左近の桜

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
3.62
  • (90)
  • (133)
  • (201)
  • (22)
  • (6)
本棚登録 : 966
感想 : 168
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048738279

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 友達の紹介で読みました。
    男同士の情事を目的に逢瀬を重ねる者たちにとっての憩いの宿、「左近」。そんな宿屋「左近」の長男(16歳)桜蔵はあらゆる状況で異界のもの、妖のものを惹き付けてしまう魅力を持つ。それは本人が気づいていない、また認めようとしないが、魂は女である故に。
    桜蔵の隙だらけで自分の本性に気づけていない初々しさに性別を超越した魅力があるだと感じました。文体や言葉のセンスが耽美、幻想的、古典的で、堅苦しくない程度の日本語の重厚さを感じることができる作品です。知識不足で理解出来ていない世界観もあるのですが、古典や日本史好きの方なら好ましく感じる世界が広がっているのではないでしょうか。

  • 以前の作者に比べると難しい漢字を使わなくなったなぁという印象があった。あやかしに捉われてあちらの世界へ足を踏み入れてしまう桜蔵の描写は映像で見てみたいと思うような雰囲気をまとってるけど、まぁ無理だろう…。

  • ある種の男をひきつける何かを持つ少年。肝心なところのぼかし方がとても巧み(笑)。今のところ良い様にされておりますが、それはそれで満足なのか桜蔵・・・。弟も利発で可愛くて良いですな。文章がとてもきれいで読んでいて気持ちいい。

  • ざっくり言うと、主人公の桜蔵が無意識・無自覚に<男>を拾って
    色々戸惑いながらも色々されちゃう話。
    出会い頭は奇妙な<男>達に戸惑い抵抗するんですが、コトに対してもう少し抵抗があっても良いんじゃないかと思う程、桜蔵は冷静。うーん…桜蔵にとってはやっぱり男でもキスはなんでもないようなことなんだろうか。所々に花や香りがあるのもまた妖しい空気を醸し出してます。長野さん独特。

    物語における女性の存在も気になります。なんだろう…彼女たちの彼らに対する寛大さは…。もしかして女将や遠子達はカッコ付きの<男>なのか…。

  • 男同士の逢引宿の長男である桜蔵は、異界のものを「うっかり」拾う性質。しかも魂は女であるというので、喰われたり養ったりつけ込まれたりする。
    桜蔵の無防備さと登場する男たちの胡散臭さに読んでいてヒヤヒヤ。耽美な話だった。

  • あの世の誰かを引き寄せてしまう桜蔵。幽霊譚?でも男色でもあるし、不思議な世界観にはまってしまう。

  • 武蔵野にたたずむ料理屋「左近」。じつは、男同士が忍び逢う宿屋である。宿の長男で十六歳の桜蔵にはその気もないが、あやかしの者たちが現れては、交わりを求めてくる。そのたびに逃れようとする桜蔵だが…。

  • 久しぶりの長野まゆみ作品。
    90年代を思い出すような・・・
    ほの暗さがたまりません

  • 初読みの作家さん。独特の世界観なので好き嫌いがはっきり分かれそうだけど個人的にはとても楽しめた。不思議な世界に足を踏み入れたような感覚がなかなか面白い。妖なのか何なのか…ファンタジーというには独特すぎるし。桜蔵をはじめ登場人物も個性的で楽しめたので続編も読みたい。

著者プロフィール

長野まゆみ(ながの・まゆみ)東京都生まれ。一九八八年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞しデビュー。二〇一五年『冥途あり』で第四三回泉鏡花文学賞、第六八回野間文芸賞を受賞。『野ばら』『天体議会』『新世界』『テレヴィジョン・シティ』『超少年』『野川』『デカルコマニア』『チマチマ記』『45°ここだけの話』『兄と弟、あるいは書物と燃える石』『フランダースの帽子』『銀河の通信所』『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』「左近の桜」シリーズなど著書多数。


「2022年 『ゴッホの犬と耳とひまわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

長野まゆみの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×