- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048738514
作品紹介・あらすじ
結城中佐の発案で陸軍内に設立されたスパイ養成学校"D機関"。「スパイとは"見えない存在"であること」「殺人及び自死は最悪の選択肢」。これが、結城が訓練生に叩き込んだ戒律だった。軍隊組織の信条を真っ向から否定する"D機関"の存在は、当然、猛反発を招いた。だが、頭脳明晰、実行力でも群を抜く「魔王」-結城中佐は、魔術師の如き手さばきで諜報戦の成果を挙げ、陸軍内の敵をも出し抜いてゆく。東京、横浜、上海、ロンドンで繰り広げられる最高にスタイリッシュなスパイ・ミステリー。
感想・レビュー・書評
-
スパイもの。面白かった。
スパイといえば、007とか、ミッション・イン・ポッシブルとか、とにかく派手でカッコイイイメージを抱いていたのですが。実際のスパイは、ぜんぜん違っていてびっくりでした。
スパイとは、見えない存在であること。
何年、何十年、もしくは何世代にもわたって、自分以外の他人になりすまし、敵地に潜入して情報を流す。
賞賛は、ない。
正体がばれた時が失敗でではなく、疑われた時が失敗のとき。
失敗しても、死んではならない。
およそ普通の感情の持ち主ができる仕事ではない・・・
結城中佐の発案で陸軍内に設立されたスパイ養成学校「D機関」。 結城中佐もさることながら、このD機関に入学した学生の優秀なことといったらもう・・・語学が堪能なことは当たり前。どんな人間にも成りすまし、一度見たものは一瞬で暗記し、どんな金庫も開ける。何ものにも捉われない、信じるものは自分だけ。
自分にはこのくらいのことはできなければならない、という恐るべき自負心を持つ彼ら。まさに、異能。
「ロビンソン」が面白かったです。敵にスパイだとばれた伊沢の脱出劇。自白剤の裏をかいた伊沢の抵抗は見事。と、いうより、そこまでの事態を想定してD機関で訓練させる結城中佐がすごいと思いました。
究極の頭脳戦、本当に面白かった。続編も読みます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
格別に、面白い。
すいすいと、物語に引き込まれていく・・・。
昭和十年代を舞台に、陸軍中野学校を先鋭化した様なスパイ養成機関、通称「D機関」、にまつわるエピソードをゲーム感覚で描いた短編集。
自殺・殺人をやってはいけない、ときつく言われているスパイ集団。
当時としても、異例で賛否両論いわれていたが、隊長?の結城大佐は堂々としているのがまたすごい。
殺人シーンみたいな残酷なシーンが少ないのでその点でも、よかった。-
紫苑さん、お久しぶりです。
紫苑さんのレビューを読んで、ジョーカーゲームシリーズが気になりました。
早速、読んでみます。紫苑さん、お久しぶりです。
紫苑さんのレビューを読んで、ジョーカーゲームシリーズが気になりました。
早速、読んでみます。2012/12/27 -
お久しぶりです♪
失礼ながら、お元気でしょうか?(笑)
ジョーカーゲームシリーズ面白いですよ(●^o^●)
スリル満点で久しぶりにミステ...お久しぶりです♪
失礼ながら、お元気でしょうか?(笑)
ジョーカーゲームシリーズ面白いですよ(●^o^●)
スリル満点で久しぶりにミステリアスな本を読んだかと・・・(゜o゜)2012/12/27
-
-
日本軍の精神の対局を行くD機関の設定が面白かったです。
スパイに対する現代に近いイメージの設定と、緊迫感のおかけで、戦争の時代背景の中でもどんどん読み進められました。
D機関外部・内部どちらの視点の時も、今度はどんな手を使ってくるんだろうと楽しみにしながら、シリーズ全部読んでしまいました。
D機関があまりにもスマートな策略で色々解決していくので、途中から安心感もあってより楽しかったです。 -
図書館より。
昭和の軍部が台頭した時代に世界各国で活躍するスパイ組織「D機関」の活躍を描いた連作短編集。
世界大戦間近の軍部の組織の話なので重厚な話なのかな、と読む前は思っていたのですが、そんな雰囲気ではなくスパイたちの活躍に焦点を当てエンターテイメントを重視した話でさらっと読むことができました。
印象的なのはD機関を率いる結城中佐の圧倒的な存在感。第一線は退き後進の指導及び指示に徹しているわけですがそれでもそれぞれの話でのスパイたちの活躍の裏にはこの男がいるんだなあ、と感じ入ってしまいます。心強いような、怖いような……
この時代においては軍人は「敵を殺すことと、立派に死ぬこと」を大義にしていたのに対し、スパイは「殺すな、死ぬな」を大義とし、また天皇の神格化に対しても否定的であり、この時代を舞台にした作品ながらきちんと軍部の間違いを正してくれていたのもなんだか気持ちよかったです。
ミステリーとしては喰い足りないところもあったのですが、スパイたちのスマートな活躍に引き付けられること必至の作品だと思います!
