シアター! (メディアワークス文庫 あ 1-1)

著者 :
  • アスキー・メディアワークス
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048682213

感想・レビュー・書評

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  • 子どもの頃、いじめられっ子で家にこもりがちだった巧は、
    兄の司とヒーロー戦隊のキャラクターである赤と青色の人形で
    ストーリーを考えながら遊ぶのが唯一の楽しみだった。

    現在は工務店で営業の仕事をしている司は
    巧が学生時代に立ち上げ、主宰している劇団「シアターフラッグ」が
    赤字で立ち行かなくなっているのを知って
    お金を貸す代わりに「2年で返済できなかったら、劇団をたため!」と条件を出す。

    優しい性格で人と争うことを好まず、劇団員全員に役を与えることを優先し、
    作品の質を上げるために配役を精査し脚本をより厳しい姿勢絞り込むことに
    今までは手を付けずに来た巧だった。
    声優としてキャリアを積み、「シアターフラッグ」に新たに参加することになった
    千歳の出現で、巧にも作品の成功を目指す欲が出てきて・・・。


    子どもの頃にいじめられた経験から傷つくことを恐れつつも、
    なぜか甘え上手で、人の心をつかんで離さない巧。
    人たらしなんだよね。
    お勉強も、スポーツも子供のころから何でもできて、その上信頼される司。
    一見隙がなさそうなのに、思わぬところに人間らしさが垣間見え、これまた大変魅力的な人。
    姉御肌でしっかり者、看板女優の牧子さんは、巧のことが気になる様子だけれど、
    どうやら巧は他の人が気になる様子で、何角関係なんだろう・・・?


    ああ、これは作る者だけが分かる言語だ
     <中略>
    同じ場所にいて同じ言葉を聞いても絶対に届かない。
    そんな領域を『彼ら』は持っている。(P209)


    どこまでも深い愛情と信頼でつながる兄弟。
    弟の辛さも喜びも包み込むように認めてきた兄にも、入り込めない世界。

    スポーツでも仕事でも何かに打ち込み、同じように高みを目指さしていても、
    その先へ行ける人とそうでない人がいる。
    行けた人の中には魂の言葉というのか、寄り添い理解しあえる言葉があるのだと思う。
    どこまでも研ぎ澄まされる才能を認めあえる人に出会えるってうらやましい。

    そういう人たちが発する言葉や雰囲気を楽しみつつ、
    心が縮こまらず自分らしくのびのびと居られる人間関係もそこにある。
    有川さんの描く気持ちのよい世界を十分堪能できる1冊です。

  • 小劇団「シアターフラッグ」の話。経営難に陥った劇団に訪れる解散の危機。お金がないのだ!
    そこに現れたのは、鉄血宰相!?

    危機を脱することができるのか!

    これは面白かった。一気読みしました!

  • 有川作品にハズレはないことを再確認。
    演劇をやめた身としては地団駄踏んで「ちっくしょー演劇やりたい!」と叫びたいばかりだけど•́ ‿ ,•̀
    もー久しぶりにページを神級の速さで捲ることができて清々しいやら気持ちいいやらでした。やっぱり面白い本って自分のハマり具合でわかるよね!(ニュアンス伝われー)

  • キャラクター同士の掛け合いが凄く自然で、軽快なので凄く読みやすかったです。人情味溢れる感じで一人ひとりに共感しやすくて物語が身近に感じました。仲間内のわちゃわちゃした感じのノリが凄く好きです。1回全力でやって折れないと諦め切れない。凄くその通りだも思いました。その全力を引き出す為に発破を掛けてくれる厳しいけれど世話焼きで優しいお兄さんにしびれました。演劇界を追体験できて面白かったです。

  • おもしろい!『シアター!2』読みたい!

     小劇団「シアターフラッグ」に突然襲った300万の借金。
     悩んだ主宰の巧は兄の司に泣きつく。
     司は巧にお金を貸す代わりに「2年間で劇団の収益のみで
     この300万を返せ。できない場合はこの劇団を潰せ」
     と厳しい条件を突きつけた。

    巧と司の兄弟愛はおいておき、
    劇団員のおおっぴらな片思い、密やかな片思いも絡ませながら、それぞれにやりきりつくして300万を目指す若さ、熱さ、悩み、真剣さをビンビン伝わって来ました。
    恋の行方も気になるし、結末も気になる。
    うーん、有川浩さんの物語に完全にハマってしまってる(^^;

    好きでやっているから、劇団は貧乏が当たり前だから、なんて逃げなんでしょうね。
    好きだからこそずっと続けられるように利益も出す。
    好きでいてくれる観客のためにも続けられるように利益を出す。

    私達の仕事もそうだよなぁ〜。
    うん、がんばろ。
    なんか元気をもらった。
    よし、もっと元気をもらうために『シアター!2』読もう!

