- Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061472228
作品紹介・あらすじ
美奈代の家には、壁にじっとしたままの"ふじみ"という赤トンボがいる。"ふじみ"は、うっかりとオーブンで焼いてしまった童話から出てきたのだ。美奈代・菊菜・良恵は、この童話の作者、由美をさがした。由美の心が明るく健康的でないと、"ふじみ"は、いきいきした赤トンボになれないのだ。そこで、アメリカにいる由美と、3人の少女たちの文通がはじまった…。
感想・レビュー・書評
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児童文学作家さんの五感は子どもの頃で止まっているんだろうか。読んでいると小学生の頃の世界の見え方が想起され、タイムトラベルをした感覚に陥る。
物語は間違って童話集をオーブンで焼いてしまい、そこから1匹の赤トンボ“ふじみ”が飛び出した所から始まる。童話をオーブンで焼くという発想!そして死なない赤トンボが浮き彫りにする少女の生について。正直クレヨン王国シリーズの詩はむず痒くなってあまり好みではないのだが、本書の詩は琴線に触れた。心が澄み渡る1冊。 -
心臓の病気やって言ってるのになんでそんなこと書いた手紙送りますか。
ニューヨークを歩けるから入れ替わりたいとか、言われた方、今苦しんでいる当人からすれば、変われるものなら変わりたいよと思うでしょう。
お母さんまで、夢にも思いませんでしたとか、気楽すぎます。
ふじみにトンボらしく生きろなんて、誰がそんなこと言えるのですか、それぞれが、それぞれらしく生きるのが大事ではないのですか。
普通なんてクソくらえです。
彼女たち家族こそ、もっと広い世界を見て回らなければならない気がします。
ふじみはそのきっかけになったのでしょうか。 -
赤トンボがパリっと翅を打ちたくて、というあたりは覚えていたけれど、他はかなり忘れてた。
でも、安心して読んでいたから、やっぱりなんとなくは覚えているのね。
大きな冒険もなく、暗い話で、あまり売れなかったと福永さんが書いてらしたけれど、子供は正直、まあそうかも(笑)
よく覚えていたのは、
「遊んでいると、こんなことをしていいんだろうかって思うし、勉強していると、遊びたくなる。
勉強に追われてる。勉強に追われてるってのは、勉強の時間にじゃなくて、勉強しなきゃっていう気持ちに」
っていうようなくだり。
そうだよねー百パーセントで遊べることって少ないんだよね。
やさしい、いい話でした。
きっと子供を持った親が読んだら、もっと違う感想になるんだろうな。
子を思う親心の話でもある。 -
子供の頃にはあまり理解出来なくて、冒頭の魔法使いを探す遊びしか覚えていなかった。
何度も読んだはずなのに、断片は覚えていても全体のストーリーが頭に入らなかったのだ。
肝心の赤とんぼの名前も「よしえ」だと勘違いしていた。(ここが一番のテーマでもあるのに!)
今改めて読んでみると、経済や教育、人々の生活の変化などいろんなものが揺り動いた昭和の時代を切り取っていたことに驚く。
例えば各家庭の教育方針の違いだとか、美奈代たちのお母さんがシングルマザーでバリバリ働いて他の母親から奇異の目で見られているところなども、まだこの時代には新しかったとも思うし、今の時代に通じているとも思う。
そういえば田舎であった実家の周りでも、この頃から教育ママとか塾とか、激しくなってきていたなあ。
最後に、全体的に良い話ではあるのだけど、美奈代のお母さんの「子供をもうけて命を繋ぐことが生きること」という持論は、今の時代には受け入れられるものではないだろう。
美奈代、菊菜たちも当時小六なら現在は四十六歳くらいか。
今の四十代は必ずしも子供がいるとは限らない。
命を繋がないが自分のためだけに生きているわけでもない、第三の選択をした女性たちも増えてきた世代なのだ。 -
ふじみと家族の物語。クレヨン王国の現実舞台の話は少し暗いめのものが多い気がするけれど、これは温かい。『うそ800メートル夢街道』がなんだかとても好き。
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クレヨン王国からやって来た「じっとしていて、なにもしないで、そのかわり、死なない」トンボのふじみ。
ふじみはどんどん本物のトンボへ変化していきます。
生きるってどういうこと?
クレヨン王国哲学編。 -
もっともクレヨン王国シリーズらしくない一冊。ファンタジーというよりもリアルな描写が光ります。
ネタバレは http://d.hatena.ne.jp/ha3kaijohon/20120713/1342174272 -
遠く離れていても、つながっている。つながっている。