第62回日本推理作家協会賞
第30回吉川英治文学新人賞
2009年版このミステリーがすごい!2位
2009年本屋大賞3位 -
大日本帝国軍のスパイ育成機関「陸軍中野学校」を知るキッカケになった。スパイとしての人生は孤独で非人間的なもの。隠れた存在であるスパイにとって殺人や自殺は1番してはいけないこと。帝国軍幹部の火消し役として使われる一方、卒業生は少数だが戦史に与えた影響は計り知れない。調べてみたい。
堕落した帝国軍の描写が現在の国会議員と重なった。権威主義による思考停止、敗戦は何を意味するのだろうか。 -
2020/03/01読了
#このミス作品13冊目
全編スパイをテーマにした話。
独特のストーリーは面白かったが
ミステリーとしてはちょっと物足りないかな。 -
映画を見にゆきたかったのに家族と大げんかして
ポシャったのでせめて原作を楽しもうと借りた本書。
映画ではアクション活劇のような側面が強く印象に残り、
スカッとしたくて観たかったのですが…。
原作はむしろ淡々としたタッチの文章。
スパイミステリは大好きですが海外物を読み慣れていると、
この作品では食い足らない感じがしてしまうのです。
本書はD機関と呼ばれる旧帝国陸軍内に設置された
スパイ特務機関の活躍を描くのですが、連作短編で
あっという間に終わってしまうので、慣れていない人には
読みやすい好書といわれているのでしょう。
しかし各話に収録されたスパイたちの誰かを他の話の
登場人物に入れ替えても、特に問題がなさそうな感じ。
そこが残念。
私的には、上海を舞台にしたお話『魔都』の本間と
最後に収録されている『XX』の飛崎くらいが
印象に残るだけです。
本間はD機関の人間ではなく憲兵隊員ですし
飛崎もD機関から脱落して一帝国軍人に戻される人物。
D機関の人間ではないと括れば、ある意味人物が紋切り。
D機関の最初の教えである、スパイならば―。
死ぬな
殺すな
見つかるな
目立つな
という考えに従えば、紋切りは優秀さを
示すのかもしれません。
でも私達は小説の読者ですから、各話の主人公や
上司役の結城にもっと感情移入できたほうが面白いです。
そういう意味で本間や飛崎のほうが印象的だというのは
作者様には非常に皮肉ですね。
スパイ小説の面白さは、政界財界軍組織などのエリートや
スパイそのものになって、組織の人物としての感覚を味わう
部分もありますが、描写が淡彩なのでそこまで入り込んでの
なりきり感は楽しめません。
その部分でもちょっとミステリ慣れしちゃった方には
物足りないけも知れないです。
ただし、ミステリや読書そのものに慣れていない方。
自由に肉付けし、物事を立体的に見せたい映画というものの
原作として読めば、確かに良い入り口や題材かもしれません。
『謎解きはディナーのあとで』を読んだ時にも思いましたが
こういう、さっと読めればっていう本が増えてしまったのは
いいことかもしれないけど読者側の読む能力の衰えを感じて
ちょっと切なくなります。
これが面白かった方、続編お読みになったあと、ぜひ
ミステリ専門の文庫などにも手を伸ばして下さい。
これを書いてらっしゃる作家さんだって、絶対に!
分厚いのを読んでます。面白かったら分厚くても、
あっという間に読めちゃうものです。
そしてそれでもこれが好きだったら、このシリーズの
二次創作なんか、できたら素敵じゃないですかね。
そこまで行けたら最高ですよ。きっと。
著者プロフィール
柳広司の作品






この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。





