良いです。まだあんまり著作がないみたいだけど、もう少し読んでみたいな。 -
タイトルどおり、さまざまな形の「恨み」をテーマとしたホラー短編集。ホラーといってもそこにあるのは、どこかにありそうな日常。サイコサスペンスといってもいいのかもしれないな。でもこの恐怖感は紛れもなくホラー。
お気に入りは「チョコレート」。こういう事件、こういう人は実際にありそうだし、あるだろうからこそたちの悪いお話。ぞくりとします。