- Amazon.co.jp ・マンガ (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047361980
作品紹介・あらすじ
堀辰雄の傑作少年文学『羽ばたき Ein Marchen』を壮麗にコミカライズ。
二人の少年――ジジとキキをめぐる美しく残酷なおとぎ話。
“ジジは普通の餓鬼大將とちがつて、ただ誰よりも腕力が強いだけではなく、それと同じくらゐに誰よりも美しかつた。その慓悍な眼ざしと、その貝殼の脣とが、他の仲間たちの上に異常な魅力をもつてゐるのだ。ジジは彼の貧乏なことをも彼の魅力の一つにしてゐるやうな少年だ。”
“ジゴマのジジをキキといふ少年が追ひかけてゐた。キキは身體の小さなくせに、頭の大きい少年だ。そのとき、突然ジジが石につまづいて、はげしく倒れた。そして死人の眞似をした。するとキキは、彼を捕縛すべき警官の役割を放棄して、ジジの肩に手をかけながら、女の子のやうにやさしく聞いた。
――ジジ、どこも怪我をしない? ”
原作小説と鳩山郁子の描き下ろしあとがきのほかに、文筆家・長山靖生氏による堀辰雄が生きた時代と本作の作品世界を楽しく学べる解説文も収録。
『羽ばたき Ein Marchen』という名作を多角的に楽しめる一冊。
感想・レビュー・書評
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堀辰雄の短編「羽ばたき」を美麗にコミック化。堀辰雄の短編も同時収録。二十世紀初頭のヨーロッパの香りにため息が出る。
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ほぼ台詞の無い第4章の緊張感、特に最後のページが圧巻。
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原作が小説のコミカライズということで、鳩山先生っぽさが欠けてたら嫌だなーと思ってたんだけど、どっこい鳩山先生が一から描いた作品かと思うほどオリジナルっぽい作品だった。巻末の原作小説を読んだところ、とても自然に文章を切り取って絵に変換しておられるので、原作と照らし合わせて読むのがまた楽しかった。今回もイラストの美麗さに目眩が。コマで表した間や、小物や背景、衣装などのひとつひとつを見逃すまいと1ページ1ページ穴があくほど見てしまう。ジジの小悪魔さにも翻弄された。ああもう色々たまらん。
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堀辰雄の『羽ばたき Ein Märchen』をコミカライズしたもの。
原作小説と文筆家・長山靖生氏による解説を同時収録。