「頭がいい」とは、文脈力である。

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048839082

感想・レビュー・書評

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  • 頭がいいって抽象的でどう定義すればいいか難しくないですか?そんな抽象的な頭の良さを「文脈力」という定義を用いて的確に捉えています。読んでみての個人的な見解ですが、「文脈力」とは以下3点で述べることが出来ると思います。

    1点目、本質を常に捉えて俯瞰的に物事を見る力
    2点目、物事を多面的に捉える力
    3点目、他者の意見をブラッシュアップできる力

    つまり、「文脈力」とは、物事を俯瞰的•多角的に捉えることができることで、常に全体像を把握し、他者の意見を踏まえ、今何を発言する必要があるか瞬時に理解し、的確な助言を行え、議論を推進することができる力であると考えています。

  • 「文脈力」、これがこの本のキーワードだ。
    文脈について書いてあるところ。

    『自分と人との関係づけ、つまり自他関係ばかり
    でなく、「他他関係」にまで気を配れる人は、
    かなり文脈力に富んでいます。』

    『文脈力という言葉には、人の感情世界を汲み取る、
    相手が持っている文脈と自分の文脈を絡める
    ことができるという意識が基本にあります。』

    『文章として書かれたものを読む、あるいは自分で
    文章を書くという行為は、文脈力と培うために
    最も有効なトレーニングメニューなのです。』

    『話すことでも、あるいは書くことでも、問いを
    はさむ習慣をつけると、文脈を見失わずに
    済みます。』

    『「たとえば」は文脈を散らす。「つまり」はまとめる。
    具体と抽象を往復できる力、これも文脈を
    作っていくときのひとつの工夫です。
    文脈というのはただ捉えるのではなくて、
    流れに合わせて作っていかなければならない
    ものです。』

    『場の文脈に対して自分の文脈を絡めていく、
    自分を関わらせていくことが文脈力です。』

    『「頭がいい」というのは、相手の意図とか
    感情とか理論、その人が何をしたくてどうして
    こういっているのかがわかる人。脈絡を
    ぴたっとつかまえられるひとです。
    生きていくうえで必要不可欠な力です。』

    心に残った言葉。

    『面白いと感じる三分スピーチとか、うまいと
    思うエッセイは、みな起承転結をきちんと
    押さえています。』

    『書き言葉で「話す」練習をすること。』

    『ある現実からどれだけの意味を引き出す
    技術を持っているかによって、幸福度は変わる』

    『「ローマンルーム法と呼ばれる記憶術。
    (略) 視覚的映像というのは確実に記憶を
    助けてくれます。』

    『私たちが感じる充実感には、構築系と
    発散系とがあります。』

    『同じ時間を生きるにあたっては、やはり意味が
    取り出せない人よりは、取り出せる人の方が、
    充実感を味わえる。』

    『ほどほどの六、七分目でやる勉強よりも、
    十の力でやらなければつづかないようなことを、
    からだを使って延々とやることで突き抜けていく』

    『外部の風にさらされていないところは、
    淀んでしまう。』

    『社会的に価値を持つことが、本当の頭の
    よさだと私は思います。』

    『「頭がいい」状態を維持することは、暗鬱な
    気分を払拭できるということです。』

  • 「頭が良ければ人は幸福になる」という章から始まり、人と比較するのは無意味で、頭の良さは鍛えられるという事が書かれていて、この事を知れただけでも読んだ価値があったなと思えました。
    そして、頭が良いとは状態のことであって、そう考えると、自分は頭が良いとは思わないけれど、頭が冴えてるなと思う時はあるので、そういう状態を維持できれば良いんだと認識できました。
    また、意味をつかまえることの大事さ、質感のある記憶が良いこと、文脈を見定める手っ取り早い方法は分岐点に戻れる事など、なるほどと思うことも多かった。
    更に、いくつかある選択肢から選ぶ時にしなければならないのは、大きな☓をどれにつけるかという事、というのも、なるほどと思いました。

  • 「頭がいい」ということについて、筆者が「文脈力」というキーワードをもとに論理的に解説している本。頭の良さの段階別の定義から始まり、トレーニングで鍛えられること(およびその方法)、本の読み方などについても触れられており、非常に参考になった。

  • 月に1冊は斎藤先生の本を読んでいるわけですが、若干消化不良かも。他の著書でも触れられている内容も含めて網羅的に結論ありきでまとめられている傾向があるので、それが理由かなぁ。身体を動かしてから…とか、そのへんの具体論はやっぱり使えるなぁと思うし、これから自分でも試してみたいところではあるけれど。タイトルとの一致を追おうとしているあまりにだいぶポイントがぼやけてしまった感じがありました。出版社の企画ミスではないかと。

