ハッピー・バースディ

著者 :
  • KADOKAWA
3.18
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本棚登録 : 208
感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048733960

作品紹介・あらすじ

きーちゃん。ありがとうきーちゃん。ぜえんぶ、きーちゃんのおかげ。神様、きーちゃんをあたしにくださって、ほんとにほんっとに、ありがとうございます。黄金の時。すべてのものが輝いて見える時。それは、愛すべき夫が作ってくれた幸せな世界。何よりも大事な世界が、あの日から崩れはじめた-。待望の書き下ろし長編。

感想・レビュー・書評

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  • あきら(♀)は、夫が事故死したのは誰のせいでもない、けれど誰かを憎まずにはいられなくて裕司を憎む事にしたけれど、夫が事故死したのは、タクシーで急いでいたからで、どうして急いでいたかというと、あきらが電話線を抜いてたから心配してだろうし、あきらが電話線抜いてたのは、裕司がしつこくあきらに嫌がらせの電話をしたからなんだから、あきらが裕司を憎むのは正当なんじゃないかと思ったな。
    裕司があきらに嫌がらせを繰り返したのは、単に八つ当たり、だと思うけど、そこまで裕司にストレスを与えたのは、裕司に過剰に愛情を注ぐ(押しつける)母親のせいだろうし、母親が悪いよな。
    裕司は、母親には悪意が無いから憎めないみたいな考えだけど、悪意が無くてもそれが裕司にストレスを与える結果になってるんなら、裕司は母親に訴えてもいいんじゃないかと思った。

    毒親、だよね、裕司の母親。

    裕司と裕司の姉を、2人が感じてしまうくらいに差別して育てたりしてるし、姉に息子(裕司の母親からすると孫)が生まれると、それに執着して、最終的には姉夫婦に絶縁されてるし。
    そして、その原因が自分にあるとは考えずに被害者ぶって、周りにぺらぺら。
    傍目には害のないオバサンに見えるから、信じる人もいるわけで。
    姉夫婦の今後に不安を感じる。

    影が薄いけど、裕司の父もダメだよな。
    暴走してる妻を止めようとしなかった。
    自分を悪者にされるのが分かってたからだろうけど、そのせいで裕司は母親のせいでストレスを与えられ、その鬱屈した感情を母親に向ける事もできず、あきらに向けてしまった。

    まぁでも、あきら自身も自分が無さ過ぎる。
    夫に依存し過ぎてる。

    裕司の気持ちは、なんとなく分からなくはない。
    いくらストレス貯まってるからって、関係にない人に嫌がらせ電話やら手紙やらするのは犯罪だと思うけど。
    死ねとか言ってる訳じゃないから、自分はそんなに悪い事してる訳じゃないと思ってるかもしれないけど、普通にストーカー事案じゃないか?
    あきらは、裕司を訴えれるんじゃないか?

    あきらとか、裕司の母親に関しては、よく分からん。
    そういう人も、世の中にはいるのかも知れないけど、私には理解できない。
    ついでに言えば、あきらの夫も。
    犠牲的精神?でもあるのかしら。

    あきらは、明(あきら)という名前と、女らしさを感じない体型のせいで苦労したかもしれないけど、それは物語にはあまり関係のない話。
    冒頭でやたら丁寧にその件に関するエピソードの説明があったから、全体の内容にかかるのかと思ったら、全然関係なかった。
    あきらがただ、主体性のない人だっていう、それも、あきら自身に不幸を招いてるんじゃないかとは思った。

    あきらの夫は、あきらが小説を書く事で人生を生きられるようになると思って書かせてたようだけど、最終的にあきらは書くようになったけど、それは現実で生きる事を諦めたって事になるんじゃないか。
    それでいいのか???

