都市空間の怪異 (角川選書 311)

著者 :
  • KADOKAWA/角川学芸出版
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047033115

感想・レビュー・書評

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  • 正直に言って、宮田登という人がいなくなってしまったことが私は悲しい。最後まで未完な人だった。最後の最後の本となるのがこの本。まあ、そこに深い意味はないのだけれど。
    彼のフォルクロアに対する深い関心には感動するし、その広い知識も素晴らしい。しかし、彼には後20年欲しかった。そう思う。
    この本は彼の本の中でも相当に仕上がりがいい本だと思う。それは本人の意図を通す努力が最後に行なわれているからだ。本当に些細なことにまで興味を感じてしまう彼はいつも主張が薄れてしまうような文章を作ってしまう。そこが毎度難点だった。この本はそこが少し救われている。それは彼の深い友であった小松和彦さんの力が作用しているように思う。小松さんは主張のゆるがない文章をもって同じフォルクロアの世界を描いている。今回、本の末尾に小松和彦による文章が加えられている。これが世界をきちんと提示してくれているのが何よりもこの2人の関係を判らせてくれる。
    確かに主張がきっちり描けないのは欠点である。でも、それを含めて私は宮田登という人の文章が好きだった。
    どこまでも持ち上げられている柳田邦男の世代の陰にありつつ、深い仕事をしてきた人だと思う。

著者プロフィール

宮田 登(みやた・のぼる):1936?2000年。神奈川県生まれ。東京教育大学文学部卒業。同大学大学院修了。筑波大学教授、神奈川大学教授を務める。著書として『ミロク信仰の研究』『都市民俗論の課題』『江戸のはやり神』『妖怪の民俗学』『ケガレの民俗誌』『はじめての民俗学』など多数。その関心は民俗学から日本史学、人類学等、周辺諸学におよび、研究の成果は国内外で評価された。

「2023年 『霊魂の民俗学 日本人の霊的世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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