女と男 ~最新科学が解き明かす「性」の謎~ (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043944071

作品紹介・あらすじ

気持ちを聞いてもらいたいだけの女と問題を解決しようとする男。なぜ女と男はこうもすれ違い、話が噛みあわないのか?最新科学による研究結果から明らかになっていく「女と男」の違い。違いを利用した教育現場や夫婦カウンセリングの盛り上がり。取材班はそこから生殖という視点を通して現在の私たちが避けて通れない「性の仕組み」に迫っていく-。NHK傑作ドキュメンタリー番組の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 科学的に男女の違いを探ろうという内容。以前読んだ『話を聞かない男、地図が読めない女』と話題が重複する部分がある。太古より男性は獲物を取ってくる為の空間把握能力と安全を維持するための警戒態勢が長引く傾向にあり、女性は相手の表情や感情を的確に読み取る能力に長け、男性よりもコミュニケーション能力が発達したのだという内容。
    「何年も何十年も何世紀も、人は大昔の筋書きを繰り返し演じている。気取ってお洒落をして異性の関心を引こうとし、求愛し、目がくらみ、たがいにとりこになる。それから巣作りをし、子供を作る。そして浮気をして、家族を捨てる。再び希望に負けて求愛を始める。永遠の楽観主義者である人間は、生殖期間中ずっと尻が定まらず、やがて成熟すると落ち着くもののようだ」(ヘレン・フィッシャー博士)

  • Y染色体はなくなる運命らしい。。男女の差ってもちろん大きいんだけど、生き物としては僅かな染色体の組み合わせの差異でしかない。両生具有とか、メスだけでも繁殖出来る生き物とか、やはり自然は面白く奥が深い。

  •  人間は乱婚を排除し、一夫一婦を基本としているので精子の質が悪い(P228参照)一方、乱婚で精子の質が問われるチンパンジーたちの精子は質が良いのだとか、人間は正常な男子でも精子異常は普通にみられるらしい・・・精子の世界も資本主義の理屈がはたらき精子(複数の男子)同士の適度な競争がないと質が良くならない(笑

  • 2011年(底本2009年)刊。
    同名のNHKドキュメンタリー(ドラマパート有)を敷衍させた書。

     男女の脳差、恋愛感情の脳内機序、男女間の愛情の時間に伴う変遷とその脳内機序、さらに言えば精子戦争一般は、他書の読破等からの既知情報は多い。本書の参考文献も読破済みがちらほらある。

     が、①精子の深刻な劣化傾向とその要因、②男性決定因子であるY染色体が消滅過程とは驚き。

     ①に関し、まず客観データとして、不妊精子とその予備軍で40%とは凄まじい。
     また、その要因は、乱婚型のチンパンジーの精子の活発さに比し、一夫一婦制に由来するヒト精子の劣化現象という仮説が提示される。
     すなわち、一夫一婦制による精子戦争の消滅によって、精子間の競争環境の減弱がヒト精子の劣化を生んだ。かかる要因提示には意外というか、規格外という他はない。
     もっとも、減弱の程度が顕著すぎる点から見て環境要因も示唆されてはいる。

     ②に関しては、単独の染色体たるY染色体については、単独染色体ゆえに不可避的に生じる遺伝子コピーのエラー、他の二本の対染色体による修復機構が働かず、エラーが蓄積されていった。これに起因するとある。結果、男性性をY染色体で決定する哺乳動物としては避けがたい事態なのだとの仮説が示される。
     これには驚きとともに得心したのも確か。

     勿論、既にY染色体を喪失した哺乳動物も現存するとのこと。
     ただ、どうして雌雄性が保持できているのか、どのような進化的過程を経たかなど要因論は未解明が大半である。けだし、それらは絶滅危惧種のため検討が困難であるからだ。
     つまりY染色体喪失動物の多くは既に絶滅した可能性も残置しているのだ。

     そこで見えてくる人類の解決策は、精子劣化の現実を考慮し、優良精子による人工授精と、万能細胞の活用ということになりそうだ。
     ただ、ならば、精子を提供するのは、男である必要はなく、また、SEXも不要という余り楽しくない未来像ではある。SEXにある種の安心感や快楽を感じている身からすれば、という限定付きだが。


     なお、ここで解説される男女関係のすれ違いの脳内機序はさほど新奇ではないが、身につまされる。
     妻娘連合軍の会話には到底入れず、疲れる上楽しくないのだ。
     息子との方が遥かに楽で楽しいからだが、大っぴらにすることは許されないのだろうな。

     ところで、社会・職業・家庭において、今求められている男性像が「(男女の)感情に関する知性の備わった者」との科学者の言を提示するが、それこそ男性側の感情や、男性が得意な部分を理性で押さえつけるという無理を強いてはいないか、という気がしないではない。

     社会が求める男性像の窮屈さは、既読の「男性漂流」に提示される問題であるが、確かに、この窮屈さは男性のみに妥当する問題とは矮小化し得ないと思う。
     ただし、ここで語られた問題は、女性とは異なる要因によるもの、という可能性は念頭に置くべきか?。
     こういう視座の必要性を感じるところだ。

  • テレビで見て面白かったので。
    改めて読み直したいと思い。

    あ、佐々木監督が「なでしこ力」で参考文献にあげていたので、すごくよいタイミングで読めてよかった。

  • (要チラ見!)/文庫

  • 男と女の脳の使い方の違いから始まって、性格の違い、恋のメカニズムなどが書かれている。
    いくつかの章に分かれており、読みやすかった。
    なぜタイトルが女と男なのかが最終章を読むと理解できるというのもおもしろい。まさか男のy染色体が少なくなっていってるとは・・・
    性の違いについて勉強するとっかかりとしてお勧め。

  • 2009年にNHKスペシャルで放映された「男と女」3シリーズを一冊の本にしたもの。
    私がこの本を読みたいと思ったのは、アメリカでは男と女の脳の違いから、男女別々のクラスで授業をしている学校が増えている情報に、とても興味をそそられました。
    男と女は人間としては基本的人権はまったく同じです。
    でも、男と女の脳と身体の構造が違うことを理解すれば、男と女を無理に同じように扱う矛盾がでてきます。
    この本は、その疑問に根本から答える最先端の情報が盛り込まれています。
    それが分かれば、男と女はお互い良い関係ができるでしょう。
    人間関係の根本にある男と女の問題を理解する上で、必読書だと思います。

  • 女と男ってこうも違うのか?

    男は浮気すると言いますが

    それは本能なのでしょうか?

    奥深い一冊です。

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著者プロフィール

長年「ひきこもり」をテーマに取材を続けてきたメンバーを中心とする、全国で広がる「ひきこもり死」の実態を調査・取材するプロジェクトチーム。2020年11月に放送されたNHKスペシャル「ある、ひきこもりの死 扉の向こうの家族」の制作およびドラマ「こもりびと」の取材を担当。中高年ひきこもりの実像を伝え、大きな反響を呼んだ。

「2021年 『NHKスペシャル ルポ 中高年ひきこもり 親亡き後の現実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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