  • 幸せな女性と鬱屈した毎日を送る青年、両方の視点から描かれる心理ホラーです。

    きっかけは些細な事で、客観的に見てどうでもいい逆恨みなんですが、でもなんか、その説明のつかないイライラや、八つ当たりしてしまいたい気持ちも分かってしまい、だからこそ登場人物の飛躍した行動も余計に怖いなぁと感じてしまうのかもしれません。

    ラストは決して大団円ではないのですが、この物語にはその方がふさわしいのかもしれません。

  • 【推薦文】
    夫に依存気味の主婦であり作家である「あきら」と大学受験に失敗し東京で浪人生活を送る「裕司」。些細なことからあきらに憎しみを転嫁させた裕司が小さな嫌がらせをし、そこから日常は歪み始める。物語から香る狂気にぞくりとさせられるのではないでしょうか。
    (推薦者:機械知能システム学科 B3)

    【配架場所】
    大岡山: B1F-一般図書 913.6/A

  • ≪内容覚書≫
    夫と結婚してから、
    幸福だらけの主人公。
    神様、ありがとう。

    そんな幸福絶頂中に、
    ささいな恨みを買ってしまい、
    小さないやがらせの積み重ねが、
    大きな悲劇を生み、
    そして…。

    ある日、立場は逆転する。

    ≪感想≫
    まさかのホラー。
    タイトル詐欺すぎる。

    後半のじわりじわりとした復讐が
    怖いのはもちろんだけれど、
    前半の何から何まで旦那に依存する主人公の
    不気味さの方が、むしろ怖かった。
    しあわせいっぱい!の表現で溢れているのに、
    随所で不安をあおってくれる。

    新井素子節だからこその恐怖感だと思った

    後味は大変悪いけれど、
    綺麗に前向きに進みださないのが、
    やってくれた、という感じ。

    最後の最後まで、
    不気味感を楽しませてくれた一冊。

  • 一人が幸福なとき、他の誰かは不幸である、という当たり前のことがその2人がかかわりを持つことで立場が逆転していく。
    なかなかよくできたストーリーだとは思ったけど、好きな小説ではなかったかなー
    ただ、裕司のお母さんみたいな人はいそうで怖いな;

  • 読みやすかった。感情移入がしやいすようなしにくいような主人公であった。ハッピーエンドなのにどこか気味悪さを残す作品。

  •   凄く読みやすくて一気に読んじゃいました。読みやすくて、というより読者を引き込むという感じでしたが。まずこの本、装丁がとても可愛いんです。パステルカラーでいかにも幸せが詰まってそう、みたいな雰囲気で。だけど見事にそれは裏切られました。

      はっきり言って怖かったです。もうありえないくらいに。登場人物に感情移入しすぎたかもしれない・・・。幸せの絶頂から不幸のどん底まで一直線に落ちるその感覚、言い様のない恐怖に包まれる日々、それが体に纏わりついてる感じで未だに怖さが抜けません。一人の人をそれこそ依存してしまうくらいに愛するということは、私の目にはもう幸せというより恐怖としてしか映りません。それほど価値観が変わってしまった気がします。

      運命の流れに逆らう事、運命の分岐点で自分の選択をする事、それはただ流されるよりも大変だけど、とても意味がある事のように思います。あきらが流されたままじゃなくて、祐次が流れに逆らう事ができて本当によかった。自分の選択に秘められてる無限の可能性が見えた気もしました。後味は悪いけど、とても圧倒させられる作品でした。

  • 少女小説っぽいくどい語り口が好き。このお話には男女の主人公が一人ずついるけど、どちらの人物も好きになれなかった。男には腹が立つし、女は怖かった。

  • 何年かぶりに読んだ新井素子作品は
    やっぱり新井素子作品でシタ。
    好みはさておき、ある意味すごいデス。

  • 前半が酷いな。後半はなんとか盛り上がって一気に読めた。
    昔好きだった作家が劣化していくのは寂しい。

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著者プロフィール

1977年「わたしの中の・・・・・・」が奇想天外新人賞佳作に入賞し、デビュー。以後『いつか猫になる日まで』『結婚物語』『ひとめあなたに・・・』『おしまいの日』などを発表。1999年に発表した『チグリスとユーフラテス』が第20回日本SF大賞を受賞。

「2022年 『絶対猫から動かない 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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