- Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
- / ISBN・EAN: 9784059000198
感想・レビュー・書評
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表紙絵怖いしタイトルにホラーって入ってるけどそこは皆川博子なので怪奇よりは幻想的、ゾッとするのは人間の怖さ。最初の「冬薔薇」に「あなたは、わたし?」というセリフがあるのだけれど、全体的にこのセリフに象徴されるテーマの作品が多く収録されていた印象。それは未来(過去)の自分であったりもするし、血縁であったり姉妹であったり親友であったりさまざまだけど「わたし」は二人いるわけにはいかないので、どちらかが消えねばならない。
『たまご猫』にも収録されていた「骨董屋」がやはり怖い。あとループして出口のない「流刑」も怖いなあ。「幻獄」はもともとの掲載誌で提示されたテーマが意味不明なエロ設定だったらしいのだけど、それをこういう形で昇華しちゃう手腕が流石。
作者自身のあとがきを読んで「巫子」が「私小説ではないが七割実話」というのに驚いた。もしかして自動手記で小説書かれてる!?(笑)
※収録作品
「冬薔薇」「夜の声」「骨董屋」「流刑」「山神」「幻獄」「山木蓮」「冥い鏡の中で」「巫子」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
短篇の中では「冬薔薇」が一番好みだったなぁ……。
なんというか、旧家の醸し出す不気味さと、それからあの、なんともいえない二人の邂逅。
違う短編集にも収録されていた「骨董屋」がこちらにも収録されていて、もう一度読んだけどこれは面白くて好きだ。
最後に来るぞくっとした怖気のようななにかが好きだ。
概略
ミナガワ魔界の深奥には、いつも独りの少女がいる。
霊媒となった少女たちを待つ残酷な運命(「巫女」)。過去の自分からかかってきた深夜の電話(「夜の声」)。
少女と女流画家の世にも奇妙な愛欲地獄(「幻獄」)他、厳選された6篇の怪異譚を収録。
時間の罠、分身、終わりのない悪夢、悪意と奇想に満ちた少女ホラーの集大成!