ジョーカー・ゲーム

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
3.85
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本棚登録 : 4210
レビュー : 799
  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048738514

作品紹介・あらすじ

結城中佐の発案で陸軍内に設立されたスパイ養成学校"D機関"。「スパイとは"見えない存在"であること」「殺人及び自死は最悪の選択肢」。これが、結城が訓練生に叩き込んだ戒律だった。軍隊組織の信条を真っ向から否定する"D機関"の存在は、当然、猛反発を招いた。だが、頭脳明晰、実行力でも群を抜く「魔王」-結城中佐は、魔術師の如き手さばきで諜報戦の成果を挙げ、陸軍内の敵をも出し抜いてゆく。東京、横浜、上海、ロンドンで繰り広げられる最高にスタイリッシュなスパイ・ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  •  スパイもの。面白かった。

     スパイといえば、007とか、ミッション・イン・ポッシブルとか、とにかく派手でカッコイイイメージを抱いていたのですが。実際のスパイは、ぜんぜん違っていてびっくりでした。

     スパイとは、見えない存在であること。
     何年、何十年、もしくは何世代にもわたって、自分以外の他人になりすまし、敵地に潜入して情報を流す。
     賞賛は、ない。
     正体がばれた時が失敗でではなく、疑われた時が失敗のとき。
     失敗しても、死んではならない。

     およそ普通の感情の持ち主ができる仕事ではない・・・

     結城中佐の発案で陸軍内に設立されたスパイ養成学校「D機関」。 結城中佐もさることながら、このD機関に入学した学生の優秀なことといったらもう・・・語学が堪能なことは当たり前。どんな人間にも成りすまし、一度見たものは一瞬で暗記し、どんな金庫も開ける。何ものにも捉われない、信じるものは自分だけ。
     自分にはこのくらいのことはできなければならない、という恐るべき自負心を持つ彼ら。まさに、異能。

     「ロビンソン」が面白かったです。敵にスパイだとばれた伊沢の脱出劇。自白剤の裏をかいた伊沢の抵抗は見事。と、いうより、そこまでの事態を想定してD機関で訓練させる結城中佐がすごいと思いました。

     究極の頭脳戦、本当に面白かった。続編も読みます。

  • 格別に、面白い。
    すいすいと、物語に引き込まれていく・・・。

    昭和十年代を舞台に、陸軍中野学校を先鋭化した様なスパイ養成機関、通称「D機関」、にまつわるエピソードをゲーム感覚で描いた短編集。

    自殺・殺人をやってはいけない、ときつく言われているスパイ集団。
    当時としても、異例で賛否両論いわれていたが、隊長?の結城大佐は堂々としているのがまたすごい。

    殺人シーンみたいな残酷なシーンが少ないのでその点でも、よかった。

    • HNGSKさん
      紫苑さん、お久しぶりです。
      紫苑さんのレビューを読んで、ジョーカーゲームシリーズが気になりました。
      早速、読んでみます。
      紫苑さん、お久しぶりです。
      紫苑さんのレビューを読んで、ジョーカーゲームシリーズが気になりました。
      早速、読んでみます。
      2012/12/27
    • しをん。さん
      お久しぶりです♪
      失礼ながら、お元気でしょうか?(笑)


      ジョーカーゲームシリーズ面白いですよ(●^o^●)
      スリル満点で久しぶりにミステ...
      お久しぶりです♪
      失礼ながら、お元気でしょうか?(笑)


      ジョーカーゲームシリーズ面白いですよ(●^o^●)
      スリル満点で久しぶりにミステリアスな本を読んだかと・・・(゜o゜)
      2012/12/27
  • 「ジョーカー・ゲーム」
    結城中佐の発案で陸軍内に設立されたスパイ養成学校D機関。「スパイとは“見えない存在”であること」、「殺人及び自死は最悪の選択肢」、これが結城が訓練生に叩き込んだ戒律だった。


    「スパイとは“見えない存在”であること」「殺人及び自死は最悪の選択肢」という結城は「スパイは卑劣な存在」「自死すれば靖国で胸を張って同期に会える」と信じていた佐久間にとって異質だった。


    そんな佐久間が登場するのは表題の「ジョーカー・ゲーム」。本作品は「ジョーカー・ゲーム」を含む全5篇の短篇が収められています。そこで活躍するのは結城中佐が鍛え上げたスパイ達。彼らが就く任務はどれも難易度が高い。しかし、彼らは特殊な自尊心とずば抜けた能力で任務をこなしていきます。そんな彼らの物語の中で最も印象深かったのは「XX」です。


    XXはダブル・クロスと読み、意味は裏切り。このXXが残された任務(というか事件)を担当する飛崎は他の同僚とは違う経歴を持つが、高い能力を備えるスパイであった。しかし、飛崎がマークしていた標的が突然死亡する。その死に違和感を持つ結城中佐が他のスパイ達に事件の洗い出しを命じ、事件の真相を暴く・・・