  • 文脈力、これは例えば、大学の授業や何らかの公演で話の下手な講師が喋っていることを想像してほしい、話の下手な講師なので内容は脈絡がない、抽象的過ぎたり、はたまた具体例を何個も羅列したり、しまいには講師のつまらない日常話にまで話は発展する、しかし、大学の授業や、公演では事前に何を話すかしっかりとした軸がある、現実には話が脈絡ないが一本話したいことの筋がある、それを文脈と呼び、それをつかむ能力が文脈力なのである。
    文脈とは話の流れ以外にも広い意味で一本筋が通った意味の塊のことである、例えば、他人の性格なども一本筋が通ったものとして文脈といえる、他者の性格も文脈と呼び、自分の性格も文脈呼ぶ、脈絡がない不規則なものから一一筋の意味を見つけることを文脈力と呼ぶ、この文脈をうまくすりあわせることがコミュニケーションにおいて重要だと作者はのべている。

  • ■きっかけ
    つくづく僕は馬鹿だなあ。頭を良くしたいなあと思ってきた。
    あいつは頭がいいな。こいつは僕と同じで頭が悪いな。

    有名大学に通っているからって、
    「君は頭が良いんだね」なんて言われても、
    謙遜でもなんでもなく、「そんなことないです」と答えてしまう。
    その度、頭が良いってなんなんだよ。勉強ができることじゃないだろう。と思ってきた。

    「頭が良いとは何か」を知ることで、頭を良くする方法が考えられると思った。
    そんな思いで本著を手に取った。

    ■共感したところ 学びになったところ
    ・結論、頭が良いとは意味をとらえることができる能力、「文脈力」にある

    ・現実を把握し、その周辺にあるさまざまな脈絡も捕まえることができること。平たく言えば空気が読めること。だったりもする

    ・今なんのために何をやっていて、これがどういう意味があるのかを説明できるのは頭が良いこと

    ・知識や情報を結びつけて意味のある繋がりを見出すこと、文脈を見出すこと

    ・自分自身の言葉として話たり書いたりして、意味を捕まえる力を養う

    文脈力のポイント
    ①事柄の意味を捕まえ、文脈を抑えられること
    ②相手の文脈や、場の文脈にのれること
    ③自分の文脈をきちんと伝えられること
    ④文脈をそれても、元に戻れること

    ・1を聞いて10を知ること

    ・相手の世界を知るためには、相手の文脈に乗らないといけない。
    相手の周辺情報をもとに意味を結びつけて、相手の文脈を捉える必要がある

    ・アイディアマンとは文脈力に長けている人
    あるキーワードがあったときに、それを一つの網にして経験値を全部すくう技がある人
    →アナロジー力、メモの魔力やメタ思考

    ・記憶は経験があるとどんどん増進するが、逆にまた、具体的な経験が記憶されることで非常に効率よく動けるようになる。
    →当たり前だが、本質的。
    外国に行って、言語側から通じなかったという経験があれば、学ぶ際にあの時こう言えばよかったんだと深く記憶に残る。
    言葉が通じなくて、ジェスチャーでなんとかなったという具体的な経験があれば、次もすぐジェスチャーで意思を伝えることができる。みたいな

    ・記憶力は習慣であり、「技」である
    記憶できないというのは、そのことに対して関心が持てないか、記憶する習慣を体得していない

    ・記憶は質感、手触り感があると、時間を経てもイキイキと取り出すことができる
    身体性と結びついた記憶は引き出しやすい。いかに経験を自分の質感を持った記憶と結びつけられるかということ。

    ・相手に向かって踏み出す、踏み込むという感覚自体を「技化」していくと自分がどう動けば良いのかを常に判断しようとするので頭が活性化していく。
    場の文脈に対して自分の文脈を絡めていく、自分を関わらせていくことが文脈力
    →ただ流されるだけでなく、かといって、独りよがりにもならない、その他の文脈に合わせて、自分の文脈を関わらせていくというのが味噌

    ・踏み込めないのは、生きる姿勢としての勇気が足りないこと。だから踏み込むというメンタリティを鍛えていくことが、現実をより確かに、賢く生きることに結びつけてくれる。人生における決断には、踏み込む勇気が非常に重要。

