創造はシステムである 「失敗学」から「創造学」へ (角川oneテーマ21 A 99)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047101883

感想・レビュー・書評

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  • 693

    主婦が夕食用に、冷蔵庫の中から有り合わせのものを選んで 鍋 を作るのも創造である。家族一緒で夏休みに、奈良へ旅行するのも創造である。自分の歯に合うような歯ブラシを、店の棚の数十種類から選ぶのも創造で



    その最適解探索者の筆者の経験から言えることであるが、不思議なことに、目標を具体的に設定しておくと、そのうちに実現する。自分の脳が自動的に解を探し出してくれるのである。神様が解を拾ってきてくれる感じである。たぶん、普通ならば見過ごしていた解のヒントに気が付くからだろ



    概念操作という意味で同根である。これは一般化・抽象化ではなく、逆の特殊化・具体化である。一般に、片方向ができない人はその逆方向もできない。  筆者の研修講師の経験から言えば、大雑把に言って、 半数の人間はこの思考の上下運動ができない。 できないと自分の問題とまったく同じ条件のデータを検索するしかない。しかし、一般にまったく同じ状況のデータは存在しない。たとえば、個人の万引き事件の刑罰を確定するのに、過去のまったく同じ犯罪を探すのと同じである。同じ人が同じ場所で同じ時刻に同じ犯罪を起こせないのだから、「同じ」犯罪は無理なので「似ている」犯罪を探すしかない。そこで窃盗罪の構成要件を決めて、人、場所、時刻のような固有名詞を省いた文脈で罪を判断



    昔は2次元の図面から3次元の製品を頭の中で構築して金型を設計していたが、今はコンピュータが3次元像を作ってくれる。外科手術と同じである。これまで外科医は輪切りした2次元のMRIやCTの写真を並べて、手術計画を3次元で考えていた。しかし、いまやコンピュータが3次元像を作って誰でも計画できるようになった。さらに臓器癒着のような干渉があっても、コンピュータを使えば、予測できて損失回避

  • 久しぶりに再読。創造を才能と考えずに、システマティックなアプローチで捉える考え方は、面白いです。後は、面倒と思わずに実践できるか❓がキーですね

  • 創造するという行為は私たちが想像するよりももっと簡単なこと、というのがこの本のとりあえずの出発点。

    著者は「創造」を「自分で目的を設定して、自分にとっての新しい作品や作業を、新たに造ること」と定義し、その「創造」を行うために助けになる考え方、思考アプローチ方を紹介している。

    キーワードは要求機能、思考演算、モジュラー、インテグレイテッドなどになるだろうか。

    ただし、「何を考えたらよいのかわからない」という状態の手助けにはならない。何からの実現したいものが定義されていた場合にそれをいかに実現していくのかというアプローチの紹介である。「何を考えたらよいかわからない」という方は別の本をあたったほうがよいだろう。

    文体は軽く読みやすい本である。個人的には若干無理なカタカナ表記(キッカケ・ナントカなど)が目に触るが気にならない人は問題ないだろう。

  • TRIZについて

  •  畑村先生本をいくつか読んでいたためか、すんなりと読めて、良い復習ができた。説明図をどう作ったのか、という説明がもっと丁寧であれば、より良い。

  • さらっと流し読みに近いですが、分かりやすかったです。
    表面的なことだけの内容とも言えますが、確かに自分にも言えることでもあり、また、創る者として部下に教えるならこういう方法で伝えれば良いのではないかというヒントになった。
    失敗の理由と観点が大変ありがたく、今後気を付けようと思いました。
    当たり前のことですが、気付かされてくれたといえことに評価4。

  • (自分用メモ)
    システム設計の考え方を咀嚼したくて手にとってみた。
    なるべく専門外の人にもわかるように…と、一般的日常的な事例をもとに解説されているので、取っ付き易い。が、私自身はもっと突っ込みたかった、というか、ここでさらっと流されている、要件定義/設計について学びたいというのが第一の目的だったので、もう少し別の本を読んでみたほうがいいかな、という印象。

    家事を事例として多用しているところは良いとして、出せば出すほど、この人は家事を日常的にしない人なんだろうなぁ、、とバレてしまうところはご愛嬌。目の付け所はさすがプロなんだけど、現場にいないことがバレてるよ。おじさんやししょうがないな(笑)

  • これは良書!システム構築にかかわる人全員に読んで欲しい本。ここ数年、「深く考えるための具体的方法」を探っていますが、これは非常にいい指南書です。
    思いを言葉に、言葉を形に、形をモノに
    すなわち、
    願望を目的に、目的を手段に、手段をアクションプランに
    というように、非常に漠然とした「願望」を、最終的なTODOであるアクションプランに落とし込むためのプロセスが記載されています。他にも日米比較、あるいは大企業と中小企業を対比した仕事の進め方の特徴から生じる失敗の傾向など、実にためになる本です。

    この非常に漠然とした「願望」は、システム構築においてはお客様の漠然としたシステム化要望だったり、あるいは情報化戦略の目標だったり、プロジェクト目標だったりします。これを、うまく機能要件化及び非機能要件化していくプロセスについて指南してくれます。

    考えるときに使う図や手法は、ピラミッドストラクチャーとかKJ法とかいろいろありますが、この本に書いてある方法が一番現実的だと思いました(今のところ)。実践はまだしていないので、とりあえず今の感想です。明日から実践してみます。

  • 困った時にはワンパターンでも思考演算をやってみる、要求機能を列挙する。
    創造は要求機能の全部を設定することから始まる、なるほどそういうものか。

  • 困ったことを乗り切ること、それこそ創造である。著者が本書の最後で述べるこの一言にすべてがあるような気がする。乗り切るための良い材料として、過去の失敗例を集めて分析し、システムの中でどこが失敗の原因になったのかをこれでもかと真剣に取り組んでいるのがこの本の特徴だと思う。これから対処しなければならない問題が発生した時に、システムで考えて楽しみながら乗り越えられる力を身につけたいと思う。

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著者プロフィール

東京大学大学院教授 博(工)

「2021年 『脱・失敗学宣言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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