編集者国木田独歩の時代 (角川選書 417)

著者 :
  • KADOKAWA/角川学芸出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047034174

作品紹介・あらすじ

自然主義作家として名を残す国木田独歩は、日露戦争の戦況を伝えたグラフ誌で一時代を築いた有能な編集者であった。独歩のもとには、日夜、友情で結ばれた画家や作家が集い、日本初の女性報道カメラマンも加わり、独歩社を結成。報道写真雑誌を開花させた彼らに、活気ある明治の時代を読む。

感想・レビュー・書評

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  • 婦人画報等、グラフ誌編集者としての国木田独歩。
    「破産」の梅子のモデルとなった日野水ユキエ(同志社女子学校→明治女学院→女子写真伝習所→近事画報社、独歩社→結婚して北京へ)。
    奇人、数学の天才、明星にもしばしば寄稿し(雅号は鉄幹がつけた様子)最後の最後まで独歩社に寄稿しつづけた坂本紅蓮洞。
    小説家・翻訳家であり、谷崎潤一郎が認めた美少年、武林無相庵。
    藤村操の投身自殺の六年前、華厳の滝に花袋と訪れていた事。
    等。

  • これは力作。非常に多面的にものを見て情報を集め、客観的に評価しようと尽力しているところに愛がみえる。没した歴史を掘り起こして記録するのは至難の業で、それをこうした形に昇華したのは素晴らしい。 著名な作家の若き日と、時代の激動がひしひし伝わる良書。

  • 国木田独歩が終生の仕事と考えていたのは、出版事業であったのだ。しかしながら、彼の編集者としての仕事は世の人々からは評価されずに忘れられてしまい、生活費を稼ぐために編集者として多忙のなか創作した小説はなかなか売れずに貧乏生活が続き、死の少し前に人気作家に押し上げられるとは皮肉なことであった。

  • 一般に国木田独歩は「武蔵野」などの自然主義文学を代表する文豪だと、けっこう乱暴な紹介をされている。
    けれど、この本に書かれている独歩は小説家というよりも編集者として、またとても好感のもてる人物として描かれている。
    国語の便覧などでは書かれることのない、素の独歩に近づく一冊。

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著者プロフィール

1958年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒。ノンフィクション・ライター。図書館へ通い、古書店で発掘した資料から、明治の人物、世相にあらたな光をあてつづけた。
『「食道楽」の人 村井弦斎』でサントリー学芸賞、『編集者 国木田独歩のj時代』で角川財団学芸賞、『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』で読売文学賞を受賞。
他の著書に『音のない記憶』『忘れえぬ声を聴く』『明治のお嬢さま』など。10年間で10冊の著書を刊行した。惜しまれつつ、2010年没。

「2018年 『歴史のかげに美食あり 日本饗宴外交史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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