むしろ、考える家事

  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048969611

作品紹介・あらすじ

「家事はもくもくと手を動かし続け、「時短」や「効率良く」を考えながらやるもの、さっさと済ませて次の時間へ行きたい。」そういうふうに家事時間をマイナスなものとしてとらえると、その時間がもったいないではないか! そう気づいた山崎ナオコーラさんは、家事時間をむしろプラスなものと捉えて、楽しい考えごとに使うことに。料理、掃除、洗濯、子育て……日常の家事の時間に考えたことを綴る、新しい視点のエッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 何気なく家事をしているところの「何気なさ」を突く一冊。個人的には「レシピを読む」がとても良かった。

  • まさに自分はこの本の中で言う「家事をやりたかったのにできなかったかわいそうな人」だ。
    少数派かもしれないが、専業主夫を「仕方なく」でなく、積極的に希望している。
    「「限られた人だけが家事を楽しみ、特定の性別の人を外に追い出して悪かった」という悔い」が社会に浸透してほしいと願っている。
    女性の大黒柱が物珍しくない世の中希望。

    とゆうか、外でお金を稼ぐ仕事の方も、つまらない、意味のない、社会に影響も及ぼさないような内容も多々ある。
    その中で必死にやりがいや面白みを見いだして心に折り合いをつけている人も多い。
    家事の中にも裁縫や料理など面白みを見いだしやすいものもある。
    単純に「生きていくためにやんなきゃいけないこと」の全体があってそれを仕事とか家事とか名前を付けて性別で分けたりしちゃってるだけだ。
    なるべく柔軟に偏見無しに「やんなきゃいけないこと」を状況に応じて選択しやすい世の中になってほしい。

    自分は「6000万円の機械装置2台をドイツから運んで日本のお客に納品して稼働させる」という仕事をしたことがあるが、
    「生涯賃金約2億円を稼いで、且つ多額の納税もする生き物を約20年かけて育て上げて、且つその生き物と人生を共有する」という仕事の方がずっと有意義でやりがいがあると考えている。
    お金の問題じゃないし単純比較できる対象でないことは分かってはいるが、家事を持ち上げるために敢えてこういう言い方をした。

    「買い物時の判断が、環境破壊にストップをかける。
    SNSでの発信で、どの企業が育っていくかが決まる。
    備蓄が非常時の混乱を穏やかにする。
    洗濯が社会を清潔にする。
    水まわりの掃除が病気の蔓延を食い止める。」

    まったくその通りで、社会的な仕事だと思う。

  • 家事に効率だけを求めるのではなく、想像を。
    家事の誇りを取り戻すエッセイ。
    なんだか、外の仕事>家事みたいになってる世の中。
    同じ女でも、家事できないけどバリキャリだからオッケー!金で時間を買おう!=男女差なくそう、みたいに見えるけど、同じ女の中での序列にも感じてた。
    だけど家事ってそんな不要なもの?絶対にゼロになることはないし、家事もちゃんと社会とつながってる。そういうマインドセットを作る本。
    効率、でもない、丁寧な暮らし、でもない。
    まあでも、悔しさがいっぱいつまった本。

  • 人間だれしも自分のやっていることは何かしらの意味のあるものだと思いたいものなのだと改めて思いました。
    著者の言うように家事に対する捉え方がこれからも少しずつ変わっていくいくことを願っています。

  • 家事のハウツー本ではなく、家事を主に担う人(子育て女性)の目まぐるしさを感じる一冊。わたしはタイトルから、著者が考えてた効率的な家事の方法を紹介する本かと思ってしまいましたが、冒頭から違いました。実際、家族旅行の話など家事の話ではないものもでてきます。全般的に、家事に意味を見出したい。そうすることで自分の成長を感じたい、主に家にいるけど私も成長したい!という気持ちがバリバリ伝わってきて、「渇望」という熟語が読んでいて浮かびました。共感できるところと、そうでないところのギャップが激しく、レビューの中でも賛否両論あります。

    ■この気持ち既視感ある
    初めての育休中。よくわからん育児に鬱々とし、自分のタイミングで仕事をしてくる夫。1日外にも出ずに社会から断絶されたような感覚。成長が止まって自分の可能性がなくなったような閉塞感。
    本書でもおそらく著者はこんな気持ちを感じて「家事に意味を!」「人間は仕事をしたがっていると決めつけられており、家事は押し付けられた人がやる業務という認識を変えたい」そんな強い気持ちに昇華されたように感じました。実際、こうして本にできているので、家事が目に見える成果となっていると言えるのではないでしょうか。

