- Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061588332
作品紹介・あらすじ
「古事記」とともに古代史上の必読の文献といわれている「日本書記」は、天武天皇の発意により舎人親王のもとで養老4年に完成した官撰の歴史書であるが、30巻にも及ぶ尨大な量と漢文体の難解さの故に、これまで一般には馳染みにくいものとされてきた。本書は、その「日本書記」を初めて全現代語訳した画期的な労作である。
感想・レビュー・書評
-
古事記の本を読んだのでせっかくなら日本書紀もと思って購入。
現代語訳とはいえ表現が難しいこともあり読むのは中々大変。読了までかなり時間がかかりました。
神話の世界だけでなく、当時の政治や外交のことも書かれていて面白いです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
講談社学術文庫
日本書紀 現代語訳 上巻
河出文庫 福永武彦 訳 抜粋版 日本書紀 と比較すると
読みにくいが 数段 面白い〜悪だくみや政治的嘘?もこれだけ壮大だと清々しい。講談社学術文庫らしく索引、小見出が秀逸で 見返しが便利
抜粋版ではわからなかったが、上巻で初めて気付いた点
*ほぼ日記形式の編年体
*長生き過ぎる天皇と早死に過ぎる天皇
*特に兄弟間の殺し合い(世継ぎ争い)が多い
*雄略天皇に最もページを割いている
神代
*天地開闢
*国生み〜イザナギ、イザナミの国生み
*黄泉の国、天の岩屋〜アマテラス、スサノオの葛藤と和解
*八岐大蛇〜スサノオ、草薙剣
*国譲り、葦原中つ国〜ニニギ、猿田彦大神→ 天孫降臨
日本書紀 「神代」 日本書紀を 古事記 と異なる世界観と捉えた論文集。考察の中心は 「根の国に遂われたスサノヲ」
テーマ
*スサノヲが根の国へ遂われた意味
*秩序から排除され、無秩序を打倒するスサノヲ
*スサノヲとのウケヒを通して、アマテラスがオシホミミを得る意味
*アマテラスが感じるスサノヲへの危機感
一つのエピソードで、ここまで ドラマがあることに驚いた。
根の国に遂われることの意味
*秩序の外に追放される、世界から排除する
*日本書紀は根の国を語らない〜日本書紀が語るのは 秩序(天と天下)であり、秩序の外は語られない
*根の国の設定とスサノヲの追放は表裏一体
秩序から排除されるスサノヲが秩序を現していく構造
*無道のため、世界の秩序の外なる「根国」に遂われ、世界は天下の主の不在をかかえる
*無道なスサノヲが、天の秩序に触れた時、秩序の破壊者として現れる
*地の秩序に触れた時、その無秩序を打倒する力となって現れる
アマテラス
*スサノヲとのウケヒを通してオシホミミを得る
*天孫降臨へ展開し、神々の世界の自立性を明らかにしている
*天孫降臨は 天の目的であり行為であるから正当化される
オシホミミの出生
*女神アマテラスの子としてオシホミミが出生する
*スサノヲとアマテラスの二神の子とすると男神スサノヲの子になるが、アマテラスの子とするために、物根の交換が行われた
*ウケヒは 出生のための装置
スサノヲにはアマテラスの国を奪う志はない〜アマテラスはスサノヲに危機感を感じ、スサノヲは根国に遂われる
神武天皇〜神話上の初代天皇
*東征〜ヤマトを軍事的に平定
*八咫の烏の導き→初代天皇
*橿原即位〜127歳で崩御
崇神天皇
*実在の初代天皇〜120歳で崩御
*大物主神を祀る〜疫病による人民死亡→ 三輪山祭祀
*四道将軍が遠征〜天皇が葦原中国を宗教的に平定
垂仁天皇
*皇后の兄の謀反
*鳥取〜言葉を発しない皇子→白鳥を捕まえて口が聞けるように
*伊勢の祭祀〜磯宮(アマテラスの天孫降臨の地)
景行天皇〜106歳で崩御
*日本武尊(やまとたけるのみこ)〜熊襲の国、東国(蝦夷)を討つ
*日本武尊の病没〜白鳥となって倭国へ飛んだ、草薙剣は熱田神宮へ
仲哀天皇=日本武尊の子
*神の啓示→無視、熊野征討に失敗→神の言葉を信用しなかったので 52歳 の若さで亡くなった
神功皇后〜100歳で崩御
*熊野征討
*新羅出兵〜三韓(新羅、高麗、百済)からの朝貢
仁徳天皇〜聖帝
*民の竈の煙〜税を軽くし徳を施し天下は平らになった
*新羅、蝦夷との紛争
*池堤の構築〜農業生産性向上
允恭天皇
*即位の躊躇〜大病を克服
*氏姓制度の整備→豪族の再編成
安康天皇(穴穂皇子)
*兄 軽皇子の死〜弟 穴穂皇子を襲撃し失敗
*眉輪王(軽皇子の子)により殺される
雄略天皇=ワカタケル
*眉輪王、市辺押盤皇子を謀殺〜安康天皇殺害の黒幕は 雄略?