    そんな物語です。この「XX」が印象深い理由は飛崎が他の同僚のスパイ達とは違ったからです。最終的に真相を見つけ出す飛崎達D機関ではあるけれど、その捜査で飛崎はある感覚が他の同僚に劣っていると知ります。実はこの感覚は劣っているのでは無く、普通の人間としては当たり前の感情であるのですが、D機関のスパイとしての仕事の出来に大きな違いを生むものでした。


    その大切ともいえる感覚を守る為に飛崎はD機関を脱退します。そして飛崎が向かった先は北史、恐らくは戦場の最前線。結城中佐の教えが飛崎に重く圧し掛かる結末はとても悲しいものです。救いは結城中佐の軍隊式の敬礼だろうか。

  • 図書館より。

    昭和の軍部が台頭した時代に世界各国で活躍するスパイ組織「D機関」の活躍を描いた連作短編集。

    世界大戦間近の軍部の組織の話なので重厚な話なのかな、と読む前は思っていたのですが、そんな雰囲気ではなくスパイたちの活躍に焦点を当てエンターテイメントを重視した話でさらっと読むことができました。

    印象的なのはD機関を率いる結城中佐の圧倒的な存在感。第一線は退き後進の指導及び指示に徹しているわけですがそれでもそれぞれの話でのスパイたちの活躍の裏にはこの男がいるんだなあ、と感じ入ってしまいます。心強いような、怖いような……

    この時代においては軍人は「敵を殺すことと、立派に死ぬこと」を大義にしていたのに対し、スパイは「殺すな、死ぬな」を大義とし、また天皇の神格化に対しても否定的であり、この時代を舞台にした作品ながらきちんと軍部の間違いを正してくれていたのもなんだか気持ちよかったです。

    ミステリーとしては喰い足りないところもあったのですが、スパイたちのスマートな活躍に引き付けられること必至の作品だと思います!

    第62回日本推理作家協会賞
    第30回吉川英治文学新人賞
    2009年版このミステリーがすごい!2位
    2009年本屋大賞3位

  • 映画を見にゆきたかったのに家族と大げんかして
    ポシャったのでせめて原作を楽しもうと借りた本書。

    映画ではアクション活劇のような側面が強く印象に残り、
    スカッとしたくて観たかったのですが…。

    原作はむしろ淡々としたタッチの文章。
    スパイミステリは大好きですが海外物を読み慣れていると、
    この作品では食い足らない感じがしてしまうのです。

    本書はD機関と呼ばれる旧帝国陸軍内に設置された
    スパイ特務機関の活躍を描くのですが、連作短編で
    あっという間に終わってしまうので、慣れていない人には
    読みやすい好書といわれているのでしょう。

    しかし各話に収録されたスパイたちの誰かを他の話の
    登場人物に入れ替えても、特に問題がなさそうな感じ。

    そこが残念。

    私的には、上海を舞台にしたお話『魔都』の本間と
    最後に収録されている『XX』の飛崎くらいが
    印象に残るだけです。

    本間はD機関の人間ではなく憲兵隊員ですし
    飛崎もD機関から脱落して一帝国軍人に戻される人物。
    D機関の人間ではないと括れば、ある意味人物が紋切り。

    D機関の最初の教えである、スパイならば―。
    死ぬな
    殺すな
    見つかるな
    目立つな

    という考えに従えば、紋切りは優秀さを
    示すのかもしれません。

    でも私達は小説の読者ですから、各話の主人公や
    上司役の結城にもっと感情移入できたほうが面白いです。
    そういう意味で本間や飛崎のほうが印象的だというのは
    作者様には非常に皮肉ですね。

    スパイ小説の面白さは、政界財界軍組織などのエリートや
    スパイそのものになって、組織の人物としての感覚を味わう
    部分もありますが、描写が淡彩なのでそこまで入り込んでの
    なりきり感は楽しめません。

    その部分でもちょっとミステリ慣れしちゃった方には
    物足りないけも知れないです。

    ただし、ミステリや読書そのものに慣れていない方。
    自由に肉付けし、物事を立体的に見せたい映画というものの
    原作として読めば、確かに良い入り口や題材かもしれません。

    『謎解きはディナーのあとで』を読んだ時にも思いましたが
    こういう、さっと読めればっていう本が増えてしまったのは
    いいことかもしれないけど読者側の読む能力の衰えを感じて
    ちょっと切なくなります。

    これが面白かった方、続編お読みになったあと、ぜひ
    ミステリ専門の文庫などにも手を伸ばして下さい。
    これを書いてらっしゃる作家さんだって、絶対に!
    分厚いのを読んでます。面白かったら分厚くても、
    あっという間に読めちゃうものです。

    そしてそれでもこれが好きだったら、このシリーズの
    二次創作なんか、できたら素敵じゃないですかね。
    そこまで行けたら最高ですよ。きっと。

  • 中佐の声が聞こえてくる、「とらわれるな」

    概念・常識・思い込み・信条・信念・思想等々、およそ事実以外の全ての事にとらわれる事を良しとしない。決して陽のあたる仕事ではないスパイの、柔軟すぎる思考と行動の数々。

