ビアンカ・オーバーステップ(下) (星海社FICTIONS)

  • 星海社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061399655

感想・レビュー・書評

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  • 下巻まで読んで、とんでもないものを見つけてしまったという衝撃で終わった。
    上巻で挫折しそうな本ですが、レビュー見るほど興味ある人はぜひ見てほしい。加速感が増す話に振り落とされず、最後まで読むことが大切。
    メタ筒井康隆としても良い本。途中の文字詰め部分は完全に狙ってることがすごく伝わる。
    自分読んだものには帯がついてなかったのですが、帯には筒井康隆さんが「次はビアンカ・オーバーバランスを書いていただきたい」とあるのですね。ぜひ読みたい。

  • 何故ロッサは付け狙われるのか?最未来人とは何者か?さまざまな謎を孕みつつ迎えた怒涛の下巻。筒井のオマージュをこえ、AIとの関係性やタイムパラドクス、多次元宇宙観といった古典的なモチーフをうまく料理し、最後は全てのオチを収束させている。ボーイミーツガールも含みつつ、ロッサのレズビアン的な側面も描く、ということはパンセクシャルなのか。

  • 自分の信じるものだけを信じていると綻びが生じる。
    破綻しているように見える物語も、
    書き手が間違っていないと考えればそれは破綻していない。
    そして読者が探究心、好奇心を失わずに読みきれば、
    想像は、虚構は、現実の自分たちを救ってくれる。
    書き手である作者も、読み手である読者も、諦めてはいけない。
    時間軸は直線ではないし、形はあるのかないのかわからないし、何に起因して結果どうなったは逆転することもあって混乱しても物語はギリギリで破綻せずに集約されていく快感がある。

  •  異世界能力バトル、繰り返す世界線、多次元宇宙、、、
     ライトノベル要素を詰め込みまくって、プラス、筒井康隆が描写しそうな両開き全部文字で埋め尽くされるエロシーン。
     それがラスト8ページで、広げまくった大風呂敷が奇跡的に収束した。
     これは、すげぇ。
     筆力、表現力に凄みはないが、エンターテインメント全力疾走した最後にホールインワンでラストを締めくくる話の作り方がうまい。

     第18回 星海社FICTIONS新人賞受賞作。
     なんで新人が筒井康隆のライトノベルの続編を書いて受賞なんだと疑問だったが、あとがきより。

     ”『ビアンカ・オーバー・スタディ』のあとがきには「誰か続編を書いてくれ」とあった。
     その冗談にのってしまった。”

     大御所の本を読んだ素人が、あとがきに書かれた大ボラに乗っかって書き上げたという本作にライトノベルの未来を見た。


     顧問をシゴかせて手に入れた精液で大量生産した人面ガエルが、学校中に逃げ出しパニックになった。
     というのが、筒井康隆がライトノベルだと言い張って世に出した前作「ビアンカ・オーバー・スタディ」

     今作はビアンカ北町の妹、ロッサ北町が主人公。

     未来人ノブから、星の未来が見える望遠レンズを借りて天体観測に出かけたビアンカだったが、そのまま行方不明となった。
     公園の防犯カメラで見た映像には、ビアンカが突然消失するシーンが写っていた。
     ビアンカはどこに消えたのか。
     タイムマシンで未来へ飛んだロッサだったが、最未来人と呼ばれる怪人に追われることになる。
     
     大好きな姉、ビアンカを追いかけ、未来へ、過去へ、異世界へ。
     ただひたすらビアンカを追いかけるロッサだったが、彼女こそが世界の秩序を破壊していることに、彼女自身がまだ気が付かない。

     拙者、主人公が知らない間にラスボス化展開大好き侍。

  • 前半、ぶっ飛び展開。改行無しで淡々と書かれるロッサの姿を想像すると、感情があまり読み取れず、読者としても、心身ともにそれほど「痛さ」を感じない。逆に言うと、普段過剰な描写で読者は「その気」にさせられているのかもしれないと気がつく。ラストはうまくつなげたな感。薄々気付いていたけど、そうか、やっぱり、ビアンカの名前、ビアンカ北町だったんだと思った。上下巻を並べて置いて見えるビアンカとロッサの表情。目を閉じているビアンカに対して、ビアンカを見ているロッサ。本の内容を端的に表しているように感じる。この、いろいろな点に気を配りつつも自由に書いている作風は、たしかに、新人とは思えないくらい。

著者プロフィール

1989年生まれ。筒井康隆『ビアンカ・オーバースタディ』の続篇として執筆した『ビアンカ・オーバーステップ』で星海社FICTIONS新人賞を受賞。その才気が筒井に認められ、破格のデビューを飾る。

「2019年 『世界樹の棺』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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