*自分の心だけで専決し誤って人を殺す〜大変悪い天皇
*葛城の一事主神と一緒に狩を楽しんだ〜徳のある天皇
*吉備を弱体化
*任那と新羅が 高麗軍を撃破
*新羅討伐
顕宗天皇と仁賢天皇
*皇位の譲り合い
*任那、高麗との通交
武烈天皇
*悪徳政治→血縁の薄い継体天皇を正当化するため
継体天皇
*仁政の徳→血縁が薄い
-
浦島太郎、海彦山彦、八岐大蛇などの昔話は、日本書紀が出典であったなんて知らなかった。特に、八岐大蛇は、「八又」ではなく「八岐」なので、首が八本なので「七又のおろちじゃないか」なんて思っていた私には、眼から鱗。また、天皇位を委譲し、委譲された次の天皇の死後、もう一度天皇に返り咲いた人がいたとは知らなかった。天智天皇のあと天武天皇が即位するときに起こった壬申の乱の前話なんて、書紀を読まなければまずわからない。などなど、知らなかった話がてんこ盛り。日本人なら一度は読んでみるもいいのでは。ただし、記紀は歴史の勝者によって書かれているということを注意すべし。多分、壬申の乱の前話なんて、実は天武の言い訳なんじゃないかと思う。
-
「日本書紀」発の現代語訳。読みやすいけど、文章のつながりとか脈絡が、背景を知らないと捕えにくい。やはり、解説がないと読んでいてもつまらない。でも、読める書籍は限られているから仕方ないか。
-
日本最初の官撰国史であり、六国史の始である『日本書紀』の現代語訳。訳文のみを収めており、それに小見出しと注釈を付けた形式となっている。上巻では巻第一から巻第十八、神代から宣化天皇までの内容を収録している。
『古事記』と双璧を成す日本神話(記紀神話)の原典である本著は、『古事記』とは異なった形の神話や歴史を伝えており、非常に興味深い。特に複数の説を併記する神代篇(巻第一~巻第二)ではそれが顕著で、『古事記』には登場しない神が現れたり『古事記』に登場する神が現れなかったりする。両方に登場する神でも描かれ方は(大筋は変わらないものの)双方異なっていて、両者を読み比べてみるとより面白さが増すであろう。
そんな本書ではあるが、内容理解の為にもう少し解説や注釈は増やしてもよかったのではないかと感じた。また和歌が本文カタカナ・漢字フリガナという形式で記されているので少々読みにくかった。
なお、先にも述べた通り本書は現代語訳しか載せていないので、原文や書き下し文のテクストを別に用意しておくと理解がより深まる。 -
日本書紀 現代語訳 講談社学術文庫
-
2017.02―読了
-
現代語訳とはいえ慣れない漢字も多く全てを理解したとはいえないけど、読み切れた。
内容で驚いたのは、神代のころのお話から男女の格差を感じること。
女の方から「あらいい男がいるわ」といったから不具の子が産まれた。男から言わなければいけない、やり直し。
といった内容の記述があったりで、現代では驚く内容が目白押し。
印象に残ったのは、垂仁天皇が発達特性を持つ誉津別皇子を大切にされていたお話。
神代で、不具の子が産まれれば流した(川とか海に?)という記述ばかりだったので、心温まった。
古代遺跡や神社に色々行ってみたくなった。 -
現代語訳で全部ルビが振ってあって読みやすい。後ろの方に小見出しの索引があるので、内容も探しやすい。
何より、文庫本サイズなので扱いやすい。
読みきれてないので、後で読む。 -
神様の下りは古事記の方が物語性があって好きかなあ。
それ以降は天皇の覚書のような。
途中途中でちょっと寝落ちしたものの、なんとか読めた。もう一回トライした方がいいのかもしれない。