    ・大局観を持ってどれが幹でどれが歯なのかを見失わないように、大きなバツ印をつけること

    ・個別の状況に応じて、自分がどのような関わり方をしているのか、そのつながりが面白い、自分を関わらせないで語ろうとすると人は話に薄っぺらい印象を持つ
    →一般論をいわない。自分が何を経験し、どう感じ、何を考え、何を得たのか。ライブ感が人を動かす。N=1の体験が人を動かす。

    ・知識が意味を見出す視点を増やしてくれる。
    ただコーヒーを飲むのでも、バリスタと僕なら、この一杯から得られる意味の量が全然違う

    ■感想
    現実からどれだけの意味を言い出すことができるか、キャッチできるか。
    今した行動がどういう意味をもつのか、失敗から何を学ぶのか。
    結局観点次第であったり、解釈次第だったりする。
    一般的な正解なんてどこにもなくて、自分がどう思うか、考えるかで全部決まるんだ。
    だから、複眼的に物事を見る。考える。自分にとっていい解釈を選択していく。

    視点を切り替える「技」を身につける
    自分の視点から、相手の視点にジャンプする。
    自分にとっても、相手にとっても、意味のある会話をする。
    僕は営業活動をしているので、
    僕にとって商品の話をするのは意味があるが、相手にとって意味があるとは限らない。
    自分だけじゃなく、相手にとっても意味があることを話す
    視点をジャンプし、相手の文脈を捉え、意味を考える

    ■今後の動き
    自分の発言の動画を見て振り返る
    →意味のある発言に気をつける。抽象度の高い会話をしない。意味の含有量を気にして喋る

    詩を読む
    →感情を表現する方法を学び、自分に生まれる感情を手触り感を持った生の状態で記憶したい

  • 目的を考えながらやらないと意味ない、
    自分の体験を話しに加えることで深みが出る、
    主観と客観を意識する
    ことが大事だと感じました。

  • 伝えたいことが分かりやすい反面、そのせいで内容はほとんど同じことの繰り返しに思えた。
    実用書としてみれば、今後文章を書くときに使えそうである。

  • 「頭がいいと,一筋の光が見える」
    頭の良さとは文脈力である.では,文脈力とは何か?
    筆者が述べる,文脈力とは,相手と自身の意思を絡めあい,一本のしっかりとした糸を通すことである.
    話はシンプルでなければならない( KISS : Keep It Simple, Stupid ).
    そして,展開は大きな流れを失ってはならない.
    しかし,ロボットのような論理の「簡素さ」「単純さ」「明快さ」のみが頭の良し悪しを決めるわけではない.
    主観性と客観性が適度に含まれなければ,話に面白みなどない.
    F1レースに適度なカーブがなければ単なるマシンテストである.
    面白みには基礎となる経験・知識のデータベースが必要なのは言うまでもない.
    文脈力とは,曲がりくねっていても,自身も相手も見失わない,頭の中に走る一本の光の筋なのだ.

    裏表紙にあるイラストが「頭の良さの段階」として最も明快である.
    Lv.1 再生:丸暗記
    Lv.2 再構築:自分の言葉
    Lv.3 アイデア:未開拓の領域へ
    Lv.4 型:あらゆる知識体系を消化することによるエッセンスへの昇華
    要は,シンプルが最も汎用性があり応用が効き,最強ではあるが,肉付きが良い知識はやはり美味い.圧倒的,量による量質転換こそ,「頭の良さ」の真髄となる.
    身につけるべき結論としての,頭の良さはこれである.
    習得には,エッセンスを常に意図したインプット・アウトプットが肝要である.
    今,自身の論理がどこをうろついていて,フェアウェイはどこでカップはどこに位置しているのか?
    現在地把握と最短ルート探索を,自身にも相手にわかりやすく提示しつつ進めていく力が,頭の良さとして評価され,自身の方向性を照らし出すことになる.

    感触として,若干,話が難しい部分もある.
    こう言う本を読めるのは,知的体力を鍛えることになるだろう.
    ゆっくり味わって読む精読向きの本.
    行間広く,内容やレイアウトもまとまっている.
    肉付きの良い知識をかけるのは著者,齋藤孝先生の本の特徴だろう.

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著者プロフィール

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て、現在明治大学文学部教授。教育学、身体論、コミュニケーション論を専門とする。2001年刊行の『声に出して読みたい日本語』が、シリーズ260万部のベストセラーとなる。その他著書に、『質問力』『段取り力』『コメント力』『齋藤孝の速読塾』『齋藤孝の企画塾』『やる気も成績も必ず上がる家庭勉強法』『恥をかかないスピーチ力』『思考を鍛えるメモ力』『超速読力』『頭がよくなる! 要約力』『新聞力』『こども「学問のすすめ」』『定義』等がある。

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