  • 貧乏劇団シアターフラッグ、300万の借金を抱えて再出発!2年の期限までに返しきれなければ潰す、という約束で必死に足掻いていく劇団員たち。演劇という世界は以前少しだけご縁のあった某劇団を彷彿とさせてとても身近に感じるし、人間模様が面白い。

  • 泣き虫主宰に惚れた。仲間たちが彼に惹かれるのが分かる。言語化はし難い……本能かな…………。

  • 小劇場の内情をよく描いているし、とっつきやすく面白い。著者の舞台芸術に対する思いも垣間見え、ググぃっと引き込まれる。映画化とかで見てみたい

  • 鉄血宰相、守銭奴と呼ばれる春川司。
    あだ名だけ聞くと、どんだけ冷血人間かと思うが、実は相手の事をよく観察し、状況や気持ちを察して、的確なことを言う。ストレートな言い方で、誤解を招きそうだけど、言うことはおっしゃる通り笑司の言うことに最初は皆、反感を持ったりするが、最終的に司の言う通りに動いている。
    痛いところをつかれることも多々あるが、読んでいてとてもスッキリ!そのツッコミ!確かに!と。
    そして、何より弟思い。劇団の存続を反対していると表向きでは言ってるけど、気がつけば応援しているような行動と言動。自身でも劇団を終わらせるつもりなのに何やってんだ?と自問自答?してる様子に笑みが溢れる。
    自分がやると言ったからには、どんな手段を使っても、任務を遂行する笑
    見事な頭の切れ具合と行動力、営業で培ったトーク力で様々なトラブルを乗り越えていく。
    読んでいてとても気持ちよく、こんな人が近くにいてくれたらなぁと思わせてくれる一冊。
    有川浩さんは、活字の苦手な私にもとっても読みやすかったので、知人の勧めもあり中古でゲットしてみたけど、正解だった⭐︎

  • 面白かった!
    久々に有川さんの作品読んだ気がしますが、やっぱり読みやすいし引き込む力がありますよね。
    主要人物が多いけど、キャラが立ってるので混乱もしないですね。
    上手く行き過ぎないハッピーエンドは読後感もよし!
    続編も楽しみです(^^)

  • この方の本は本当に面白い!

    どうしてこんなに素敵な男子が描けるのか…。
    どうしてこんなに素敵なセリフが描けるのか…。

    司の言う『吊るすぞ』が、ど真ん中にズキュンです(笑)

    有川さんの作品を読んでいるといつも湧き上がる感情が、
    『何か泣きたくなる』です。

    懐かしくて泣きたくなる。
    切なくて泣きたくなる。
    羨ましくて泣きたくなる。
    微笑ましくて泣きたくなる。

    今回は羨ましくて泣きたくなる。

    人生を懸けてのめり込める何かって自分にはない。
    良くも悪くも普通。
    普通が一番幸せだ、っていうのも分かるし、実際自分でもそう思う。

    でも、こういう人達がいるんだな~って思うとすごく羨ましくて悔しくなる。
    今の自分は随分面白味のない人間になっちゃったな~って。

    無茶なんてしないし、がむしゃらに何かを頑張ることもない。
    熱中することがないなぁ。

    学生の頃に部活に臨んでいた時の気持ちは今ではもう持てない。
    何かを新しく学んでも、興味のあることをやってみても、
    あの時のあの感じ、にはならない。

    そんなことを思いながら読んでいたので、
    羨ましくて泣きたくなった。


    さて、シアター!2を読んで、今度はどの感情にブチ当たるのか楽しもう!
    まだ発売未定みたいですが、シアター!3も出るんですね!楽しみ!!

    • まろんさん
      ゴロウさん、おひさしぶりです♪
      しばらくレビューが読めなくてさみしかったので、また書いていただけて
      しかもそれが私の大好きな「シアター!」で...
      ゴロウさん、おひさしぶりです♪
      しばらくレビューが読めなくてさみしかったので、また書いていただけて
      しかもそれが私の大好きな「シアター!」で
      とてつもなくうれしかったです♪

      「羨ましくて泣きたくなる」、すごくよくわかります。
      シアターフラッグのみんなのこの熱さ、今の私には眩しくて、そしてやっぱり切ないです。

      2は、メンバーの個性がさらに際立って、「おお!」と思う展開がいっぱいありますよ!

