渋沢百訓 論語・人生・経営 (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044090029

作品紹介・あらすじ

人の役に立つ仕事を愉快にする-。実業界の父・渋沢栄一が、自己の考えのすべてを語り、経済の飛躍的発展を次世代に伝える。論語の精神に貫かれた国家観・人生観・経営観を背景に、渋沢が生涯を通して会得したビジネス術を具体的に指南。会社組織の運営や人材の採択にまで関わる内容は、経営哲学の『論語と算盤』と共に社会全体の経済的幸福を志向する。原書『青淵百話』から渋沢の真髄を伝える57話を精選。

感想・レビュー・書評

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  • 渋沢百訓
    論語・人生・経営
    著:渋沢 栄一
    角川ソフィア文庫 G104 2

    渋沢栄一の人生訓 道徳の理と商売の利は両立する
    渋沢栄一の大著「青淵百話」を改題して復刻したもの

    明治の世も、強欲な人が、人の気持ちを知らずに商売をしていたようで、渋沢の憤りは現代にも通じるところがあり

    気になったのは、以下です。

    ・家庭のため、朋友故旧のために尽くす
     すなわち客観的見地に立って人生を過ごすことが人間としての本分である

    ・道理とは人の行くべき道、従うべき掟であることたるは、けだし疑うべき予知が無い

    ・公人として世に立つ場合は、常に国家的観念をもって事に任じ、すべての仕事の上に私を忘れて一身を犠牲にするという覚悟を持たなくてもはならぬ

    ・論語と算盤とは如何にも不調和の画題で、この二者に調和あるものだとは、多くの人の思い到らぬところであろう 論語は道徳上の教典であるのに、算盤はこれとまったく反対の貨殖の道の道具である
    余はひとり世のいわゆる儒者の見るところと、その見解を異にし、久しい以前から論語と算盤とは、相一致しなければならぬ者であるという持論であった

    ・ことに孔子に対して信頼の程度を高めさせるところは、奇蹟が一つもないという点である。
     キリストにせよ、釈迦にせよ、奇蹟がたくさんにある

    ・商業は決して個々別々に立つものではない、その職分は、まったく公共的のものである
     公益と私利とは一つである

    ・道徳には、商人に必要なものと、政治家に必要なものというような区別はなく誰にも必要で、不必要はこの世の中に一人も無い訳である
    ・あらゆる階級の人、あらゆる種類の人に、同じ道徳が、同じ程度において必要であるのに、特に商業にのみ道徳をいうは、わからぬことでないか

    ・うそをつかぬが商人の基本、としてあり、また、信用は資本なり、ともいうて、商売上、道徳の重んずべきことを教えてある

    ・道理に欠けず、正義に外れず、国家社会を利益するとともに、自己も富貴に至る
    ・一時の成敗の如何に拘わず、その内容に重きを置いてこれを論ずるものでなくてはならぬ

    ・過って改むるに憚ること勿れ

    ・国は利をもって利となさず、義をもって利となすなり

    ・学問の目的は千人中、一人の頴才をつくるがためでなく、千人は千人みな一様に効果を顕すように教育することが理想である

    ・現代青年にとって、もっとも切実に必要を感じつつあるものは、人格の修養である

    ・学問技芸上の資格
     ①簿記に熟練すること
     ②算術に熟達すること
     ③文筆の才あること
     ④字体の明確なること

    ・泰平の世に生まれた良民、すなわち常識的人物でなくてはならない

    ・交際の要旨は、事に当たっては切実に考えること、人に対してはいささかも誠意を欠いてはならぬ

    ・名を成すは毎に窮苦の日にあり、事を敗るは多く因す得意の時

    ・総じて世の中のことは、心のままにならぬが多い。とかく平生の心掛けが大切である

    ・順逆は人自ら造る境遇なり

    ・その罪を責めて人を悪まず

    ・読書法、精読がよいのか、それとも、多読がよいか

    目次

    凡例
    叙(渋沢栄一)

    主義

     天命論
     人生観
     国家
     社会
     道理
     余が処世主義
     公生涯と私生涯
     天の使命
     清濁併せ呑まざるの弁
     論語と算盤
     論語主義と権利思想

