はるねこ (講談社の創作絵本)

  • 講談社
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本棚登録 : 242
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (36ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061324558

作品紹介・あらすじ

今年の春は、どこかへん。そんなとき、春の種をなくしたという猫が、あやのもとにやってきて…。

感想・レビュー・書評

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  •  かんのゆうこさんの「四季ねこ」シリーズの、春バージョンは、これまで読んできた、「あきねこ」や「ふゆねこ」とも共通するものとして、その季節でしか味わえない雰囲気を、五感で見事に体感させてくれた、絵本ならではの、色鮮やかに柔らかく匂い立つような、暖かい春を楽しめる作品です。

     また、これまでの、ねこが何かをしてあげる物語とは対照的に、ねこが子どもに助けてもらう物語には、春の到来と重ね合わせた、希望の到来を叶うことが出来るのが、まるで純粋無垢な子どもであるようにも思われた、そんな前向きで健気な明るさが、爽やかな春の到来と見事に呼応しているようで、心地好く感じられると共に、それを叶えるための鍵が子どもの折り紙である点も、とても印象に残ります。

     折り紙には、子どもが自らの創造力と手で新しい何かを生み出すイメージがあり、私が子どもの頃、初めて鶴を折り上げた時の喜びが忘れられないように、その過程には、まるで命を吹き込んでいるような特別な気持ちを抱いていた、そんな子どもにとって、夢のあるものからは、もしかしたら、いろんな春も折り上げることが出来るかもしれないねといった、素敵な気持ちにさせられる展開が、まさに子どもにとって、春を心待ちにするだけでなく、自分で呼び寄せたくなる心境にさせてくれるような、そんなワクワク感があり、しかもそれが春の象徴でもある、はるねこにとっての喜びにもなることには、まるで子どもと春に共通点があるような様に、人と自然が共存するあり方を教えてくれるようです。

     そして、そんな子どもの無垢な気持ちを後押ししてくれるのが、松成真理子さんの、まるで子どもが描いたような夢の中の心象風景に近い、素朴でメルヘンチックな感覚の中に、色鮮やかで立体的な五感を心地好く刺激してくれる水彩画であり、表紙の絵こそ少し怖いイメージがあったものの、物語の展開を追っていく内に、それも次第に消えていき、そこには、女の子「あや」とはるねこが一緒に楽しみながら、春を作り上げてゆく過程を知ることで、絵も優しいものに感じられていった、そんな二人の純粋無垢な思いと、かんのさんの文章と松成さんの絵とが、こんなにも見事に結実した一体感は、淡い水色の空と、桃色と黄色の花々と、たくさんの動物たちに囲まれた中を吹き抜ける、春一番の風からも実感させてくれた、春の持つ、明るく爽やかな希望の力を、改めて教えてくれます。

  • はるをよぶ ねこの 絵本ですね。
    かんのゆうこさんの四季のねこシリーズのはるです。
    ぶんは かんのゆうこさん、東京生まれ。絵本作家。
    えは 松成真理子さん(1959ー)大分県生まれ大阪育ち。イラストレーター、絵本作家。

     あやちゃんのもとに いっつうの てがみと、わかくさいろの きんちゃくぶくろが とどきました。
    きょねんの はるさきに であった はるねことの
    ものがたりが はじまります。

    春にふさわしい、夢のあるファンタジーで、ワクワクする絵本です。
    絵も水彩画で、優しく春の薫りがわきたつような、ふわりとした爽やかな魅力的な作品です。
    今の季節にぴったりな絵本を楽しませていただきました。

  • ブクともさん(と言うのかな?)の感想を見て読みたくなったので図書館で借りた。
    柔らかく明るい色彩の本で、今の季節にもぴったりだ。
    春、ねこ、巾着袋、折り紙…。私の好きなものが出てくる素敵な絵本でした^_^

  • “春の種” を入れた巾着袋をなくしてしまい、春を運んでこれなくなった「はるねこ」...。気の毒に思った少女<あや>が、不思議な折り紙を使って、あたり一面カラフルな花を咲かせ、蝶々や昆虫を飛ばしてみせる “花吹雪の乙女” を描いた、「四季ねこ」シリ-ズの「春の巻」。

  • 絵や色彩が素敵。春を思いっきり感じられる絵本。

  • >今年はなかなか春がきません。
    “はるねこ”が「はるのたね」をなくしてしまったらしいのです。
    そこで、あやははるねこと、おりがみで春をつくることにします。

    まだ風は冷たいけれど確実に春はやって来ていると感じる今日このごろ・・・
    きれいな若草色の表紙に惹かれて手に取りました。

    なかなか春がやってこないのは、はるねこが「はるのたね」が詰まった巾着袋を落としてしまったからだそう。
    あやちゃんが折り紙で春を作る手伝いをする様子はとても楽しそうでかわいい。
    1年前を思い出しているあやちゃんがちょっとお姉さんになっているのもいいなと思いました。

    かんのゆうこさん文で画家は違う『なつねこ』『あきねこ』『ふゆねこ』も季節を待って読みたいです。

  •  もう春がやって来てもいいころなのに、野原には花が咲かず、ちょうちょうも姿を見せません。
     あやちゃんは早く外で遊びたいのに、外はとても寒そう。そこへ若草色の猫が迷い込んできて…
     本のページをめくると、春らしい色取り取りの花が目に飛び込んでくる、この季節にぴったりの1冊です。

    広報いわみざわ(2011年5月)
     わくわく図書館「この1冊読んでみませんか」より引用。
    http://www.city.iwamizawa.hokkaido.jp/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      春爛漫って感じ。良い色合いだなぁ、、、現物を見てみよっと!
      春爛漫って感じ。良い色合いだなぁ、、、現物を見てみよっと!
      2012/04/12
  • 目覚めた時のぼさぼさ頭がかわいい。
    折り紙でいろんなもの作れるのすごいな。
    上手下手以前の、物を作る発想力。
    子どもの時にはあったような気がするけど、大人になるにつれて、こうでなくてはならいに押しつぶされてわからなくなってしまうもの。

  • あやが自分の手で春を作り上げていて、それが本当に色鮮やかで綺麗。
    とても楽しい経験になったんだろうなぁ。明るくわくわくする気持ちに溢れた絵本。

  • 何度読んでも素敵な絵本◎
    春をとても感じられ、「春一番の風」の表し方にも驚嘆!
    春になると読みたくなる素晴らしい一冊です。

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著者プロフィール

東京都生まれ。東京女学館短期大学文科卒業。児童書に、 「ソラタとヒナタ」シリーズ(絵・くまあやこ)、「はりねずみのルーチカ」シリーズ「りりかさんのぬいぐるみ診療所」シリーズ(ともに絵・北見葉胡)(いずれも講談社)、 『とびらの向こうに』(絵・みやこしあきこ/岩崎書店)など。 絵本に、『はるねこ』(絵・松成真理子)、『はこちゃん』(絵・江頭路子)、プラネタリウム番組にもなった『星うさぎと月のふね』(絵・田中鮎子)(以上、講談社)などがある。

「2023年 『はりねずみのルーチカ 精霊たちのすむところ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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