    ■家事は社会づくりだ
    生きている限りずっと続く家事。本書の最後では「家事は社会づくり」と壮大なフレーズが出てきます。確かにおっしゃる通り。振り返るとそうなんでしょうけど、わたしは忙しくてそんなことを思った瞬間はありません。しかし、育児中にあえてそう意識することで冒頭で著者が感じた、「家事では成長できない閉塞感」を緩和できる人がいるなら良い考え方ではないでしょうか。
    わたしは、外に働きに出てしまっているので今は閉塞感はありませんが。

    ■レシピのいいまわし
    さすが作家さんは言葉に敏感なんだなと感じさせられたエピソード。まさかレシピの表現に気がつくことがあるなんて!料理本で「親に習わなかったかわいそうな若者で教えてあげる」スタンスで書かれているものがあるらしいとは驚きでした。

    ■性別非公表?!
    著者の紹介をみて驚きました。子供を産んでいるのに?奥さんって呼ばれているのに?それでも?デビュー当初は性別がわからないような作品を書いていたのでしょうか。

  • タイトルに惹かれて手に取った本。
    作者の名前も面白い。
    通り一遍のことを述べたものではなく、独自の視点で家事についての意見を描いているので面白い。
    特に夫との家事のやり方の違いや料理の献立の選び方など「たしかに…」と思うことが満載で読みがいがあった。子どものお手伝いひとつとってもエピソードがほほえましく、母の苦労と子どもの笑顔が浮かんでくるいい話だった。
    「家事を年収に例える」「家事をしてくれる人に感謝する」「時短」「ものを捨ててシンプルな暮らしを」…などなど様々な昨今の風潮に対してメスを入れていく様もしびれる。割と流れに乗りがちな自分にとって新しい意見だった。
    個人的に「レシピを読む」という発想がなかったので、今度料理本を手に取った時には書き方の癖を見てみたいと思う。

  • 思索が深くて、面白い。
    いつも家事を担っている人の中に、ここまで生き方や社会について考えている人もいるのだということを、世の中に知ってもらいたい。
    山崎ナオコーラさんのように、それを発信する人がこれからさらに出てきてほしいし、それがメインストリームになる社会になってほしい。

  • 読了後も家事がキライだし、できることなら何もしたくない(特に料理後の片づけ)という気持ちは変わらないけど、ナオコーラさんのマインドセットを変えることで家事をプラスに変えていこうという心意気がすごく良かった。

    P.13
    家事の担い手は、「本当は仕事をしたいのに、パートナーから押し付けられて、仕方なく家事をやっている人だ」と世間から思われ、やがて自分でもそう思うようになってしまった。悔しい。やりたくてやっている、と言いたいし、思いたい。「お前らもやりたいなら、再分配してあげてもいいよ」とニヤリと笑ってやりたい。
    考え事で、家事を楽しむ。
    私は、家事をするときに心をゼロにするのをやめた。「むしろ、考えてやる」と決めた。

  • 仕事のみを社会参加とみなす、という考え方がかなり嫌いなので、そうではない、家事をしている間も人間は社会の一員だし成長している、と言い切っていて気持ちよかった。(成長しなければならんのか?ということもあるが、これはまあ当人が成長したいと思っているわけなのでよいかな)「基本」は家族からは生まれない。個人から生まれる。という文がかなり印象に残った。私は家事がかなり嫌いですが、ゼロにはならない家事をどう生活していくか?という気の持ちようでかなり変わりそうだなと思う。皿洗いの水には神様がいるよね?

  • 普段、家事を無駄な時間と考えてる人が読めば、少しポジティブに考え方を変えることが出来るようになると思います。

    社会に対して問題提起もしながら、いつもの尖った内容が面白いです。

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著者プロフィール

1978年生まれ。「人のセックスを笑うな」で2004年にデビュー。著書に『カツラ美容室別室』(河出書房新社)、『論理と感性は相反しない』(講談社)、『長い終わりが始まる』(講談社)、『この世は二人組ではできあがらない』(新潮社)、『昼田とハッコウ』(講談社)などがある。

「2019年 『ベランダ園芸で考えたこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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