    読んでいて、自分がいかに多くのものに「とらわれて」生きているかを痛感した。とらわれるのは楽だ。思考を他に依存して、考える事を放棄できる。考える事は疲れるから、そこから解放されてストレスフリーで快適に暮らせる。しかし、いざという時に自分の力では何もできなくなってしまう。常に何かに頼って生きているから。

    スパイには、そんな甘えを一切許さず己の力だけで道を開ける者がなれる。何かを頼る者にとって、スパイはとても悲しい仕事に見えるだろうが、そうは見えない者がやっているのだから問題はない。僕には到底真似できないが、「とらわれる」事の危険性はすごぶる感じた。

  • まず表紙の森美夏さんのイラストにヤラレル。

    いやー…、恰好いいししびれる。一気読み。
    面白すぎてため息が出る。
    ☆が5つじゃ足りない。☆8つくらい必要です。

    スパイって…ある種の特殊能力者なんだな…と。

    そして、なんじゃこりゃーーーーー的な面白さ。
    思わず今まで読まなくてごめんね、と本に謝る。
    たまらん!!
    (でもコレってミステリーなのかな???違うような気がする…)

    「魔王」こと結城中佐が率いるのD機関の世界。

    「ジョーカー・ゲーム」「幽霊ゴースト」「ロビンソン」
    「魔都」「XXダブルエックス」

    「幽霊ゴースト」は薄らこわい。ゾクゾクした。
    「ロビンソン」の結城VSマークス中佐の情報心理戦が見事だな…。

    この作品アニメ化とか映画化してくれないかな…。スパイものなのでIGあたりで…。
    全然関係ないけど「木島日記」の煮ても焼いても食えない男、一ツ橋を思い出してしまった。

  • こんなに面白かったなんて!
    遅ればせながら読んでよかったです。
    戦時中、密かに作られたスパイ養成所があり「D機関」と呼ばれていた。
    登場するスパイたちの仕事ぶりがすごーい。
    クールに書かれる諜報や罠や真相に夢中になりました。

    日本陸軍もたびたび登場。
    天皇の赤子、皇軍の一員として、個々人が命を棄てて戦争に赴くことを命じる組織。
    「D機関」の面々はそんな価値観を一蹴。
    精神論が幅を利かせる馬鹿げた陸軍の愚かさや組織の面子や幹部の保身などが容赦なく書かれているのは溜飲が下がり痛快でした。

    「ダブル・ジョーカー」も楽しみ。

    • たまもひさん
      私もこのシリーズ大好きです(ってこの前もこう言ってたような…)
      スパイ達のスーパーぶりが痛快で、クールな筆致のかっこいいこと!
      この前出...
      私もこのシリーズ大好きです(ってこの前もこう言ってたような…)
      スパイ達のスーパーぶりが痛快で、クールな筆致のかっこいいこと!
      この前出た新作「パラダイス・ロスト」も良かったですよお。
      2012/06/26
    • tsuzraさん
      たまもひさん、こんにちは。
      シリーズものの楽しみがふえました。
      嬉しい限り(^ ^)。
      パラダイス・ロストは予約が混んでいてしばらく先になり...
      たまもひさん、こんにちは。
      シリーズものの楽しみがふえました。
      嬉しい限り(^ ^)。
      パラダイス・ロストは予約が混んでいてしばらく先になりますが、いっぺんに読むともったいないのでちょうど良いかも。
      ほんとにD機関の面々は現実離れしてるほどスーパー!
      みごと、小説の世界にもっていかれました。

      2012/06/26
  • #読了。初読み作家。「ジョーカー・ゲーム」シリーズ。短編集。帝国陸軍内に結城中佐主導の元、スパイ養成学校D機関が設立される。今までの軍とは完全に異なる思想で、新たなスパイを生みだし成果を挙げていく。張り詰めた心理戦のようなストーリーがよかった。結城の過去がきになるところ。

  • ジョーカーシリーズの第1弾。
    パラダイス・ロストを先に読んでいたのですが、結城中佐なる謎の人物が影で物語をリードしているのは同じで、読みやすかったですし、楽しめました。
    登場するスパイの心の描写を通じて、中心人物の底知れぬ洞察力のすごさを見せつけられます。
    この本もおすすめ。

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著者プロフィール

1967年生まれ。2001年、『黄金の灰』でデビュー。同年、『贋作「坊っちゃん」殺人事件』で第12回朝日新人文学賞受賞。『ジョーカー・ゲーム』で吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門を受賞。他著に「ジョーカー・ゲーム」シリーズの『ダブル・ジョーカー』『パラダイス・ロスト』『ラスト・ワルツ』や、『新世界』『トーキョー・プリズン』など。

「2019年 『饗宴 ソクラテス最後の事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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