      そして、私も司Love♪です(笑)
      2012/06/16
    • ゴロウさん
      まろんさん、ご無沙汰しておりました!

      実はすっかり登山にハマってしまい遊びに行く週末ばかりを過ごしていたせいか、
      毎日が充実感でいっぱいに...
      まろんさん、ご無沙汰しておりました!

      実はすっかり登山にハマってしまい遊びに行く週末ばかりを過ごしていたせいか、
      毎日が充実感でいっぱいになってしまい、読書が疎かになってしまいました。

      そんなこんなで昨日、ちょっと体調を崩しまして
      (単なる風邪で今はもう回復してます!)

      でも、寝てるだけじゃあつまらん!!

      ということで再び本を手にしたところ、やっぱりハマってしまうのですね~。

      今は2を読み進めております(*´∀`*)


      今回は図書館戦争以来(私の中で、ですが)、
      堂上と郁のようなテンポのいい会話の掛け合いを楽しめる作りだな、と思いながら、
      司とシアターフラッグのみんなとの会話の掛け合いに、ぶはっと笑う時間を過ごしています。

      まだまだ序盤なので、これからの「おお!」という展開が楽しみです!

      司LOVE同士、これからもよろしくお願いします!(笑)
      2012/06/16
    • まろんさん
      おお!登山とは、アクティブですね!
      シアターフラッグのみんなに負けないくらい、キラキラな毎日じゃないですか♪
      朝のウォーキングすら挫折した私...
      おお!登山とは、アクティブですね!
      シアターフラッグのみんなに負けないくらい、キラキラな毎日じゃないですか♪
      朝のウォーキングすら挫折した私。。。見習わなくちゃ(>_<)

      もう2を読み始めてくださってるとのこと、
      また素敵なレビューが読める日も近いと思うと楽しみです。
      私としては、茅原に纏わるエピソードがツボで、大笑いしました!

      風邪が回復したようでなによりですが、
      笑いすぎのせいで、また発熱したりしませんように!
      2012/06/16
  • え〜と、何だ。その…。

    結局私はこういうのが大好きなんだと思い知らされた。
    軽いの上等。分かりやすいの上等。
    悪いか、ちきしょー。

    演劇観賞を趣味としているのでその点でも楽しめた。
    エンタメに徹した作風が揶揄されるのは絶対に間違ってる、うん。

  • 面白い

  • 普段観に行く演劇舞台は、有名な団体の作品や有名人が主演の作品ばかりなので、シアターフラッグの様な無名の団体の演劇を観に行ってみたいなと思った。ネットで探してみよう。


    頭の中で情景が浮かび、読みやすかった。セリフが多めなのでスラスラ読み終わった。
    2も楽しみ!早速読もうと思います。

  • 2巻に記載。

  • 演劇関係者からして、たまらない。

  • 司のキャラがとてもいい。実は弟の巧のことを思っているのかなという描写や、劇団員が一喜一憂して喜んだりしているところは、自分も劇団員になったかのような胸の高鳴りを覚えた。

  • 多額の借金を返せずに潰れそうな弟劇団が商業的に成功できるように奮闘する話。演劇を一度も見たことないけれども少し興味が出てきた。実際、それで食っていけることは大変なんだろうなぐらいしか知識がなかったのでこれが当たり前のことなのかわからないけれども一端は見れたのかな?すごい面白かった。機会があれば演劇を見てみたい

  • キケンと同じような仲間感を感じる作品。

  • 個性豊かな登場人物たちの掛け合いが面白く、物語に引き込まれました。
    物語自体もとても読みやすくて、情景が頭に浮かんでくるようでした。
    司が課した条件はまだ達成できていないし、登場人物たちの恋模様も気になるところ。
    すでに2があるみたいなので、そちらも読んでみたです。

  • 300万貸した兄と、300万借金した弟。弟は劇団として2年の間に成功できるのか。兄は経理を切り盛りしながら弟の劇団を見守る。軽快でクスッとするのに最後はなんでだかウルウル。筆者あとがきと小劇団主宰の方の解説を読んで更にウルウル。はぁ〜!面白いものを見て悔しいと思うことは私の性格が歪んでるのかなと落ち込む時もあったけど、そうじゃないんだなー!だってプロもそう感じるんだもの!

  • いつもの甘々ーって感じじゃないけど普通に面白い! シアターフラッグの行末は気になるところ!