    覚悟

     米櫃演説
     商業の真意義
     日本の商業道徳
     武士道と実業
     新時代の実業家に望む
     事業経営に対する理想
     企業家の心得
     成功論
     成敗を意とする勿れ
     事業家と国家的観念
     富貴栄達と道徳
     危険思想の発生と実業家の覚悟
     当来の労働問題
     社会に対する富豪の義務

    立志

     就職難善後策
     地方繁栄策
     立志の工夫
     功名心
     現代学生気質
     頽廃せし師弟の情誼
     初めて世に立つ青年の心得
     役に立つ青年
     余が好む青年の性格
     会社銀行員の必要的資格
     衣食住

    修養

     貯蓄と貯蓄機関
     交際の心得
     人格の修養
     精神修養と陽明学
     常識の修養法
     習慣性について
     大事と小事
     意志の鍛錬
     克己心養成法
     元気振興の急務
     勇気の養い方
     健康維持策

    処世

     服従と反抗
     独立自営
     悲観と楽観
     逆境処世法
     傭者被傭者の心得
     過失の責め方
     激務処理法
     貧乏暇無しの説
     読書法

    解説

    ISBN:9784044090029
    。出版社:KADOKAWA
    。判型:文庫
    。ページ数:416ページ
    。定価:780円(本体)
    。発売日:2010年10月25日初版発行

  • 筆と墨と硯の寿の説明が印象に残った

  • 再版を購入。再版前のを紛失した為。
    井上勝のことが書かれているのと、土地柄、渋沢栄一関連の本が多くない為の貴重な一冊。
    しかし、ありがとう!お札の絵柄刷新!再版させてくれて!
    昔候補に挙がったけど髭がないことで偽札防止に不向きだと選ばれず、髭のある伊藤博文が選ばれてからの歳月を考えると感慨深い。

    凡例にて抜粋なので百話ないことと一部表現を変えてはいるが原文ママとあるので無い話や変えてないママの文が読みたい場合は原本の「青淵百話」をあたることをオススメ。

  • 公器の精神でもって、企業を経営していく。この企業精神は、ドラッカーよりも渋沢栄一郎が先に説いています。渋沢栄一郎といえば、「論語と算盤」の精神が有名で、実業家とはどういうものなのか?深く考えさせられた一冊でした。この本を読み進めて一番の学びは、明治期の世間の不平・不満と現代のとで違いがないということ。時代物を読むメリットを感じさせられました。

  • 人の役に立つ仕事を愉快にする―。実業界の父・渋沢栄一が、自己の考えのすべてを語り、経済の飛躍的発展を次世代に伝える。論語の精神に貫かれた国家観・人生観・経営観を背景に、渋沢が生涯を通して会得したビジネス術を具体的に指南。会社組織の運営や人材の採択にまで関わる内容は、経営哲学の『論語と算盤』と共に社会全体の経済的幸福を志向する。原書『青淵百話』から渋沢の真髄を伝える57話を精選。

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著者プロフィール

渋沢栄一:1840(天保11)年2月13日、現在の埼玉県深谷市血洗島の豪農に生まれる。幕末はのちの将軍・徳川慶喜に仕え、家政の改善などに実力を発揮し、次第に認められる。 27歳のとき、慶喜の実弟・昭武に随行し、パリの万国博覧会を見学するほか、欧州諸国の実情を見聞し、先進諸国の社会の内情に広く通ずることとなった。帰国後は「商法会所」を静岡に設立。その後、明治政府に招かれ、のちの大蔵省の一員として国づくりに深くかかわる。1873(明治6)年に大蔵省を辞した後は一民間経済人として活動。第一国立銀行の総監役(後に頭取)として、同行を拠点に、株式会社組織による企業の創設・育成に力を入れた。また、「論語と算盤」として知られる「道徳経済合一説」を説き続け、生涯に約500もの企業にかかわった。さらに、約600の教育機関・社会公共事業の支援や民間外交に尽力。実業家のなかでは最高位となる子爵を授爵する。1931(昭和6)年11月11日、多くの人々に惜しまれながら、91歳の生涯を閉じた。

「2024年 『渋沢栄一 運命を切り拓く言葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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