海上護衛戦 (学研M文庫 S お 2-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (459ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784059010401

作品紹介・あらすじ

シーレーン(海上交通線)問題をぬきにして、日本の軍事問題は考えられない。資源物質のほとんどを海外に依存している日本は、この海上交通線を断ち切られたら、たちまち軍事生産力は崩壊してしまう。太平洋戦争時、このシーレーン確保のために様々な研究と実践を体験した著者が、実例をもとにして綴った海上護衛戦の記録。現代のシーレーン問題を考える上でも、欠くことのできない貴重な体験記である。

感想・レビュー・書評

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  • 「腹が減っては戦はできぬ」

    こんな言葉は子供でも知っている。
    しかし、わずか60年程前こんな子供でも知っていることを知らぬ連中が居た。

    筆者はある場面でこう語る。

    「国をあげての戦争に、水上部隊の伝統が何だ。水上部隊の栄光が何だ。馬鹿野郎」

    最初にこの一文を読んだとき、鈍器で頭を殴られた様な衝撃を受けた。
    最終章のタイトルは「空腹、降伏」

    読み終えたあと言葉にならなかった。

  • 日本が戦争に負けた理由が、これ以上なく納得でくる本。

    あの戦争のときもまともな人はいたんだという嬉しい発見と、それでもあの戦争に突入した日本の組織の体質は今も変わっていないのではという悲しい発見があった。

  • 日本のような島国にとって、海軍の本義は海上通商路の保護にあります(広い意味での制海権)。それを忘れるとどうなるのか、本書を読むとよーくわかります。せっかく南方の資源地帯を押さえても物資が本土に届かないんですからね。

  • 勝手なイメージとしては陸軍が突っ走って戦争して負けた、みたいに思ってたんですがコレ読むと海軍も褒められた状態でもないなと思いました。現実見てる人の意見ってスルーされやすい。<BR>
    正面決戦ばっかりにお金と人をかけてその為に本当は一番大切な水上交通は超なおざりに・・・<BR>
    アメリカの圧倒的な物量だけに負けた訳でもないようです。<BR>
    考えさせられます…

  • どなたかのブクログで高評価点がついていたので、つられて購入してしまいました。てっきり仮想戦記物を期待していましたが、太平洋戦争の敗因を、シーレーンの観点から述べた体験記でした。<BR>
    これまでにあまり着目されなかった観点で、言っている事もごもっとも。ただ最初の数10ページを読んで、大体わかった気になったんですが、それから400ページにもわたって、あとは同じ事の繰り返しのような。。。<BR>
    評点が辛いのは、1/3程度までは読めたものの、最後まで読破する気力が維持できなかったからです。
    <BR>2006/4/4

  • 資源を海外からの輸入に依存する国、日本。あの戦争での敗因は、決して個別の戦闘に敗北したからではなく、戦争遂行に必要な海上交通路の確保に失敗したことにあったことを鋭く描いた名著。特に著者の大井氏は当時、海上護衛の現場におり、彼の当時の経験を元に書かれた本書は現代の日本においても、その重要性を失っていない。

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著者プロフィール

大井篤
一九〇二年(明治三五)山形県鶴岡市生まれ。二三年(大正一二)、海軍兵学校(五一期)卒業。三〇年(昭和五)から三二年まで米国バージニア大学、ノースウェスタン大学に学ぶ。上海事変勃発とともに駐米大使館海軍武官室勤務となる。その後、中国沿岸警備艦隊参謀、華南沿岸封鎖艦隊参謀などを経て四三年から終戦まで海上護衛総司令部参謀を務める。海軍大佐。終戦後は、戦史研究家、軍事および国際政治評論家として活躍。九四年(平成六)没。主著に『海上護衛戦』、『大井篤海軍大尉アメリカ留学記 保科さんと私』(解説・阿川尚之)など。

「2022年 『統帥乱れて 北部仏印進駐事件の回想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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