ドケチな広島、クレバーな日ハム、どこまでも特殊な巨人 球団経営がわかればプロ野球がわかる (星海社新書)
- 星海社 (2017年2月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061386105
作品紹介・あらすじ
球団経営を知れば、プロ野球はもっとおもしろくなる!
本書は、選手や監督ではなく、親会社の事情も含めたプロ野球12球団の事業構造そのものに焦点をあてた一冊である。現役の金融ジャーナリストが、公開情報はもちろん、球団代表への取材や全球団への質問状送付、顧客満足度調査に全本拠地の現地取材といった、12年間の取材と執念で得たプロ野球の“経営”に関するデータを結集し、12球団を一球団ずつ詳細に分析する。本来「同業他社」というのは基本的な収益構造が似通ってくるものだが、プロ野球のそれは多種多様を極めており、各球団の運営はおもしろいほどに「らしい」。あなたのひいきのチームは何で儲け、損しているのか。「カネまわり」を知れば、プロ野球はもっとおもしろくなる!
まえがき
クラブ経営に当事者として関心を持つJリーグサポーター
12球団中10球団は決算公告義務を履行
予想通り厳しかった球団の対応
目的は事業構造の解明
1、球団経営の基礎知識
2、パ・リーグの経営
3、セ・リーグの経営
4、プロ野球興業を支える裏方たち
裏方なくして、プロ野球なし
あとがき
感想・レビュー・書評
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●jリーグはDAZNに10年2100億で放映権を売却した。これで、新たにこれに加入しなければ視聴ができなくなったが、文句を言うどころか「これでクラブへの配分が増え、クラブの財政が良くなる」と言って感謝を口にしたのである。Jリーグは決算資料をホームページに公表し、ファンをステークホルダーの一員としている。サポーターはクラブ経営に当事者として関心を持つ。
●ところがプロ野球で、おおよその決算を公表しているのが10球団だ。巨人と中日は今も履行していない。
●放映権と言う概念は、法律に規定されない概念で、著作権とかに近い権利ではあるが、スポーツは対象になっていない。だから野球をしているところを放送すること自体は法的に自由にできる。しかし実際中継をするためには球場の中に入らなければならずしかもカメラを好位置に設置したい。その辺の特等席の独占的利用権のことを放映権と表現している。
●日本ハムは収入が120億前後、基本的に黒字だが、親会社からの広告宣伝費30億ダルビッシュの移籍金40億がなければ赤字になってしまう。球場の移転を考えているが、ドーム球場を作れば、例えば札幌ドーム422億ヤフオクドームが760億京セラドームが696億
●通常球場は飲食や物販、広告収入があるのに選手年俸の負担は無い。故に球場は黒字、球団は赤字になると言われる。
●今では広島以外の全球団が実施するようになっているユニホームの無料配布も最初に始めたのはホークスである。
●ヤフオクドームは三菱UFJ信託銀行が信託を受託している。不動産登記簿の所有者は信託銀行です。
●西武は松坂マネーの60億で黒字に転換。
●楽天は、ジェット風船の残骸をシールと交換してくれるシステムなので、ラッキー7が終わると子供がジェット風船のゴミを拾って歩く。
●広島カープは41期連続で黒字。新球場の建設費144億円(土地代54億建物90億)20年かけてメジャーの球場を研究し尽くしただけあって、目下のところ日本一の球場と言ってよい。
●球団創設時から1度も親会社が交代していないのは、巨人阪神中日。
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良く纏めて有ります。
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2017年の本、既に日ハムは札幌市と決別していた
日ハムの方針にファンサービスが常にあり監督の
就任条件にもなっている、専用球場を求めたのも
野球専用でないためサッカー使用時に「球団負担」
で作ったフィールドシートの撤去作業を都度負担
し、球団負担で8億5900万円の大型ビジョンを
作るなど施設が札幌市ながら過去の回収履歴がHP
に次々と現れる、球場グッズ販売含めすべからく
売上一部納める方式に嫌気がさした模様(´・ω・`)
【札幌ドーム売り上げの三分の二が日ハムなのだ】 -
各球団の運営スタイル、実績等から、経営方針を紐解く。
所々 筆者の推測も入ってるが、スポーツチーム経営についての理解を深めるには◯ -
プロ野球12球団について、経営面から分析した本。
一般的な民間企業と違って公的データが乏しく筆者の苦労が見えるが、筆者独自の見解や参考分析を参考として掲示している。
・球団の売上構成比(チケット収入、放映権、グッズ、スポンサー、飲食等)
・球団加盟金
・球場建設費や賃料
などは詳細に記載されていて勉強になった。
1周読んだだけで、各球団に対する詳細な経済事情を語ることは難しいので読み返す。
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2009/2/1
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会計とかまるでわからん人なんでかなりついていけてないところあるし、各球団の結論はある程度予想通りやねんけど、それでも中身はオモロい。やたらに女性トイレチェックしてるけど、著者は女性かな。
ってのとは別に、星海社新書初めて読んだけど、キーセンテンスを活字大きくするのはアホっぽくてどうなんやろ、とか小口際どいとこまで印刷してるのは何なの?切れて読めへんことはないけどさ、とか。 -
著者は「金融ジャーナリスト」として活躍中の人だ。
「プロ野球の球団経営を、経済を切り口にして見たらどうなのか」という観点で書かれた本。
プロ野球の球団は経営の数字をオープンにしているところが少ない。著者は取材を申し込んだりアンケートを送ったりしたがほとんど反応はなく、関係者の講演会や著書をあたったり、国会図書館で過去の新聞を調べたり、地道な努力で書き上げられている。
揃わなかった数字は著者の長年の経験から予測で埋められたものもあるが、読み解き方はさすがプロ。
知識と経験に裏打ちされた解説はとてもわかりやすく、これは「金融・経済」という専門性と、(この本のためとはいえ)12球団のホーム球場すべてに足を運んだ著者のプロ野球への愛情の両方が揃って初めてできた、希有な本だと思う。
球団の歴史も違えば考え方、親会社からの位置づけも違う12球団。ふだんはひいきのチームのことくらいしか見ていないが、違いがわかって興味深い。
数字の読み解きにはそれなりのリテラシーが必要だが、改革に成功したといわれるDeNAの話題が面白いと感じた人は、楽しく読めるはず。
ちなみに、著者は女性。球場のトイレについて詳細に書いてあるなど、細かいチェックポイントは女性ならではかも。 -
お金をかければ強い球団ができるのかというと、そうも言いきれないのは事実。日本ハムのように功績者をどんどん放出するドライさはどうなのだろうか。
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日本ハムの場合は、「人事」というところが、他よりも、さらに独特だから。