  • 春川巧(はるかわ・たくみ)が主宰する小劇団「シアターフラッグ」に、声優として活躍している羽田千歳(はねだ・ちとせ)が参加することになります。役者としては未熟だけれども年少のころから演技の世界で生きてきた彼女のポテンシャルが巧を奮い立たせ、シアターフラッグは新たなスタートを切ることになりますが、その一方で彼らには300万円の負債額がのこされていました。巧は兄の春川司(はるかわ・つかさ)に泣きついたところ、兄からは2年以内に劇団の収益から300万円を返すという厳しい条件が突きつけられます。司も行きがかり上、放漫な経営状態だった劇団の運営の見なおしをおこない、劇団のメンバーたちとの厳しいやりとりを通して、しだいに彼らとの交流を深めていくことになります。

    劇団員相互の感情のもつれもあって、ともすればドロドロした展開になってしまいそうな物語なのですが、そこはライトノベル畑出身の著者だけに、キャラクター的な意味で巧みに造形された登場人物たちの心情をコミカルにえがいています。『三匹のおっさん』もそうですが、こういうライト文芸的なテイストの作品世界を構築することにかけては、著者の作品にはほんとうにはずれがないと感じます。

  • 面白い^_^劇団とか演劇にあまり馴染みのない人にもすごく読みやすい小説^ ^
    劇団の生計立て直しには、とても勉強になる。ちょっとしたことだけど、考え方を変えたら少しの無駄も省けるなど。とても勉強にもなった(^^)
    すぐに読破してしまった。

  • 登場人物一人一人に愛着がわいた。中でも、鉄血宰相・春川司の手腕、毒舌、冷酷非道さは、どれを取ってもかっこいい!!読んでいて気持ちがいい。

  • 鉄血宰相の優しさと弟を信じる気持ちが素敵。 時折登場するお母さんの不思議な存在感も素敵。 また、作る側、見る側の違いも納得。 ゆっくり味わいながら読もうと思いながら、どんどん引き込まれて、 暇を見つけてはどんどん読んであっという間に読み切った感じ。2年という期限の後半、そして、2年後の二人を見てみたい気がした。

  • 『キケン』を読んだ後に本書を読む。すると、大学生の延長に位置するフワフワした巧と、社会人として成長している司という好対照をもの凄く感じ、読み応えが増した感じがした。巧の生い立ちを冒頭で紹介することで、彼の才能の開花を喜ぶ側に読者を惹き付ける著者の筆運びは、定石どおりとは言え共感してしまう。司の、弟と劇団に対しては不器用な様子も微笑ましい。劇団を解散させるための理由「全力でやって折れることだよ」と、月刊エンタメ取材で傷心の千歳に対する劇団員それぞれのコメントがグッときた。

  • 守銭奴けっこう!金は正義だ! さすが有川浩さん。キャラ立ち最高です。内容も分かりやすくスラスラ読めますよ!3巻目もはやく出て欲しいものです。

  • あー、一気に読了しちまったーw
    芝居の現場の熱気を思い出しちまったー。
    うん。あるよね。打ち上げで主宰(脚本、演出兼任)と酒を飲みながらドンパチやらかしてた。
    劇団の運用ってどのようにあるべきなのかを。
    小憎らしい正論ばかり振り上げる小憎らしい若造だったんだろーなーって、今になって思う。
    それをね、司さんっていう鉄血宰相を主軸に据える事によってあぶり出した。あぶり出しただけにとどまらず、それぞれのキャラクターの心象も丁寧に拾い上げてて、そりゃもー脱帽の一言ですよ。
    敢えて言うなら司さんの心象語りは、上演当日の巧くんの心象でもあるのだけども、司さんが主軸になってる以上は、巧くんの心象には触れられないよね。
    脚本、演出して役者としてステージに立たなかった事のある人にとっては、それはなんとなく分かる。
    そんな感想を抱いたのだけども、こりゃやっぱり蛇足か(苦笑

  • さくさく読めて楽しい。
    会話に散りばめられている気の利いた思いのやり取りが良かったです。
    ところどころ声を出して笑ってしまうところもるので面白いです。

著者プロフィール

高知県生まれ。2004年『塩の街』で「電撃小説大賞」大賞を受賞し、デビュー。同作と『空の中』『海の底』の「自衛隊』3部作、その他、「図書館戦争」シリーズをはじめ、『阪急電車』『旅猫リポート』『明日の子供たち』『アンマーとぼくら』等がある。

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