大地の芸術祭

著者 :
  • 角川学芸出版
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本棚登録 : 62
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046532053

作品紹介・あらすじ

アートによる地域活性化の先駆けとして、10年走り続けた大地の芸術祭。それは止まることのないロードムービー。ディレクターの大アクション、住民とアーティストとの格闘劇、サポーター演じる涙と笑い…。それぞれが心に残る映画の名シーン。

感想・レビュー・書評

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  • 渡辺斉がいなかったら大地の芸術祭はなかった20

    美術は生理の発現であるが故に無垢なのだ。そして面白い。67

    (「アートは赤ちゃん」論の論証の一つとして)手のかかる赤ん坊は人を呼ぶ力を持っている。67

    MVRDVの事務所を初めて訪ねた時(アポなしだった)、建築研修生だと思われ門前払いされた69

    ジョセップのカラーバー選びは孫娘の意見が優先されたのか「サンリオカラー」であふれている72

    「妻有全戸訪問」は、広報活動としては有効な効果を生んだとはいいがたいが、この時の経験は、こへび隊一人ひとりにとって、その後幾多となく訪れる危機を乗り越える糧となった。関口82

    良家のお嬢様が際どい演技にも挑戦した84

    金九漢は最初の制作の時も「荷物類が届かない」と言ってしばらく飲んだくれていた90

    中越地震で初めて遠藤利克の作品がチャプチャプ音がして、「水を感じられた」115

    中越地震で桑原は滝沢で泊まることになって宴会をしていた。しかし連絡をしなかったので大目玉を食らった116

    伊藤ヨシアキの作品の「見る木」はよかれと思った住民が、勝手に大きいねむの木に植え替えた可能性がある127

  • 越後妻有地域で開催される大地の芸術祭をディレクターの観点で解説。アーティストの想いや住民の方々の協力、里山の風景が伝わる。

  •  母方の実家・富山に行く際、上越新幹線を越後湯沢駅で降りて、特急に乗り換える。その時、「大地の芸術祭」のポスターをよく目にしたのを覚えている。大森でのまちづくり活動でもアートと接するようになったので、本書を手に取ってみた。9月からスタートする「おおた・アーティスト・イン・レジデンス」事業のおおた側アーティスト・酒百宏一さんも「大地の芸術祭」に参加されている
     アートによるまちづくりは、「ソト」から「ウチ」へ持ち込まれるものが多い。とりわけ、地域内での合意形成など、3歩進んで2歩下がるような感じだ。しかし、地道に続けていくことで、「ソト」と「ウチ」にface to faceの関係性が生まれてくる。それは対組織との関係性ではなく、個人同士の結びつきだ。マネージメント側、アーティスト、ボランティアスタッフなど、それぞれの立場の人間が地道にface to faceの人間関係を構築させていったことで、毎回規模を大きくしながら、「大地の芸術祭」が行われてきている。
     組織同士の関係性ではなく、如何にface to faceの関係性を築けるかが「まちづくり」だ。そのことを改めて再認識した。

  • 大地の芸術祭をディレクターの目線から見た総まとめ。
    新潟の山奥で開催された芸術祭の苦労やアーティストとの関係、こへび隊の実態など、さまざまな角度からの大地の芸術祭が書かれている。様々な事業と組み合わせてアーティストへの予算が捻出され、建物が維持され、地元の人が協力し、、、というのを長い長い年月をかけて3回の大地の芸術祭となった。
    結構だらだらと自慢話っぽい所もあるけど、ものすごいパワーが必要なことをこういう世代の人がやってのけたことはすごい。
    「アートでまちづくり」簡単なことではない。

  • もっともっと大地の芸術祭というものについて知りたい、と思わされました。

    観光とか都市とかまちづくりとかパブリックアートとか、全然興味もなかったし、机上の空論に過ぎないと思ってきたけど、実際に大地の芸術祭に行って、そうではないかもしれないと考えるようになって、この本を読もうと思った。

  • 持ち越し。

  • 越後妻有での芸術によるムラの盛り上げのとりくみが取り上げられた本。
    芸術界もうるおい、お年寄りの生活も活気を出すこのとりくみは高齢社会であり現代アートのあふれる現代において注目すべき取り組みではないだろうか。
    大地に密接した芸術は、自然美学について考える視座も与えてくれる。

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著者プロフィール

1946年、新潟県高田市(現上越市)生まれ。東京藝術大学美術学部卒業(仏教彫刻史)。
1971年、東京藝術大学の学生・卒業生を中心に「ゆりあ・ぺむぺる工房」を設立(渋谷区桜丘町)。展覧会やコンサート、演劇の企画・制作に関わる。1982年、株式会社アートフロントギャラリーを設立。

主なプロデュースとして、ガウディブームの下地をつくった「アントニオ・ガウディ展」(1978-79)、全国80校で開催された「子どものための版画展」(1980-82)、全国194か所でアパルトヘイトに反対する動きを草の根的に展開し、38万人が訪れた「アパルトヘイト否! 国際美術展」(1988-90)、米軍基地跡地を文化の街に変えた「ファーレ立川アートプロジェクト」(1994)など。

アートによる地域づくりの実践として「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」(2000-)、「瀬戸内国際芸術祭」(2010-)、「房総里山芸術祭 いちはらアート×ミックス」(2014、2021)、「北アルプス国際芸術祭」(2017-)、「奥能登国際芸術祭」(2017-)で総合ディレクターを務める。

主著に『希望の美術・協働の夢 北川フラムの40年 1965-2004 』(角川学芸出版、2005年)、『美術は地域をひらく 大地の芸術祭10の思想』(現代企画室、2014年/アメリカ、台湾、中国、韓国で翻訳出版)、『ひらく美術 地域と人間のつながりを取り戻す』(ちくま新書、2015年)、『直島から瀬戸内国際芸術祭へ─美術が地域を変えた』(福武總一郎との共著/現代企画室、2016年/中国、台湾で翻訳出版)など。

「2023年 『越後妻有里山美術紀行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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