老子 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061592780

感想・レビュー・書評

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  • 個人で老子の思想を取り入れるのはいいと思いますが、政治で老子の思想を取り入れるのは非現実的だと思います。

    1.この本を一言で表すと?
    ・自己を自然から探す

    2.よかった点を3〜5つ
    ・78 天下水より柔弱なるはなし(柔弱の徳)
    →物事を受け入れる柔軟さを持つ人が強いということだと思う。固定観念に縛られないようにしたい

    ・71 知りて知らずとするは(わかったと思うな)
    →知ったと思ったところに落とし穴があると忠告してくれている感じ。

    ・33 人を知るものは智(外よりも内を)
    →自分自身を理解するのは本当に難しいことと思う。自分で満足できれば十分幸せであると思う。ただ自己満足との区別は難しそう。

    ・81 信言は美ならず(結びのことば)
    →大げさなことや立派そうに聞こえる言葉は中身があるのかよく吟味しなければいけない。人に与えながら自分が豊かになるのは理想的。

    2.参考にならなかった所(つっこみ所)
    ・65 古の善く道を為す者は(智をすてる政治) など理想の政治像について
     →国を治めるのに知恵を不要とし、無為がよいという考えは賛同できない。現代の国の状況からいうと無為では滅んでしまうと思う。


    3.実践してみようとおもうこと
    ・何度も読み返す。
    ・自分自身の弱みを見つめなおす。

    4.みんなで議論したいこと
    ・道とはどういうものかイメージがつきましたか?
    ・無知無欲になれますか?

    5.全体の感想
    ・老子は、聖人というより悟りを開いた人または仙人みたいな人だと感じました。
    ・各章ごとの解説がとてもわかりやすかった

  • おおらかー!

  • 丸善御茶ノ水、¥1037.

  • 「世界の難問題も、必ずやさしいなんでもないことから起こり、世界の大事件も、必ず小さなちょっとしたことから起こるものだ。」

    無知の状態での生活をすすめる思想。多くの不幸があるのは、人間が様々なことを知ってしまったからだと説く。つまり、ステーキを食べたことが無い人は、ステーキを望まないのと同じである。知識が欲求に繋がり、現在の生活が”足りている”という認識を失ってしまう。

    年をとって、生きるのに疲れてから読むのが良いと思う。若いうちは、大きな目標を持ちながら生きていたい。今から無知無欲の生活を目指すのは、強者に搾取されてしまうだけだ。

  •  NHKの「100分で名著」が5月に「老子」を取り上げたので、併せて読むテキストをどれにしようかと思ったが、ここはやはり講談社学術文庫から中国思想の大御所である金谷治先生の著書を選んだ。100分で名著のテキスト・放送に併せて並行して読み進めることができた。

     金谷治先生は冒頭で
    「人間が人間らしく生きるというのは、ふつう力みかえって生きることである。われわれがいろいろの場合に『頑張ってね』と口ぐせのように言うのはそれを示している。」
    と言っている。
     これに対して老子は「無為無欲」になってその本質に立ち返ることが人間の幸せである。力みかえることをやめて自然態であれ。」と説いているのだと言う。

     「老子」は上篇・下篇に分かれており、上篇は第一章が「道」で始まることによって「道経」とよばれ、下篇の「徳経」と対していることにより「老子道徳経」とも呼ばれる。

     全体を通して言えるのは言葉にしてはっきりとは名指ししないものの、孔孟の儒家に対する激しい対抗意識が見て取れる。むしろ儒教をベースにしてそれに反論を加えるところから老荘思想が成熟していったのではないのだろうか。

     今回100分で名著の放送とそのテキストとも併せて読むことができたので、あらゆる章を熟読できたようだ。以下に「100分で名著」のレビューを抜粋しておく。

    --------------[以下抜粋]--------------

     東アジアで最も多く読まれている中国の思想書といえば「論語」だそうだが、これに勝るとも劣らないのが道家の始祖といわれる「老子」だそうだ。「上善若水」「小国寡民」など現代の日本にもよく知られて残っている言葉がある。いわゆる負け組とか社会的弱者向けともいわれ、「心の処方箋」としてブームになっているという。この老子の説いた思想を「道(Tao)」と呼ぶ。では「道(Tao)」とは何か?
    ・天地や宇宙を生み出す根源
    ・万物造成のエネルギー
    ・自然(おのずからしかり)
    と蜂屋氏は説明している。

     「がんばらなくてもいい」「あるがままのあなたでいい」というようなメッセージが多く「癒しの書」といわれる反面、リーダーに対しては「権謀術数の書」という一面を持っているのも事実。孫武の兵法書「孫子」に共通する部分も多い。

    「論語」は得意のときに読め
    「老子」は失意のときに読め

    といわれているそうだ。その意味ではやはりドロップアウトした人に向けて書かれているのだろう。

     「無為自然」という言葉が出てくる。これは「自ずから然り」で「何ら作意をしないこと」という意味だ。ただ一切何もしないことではなく、作為的なことは何も行わないことだそうだ。それが老子のいう「無為自然」の理想のあり方なのだという。それが道(Tao)。

     最終的には社会からはずれているからバカボンのパパ語で表現するとわかりやすいそうだ。
    「バカをつらぬくのだ」
    「赤ちゃんは最強なのだ」
    「ヘリくだってえらくなるのだ」
    「近道は間違う道なのだ」
    「なるようになるのだ」
    「まっすぐな人はぶれぶれなのだ」

     これでいいのだ!

  • 論語同様読む度に新しい発見がある懐の深い本。
    最初読んだ時は意味が分からなかったが、
    三年ぶりに再読したら文の一つ一つに価値を感じた。

    富や名声や賢さを捨てて無知無欲になり、
    この世の根源である道に従う事を説きつつも、
    それは生きていくための方法であり、
    現実の問題への対処法を多く扱っている。

    老子の説く無為は何もしないことではなく、
    問題が小さいうちに片付けてしまうため、
    何もしていないように見えることであり、
    そしてそれを出来るのが聖人らしい。

    老荘思想として一つにまとめられているが、
    現実を否定している荘子とは結構違う。

  • 老子は、前職で一度読み終えている。上善如水に表れる思想は、国のトップではなく、国を支える国民が素晴らしいと解釈できる。一方無為の薦めが記載されているため、孔子の言行録「論語」の立身出世を謳う書籍とは対照的だ。

  • 争わず無欲であれ、という内容が心に響いた。
    決して満足を知らないことが悪であり足るを知るのが本当の満足というものらしい。足るを知るものは富むということわざは老子の言葉だった。
    戦国時代に生まれた背景を考慮するとこの思想の切実な面が見えてくる。

  • 老子の教えの要諦は「自然の摂理に従ってシンプルに生きよ」ということだと思う。その意味では、本書は老子の教えの反して、回りくどい。いかにも大学教授といった感じの文体で、お偉い先生の講義を聴いているような気分になる。

  • 古代中国の思想家、老子を翻訳し書き下して説明してくれる本です。細かいことは何も覚えていません。

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著者プロフィール

1920年、三重県生まれ。東北帝国大学法文学部支那哲学科卒業。文学博士。東北大学名誉教授、追手門学院大学名誉教授、日本学士院会員。2003年、勲二等瑞宝章受章。著書に、『秦漢思想史研究』(平楽寺書店)、『管子の研究』(岩波書店)、『淮南子の思想』(講談社学術文庫)などがあるほか、訳書に、『論語』『荀子』『荘子』『韓非子』『孫子』『大学・中庸』(いずれも岩波文庫)など多数。2006年、逝去。

「2022年 『死と運命 中国古代の思索』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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